ドコモなど、法人向けクレジットソリューション提供へ


 NTTドコモとリンク・プロセッシングは、法人向けにクレジットカードやポイントカードなどを取り扱うソリューションを販売、推進することで合意した。ドコモのAndroid端末の利用拡大が目的とされ、あわせてドコモからリンク・プロセッシングに対して出資も行われる。

どこでも決済できるサービスに

 今回、両社が販売することになったのは、リンク・プロセッシングのスマートフォン決済サービス「Anywhere」をベースに開発された、新たな決済ソリューション。販売開始日は11月になる予定だが、準備が整い次第、あらためて案内される。

 導入店舗では、Android端末とBluetoothで繋がるカードリーダー兼プリンタを用いて来店客のカードを読み取って決済する。この際、ドコモの携帯電話ネットワーク経由でリンク・プロセッシングのサーバーを経由して、各カード会社やポイント事業者に接続する。カードリーダー兼プリンタは、ドコモのスマートフォンおよびタブレット(Android 2.3.5以降)のみサポートする。このスマートフォンやタブレットの費用は別途必要だが、法人名義のものだけではなく、店舗スタッフが個人で使う端末でも利用できる。ただし専用アプリ(無料)が必要となる。

 店舗に導入されるカードリーダー兼プリンタは、持ち運べることが大きな特徴とされており、店頭のレジだけではなく、イベント会場、飲食店の座席付近など、据置型のレジが置けない場所でも決済できる。VISA、MASTER、JCB、AMEX、Dinersなどのカードが利用できる。

 初期費用として、セットアップ費用が1台あたり5000円かかる。カードリーダー兼プリンタはオープンプライスだが、セットアップ費用とあわせて4万円程度になる見込み。月額費用は、取引1件につき20円(最低利用料は月額1000円)で、端末更新費用などがかかる。

 なお正式サービスに先立ち、リンク・プロセッシングの「Anywhere」を使ったトライアルサービスが実施される予定。期間中は、スマートフォンやカードリーダー兼プリンタが無償で貸し出され、使い勝手などユーザーからの声の収集を目的に、利用料も特別価格で提供されるとのこと。

ビジネスモデル

 店舗とクレジットカード会社は直接、加盟店契約を結ぶ形態となり、決済による手数料収入は、ドコモには入らず、リンク・プロセッシング経由でカード会社へ支払われる。今回のスキームでは、ドコモにとっての収益は、同社のスマートフォンおよびタブレットの販売、通信料収入のみになる。

 ドコモでは、リンク・プロセッシングのシステムがクレジットカードの主なブランドに対応していること、リーダーライターが安価なことなどから、リンク・プロセッシングと協力することになったとしている。スマートフォン経由で決済を行うことから、通常、据置型レジのクレジットカード決済端末に必須の専用回線は不要となり、導入側にとっては、どこでも利用できるという柔軟な運用体制、そして導入時のイニシャルコストおよび毎月のランニングコストといった費用面を安価に抑えられる。

 導入が期待されているのは、イベントや店内での決済といった柔軟な運用が求められるシーン、そしてこれまでクレジットカード決済を導入していない店舗などとなる。こうした仕組みは、ソフトバンクモバイルが米PayPalとともに推進する方針を掲げている。

 このほか、ドコモからリンク・プロセッシングに対して、約1億2000万円が出資される。第三者割当増資をドコモが引き受ける形での出資となり、1株29万7000円で、406株引き取る。これによりドコモはリンク・プロセッシングの株式約15%を保有する。

 出資は、リンク・プロセッシング側が行うAndroid向けアプリの開発費、そして今後構築されるリンク・プロセッシング側の販売協力体制に向けたものとなる。




(関口 聖)

2012/9/11 16:58