今週のケータイ Watchの読み方 (2012年9月7日)


海外でスマートフォン新モデル発表


 

 今週は海外を中心に新モデルの発表が相次いだ。ドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2012」での発表を受けて、ソニーがAndroidタブレット「Xperia Tablet S」を日本国内でも発表した。モトローラはアメリカ・ニューヨークでスマートフォンの最新モデル3機種を発表し、このうち「DROID RAZR M」については日本市場に投入する方針も明らかにされた。ノキアも、マイクロソフトと共同でニューヨークにて発表会を開催し、「Windows Phone 8」を搭載する「Lumia 920」と「Lumia 820」を発表した。

 モトローラは「DROID RAZR M」「DROID RAZR HD」「DROID RAZR MAXX HD」の3機種のうち、4.3インチディスプレイ搭載で一番コンパクトに仕上がっている「DROID RAZR M」を日本市場に投入する予定だ。グローバルモデルはLTEやNFCをサポートするが、NFC部分については日本向けではFeliCaが搭載される見込みで、続報が待たれる。

 ノキアについては、新端末が日本市場に投入されるかどうかは不明だが、最新の「Windows Phone 8」を搭載するということで、パソコン用の「Windows 8」との連携なども含めて、注目に値するだろう。

 新モデルの発表という点では、アップルが9月12日(現地時間)にアメリカで発表会を開催すると案内しており、大きな注目が集まっている。また、HTCも9月に同じくアメリカで発表会を行う見込みで、少なくとも9月末までは、海外を中心に大きな話題が続きそうだ。

 


モトローラ、グローバル向け端末3機種を発表

Nokia、Windows Phone 8搭載の「Lumia 920」「Lumia 820」

 


 

電子書籍リーダーに新モデルが続々と登場


「Kindle Fire HD」 8.9インチモデル

 

 今週は電子書籍リーダーについても新製品の発表ラッシュとなった。9月3日にソニーが「Reader」の新モデルについて、日本向けの発表を行ったほか、楽天の子会社Koboは、9月6日にフロントライト搭載モデルや小型モデル、Androidタブレットなど3機種をグローバルモデルとして発表。

 さらに米Amazonは6日(現地時間)にアメリカで発表会を開催し、既報の通り、フロントライト搭載で高解像度化した「Kindle Paperwhite」に加え、カラー液晶のタブレット「Kindle Fire HD」は8.9インチと7インチの2モデルを発表した。

 Koboの新モデルはグローバルモデルとして発表されたが、日本市場への投入について「決まり次第案内する」とされ、楽天の子会社になっていることなどからも、前向きに考えてよさそうだ。Amazonの「Kindle」シリーズについては、今回の発表会より以前から、日本のユーザー向けに「近日発売」と予告されているものの、今回の発表に合わせての案内などは行われていない。

 「Reader」や「Kobo」でも同様だが、電子書籍リーダーはサービスとセットで魅力が最大化する製品群だ。Amazonはそうした観点をKindleで推し進め、端末は安く提供し、電子書籍コンテンツの売上で事業を拡大する方針を徹底してきた。

 一方、ハードウェアとしてのKindleはこれまで、価格相応に機能を落とし、シンプルで分かりやすい使い勝手が特徴だった。Androidタブレットのような「Kindle Fire」は、Kindleのラインナップに自ら一石を投じる形となったが、それでも利用できる機能(と価格)は抑えられていた。ところが今回発表の「Kindle Fire HD」は、スペックだけを見ればタブレットのハイエンドモデルに相当する。内容からすれば、価格が抑えられていることも驚きだ。電子書籍リーダーであっても高機能なタブレットタイプにニーズが移りつつあるという、電子書籍リーダーやプラットフォームで先行するアメリカ市場の反応を反映したものになっているようだ。

 日本市場に投入されるハードウェアに注目が集まるのは間違いないが、「Kindle」というサービス全体がどういう形で提供されるかも重要なポイントだろう。

 


Amazon、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire HD」を発表

ソニー電子書籍リーダー「Reader」新モデル、9980円で9月21日発売

Kobo、海外で電子ブックリーダー3機種を発表

 


 

ソフトバンクモバイル、法改正で第二種指定事業者に

 

 電気通信事業法施行規則の改正により、ソフトバンクモバイルが第二種指定事業者に指定されることとなり、総務省からは意見募集の案内が行われた。この法改正自体は以前より取り組まれており、施行にあたって最終段階に来ている。

 携帯電話事業における第二種指定事業者とは、通称「ドミナント規制」と呼ばれ、これまでは市場シェア25%以上のNTTドコモとKDDIが指定されてきた。指定されると、キャリア同士の接続料などについて、公表の義務や、算定方法に規制を受けることになる。今回の改正により、指定の条件がシェア10%以上に変更され、ソフトバンクモバイルも第二種指定事業者になることが確定的となっている。

 接続料は、ユーザーがキャリアをまたがって通話した際などに発生する、キャリア同士がやりとりする料金。過去には、ドコモとソフトバンクがこの接続料についての意見でぶつかり合い、ドコモが、接続料やその算定基準の開示義務がないソフトバンクに対し開示を要求するといったことも起こった。こうしたこともあってか、ソフトバンクモバイルは2011年3月に、2010年度適用分の接続料を改定し発表。第二種指定事業者が対象のガイドラインに則した算定基準で公表し、2012年(2011年度分)も同様に接続料が公表されている。

 ソフトバンクモバイルでは、今回の意見募集に対し、「社としての意見をまとめている段階」としており、その立場は明らかになっていないが、少なくとも接続料の開示や算定基準について、影響は少ないと考えられる。

 折しも8月にはソフトバンクモバイルの契約者数が3000万件を突破し、3500万件のKDDIの背中を窺う状況だ。孫社長が折に触れて訴えてきた“イコールフッティング”が規制の面でも実現するのは皮肉だが、純増数ナンバー1といったアピールはもとより、優良とされる周波数帯の獲得など、通信事業者としての影響力と責任も、契約者数と同様に大きくなっている。

 契約者数の増加という点では、PHSのみだった070番号を携帯電話でも利用できるようにする改正案も、今週に入って諮問と同時に意見募集が開始されている。かねてより携帯電話番号の枯渇は指摘されてきたが、純増数の増加とはこれら電話番号の増加を意味する。近年はデジタルフォトフレームなどを含め、データ通信端末の契約が増えていることも、電話番号の不足に対する懸念を加速させているといってもいいだろう。070番号が携帯電話にも導入されることで、ひとまずはこうした懸念が解消される見込みだ。070番号がPHSであることを前提にした無料通話サービスなどに対しては、システム面も含めて、対策されることも指摘されている。


ソフトバンクモバイルを第二種指定事業者に、総務省が意見募集

総務省、070番号を携帯で利用するための規則改正案で意見募集

 


 

ニューモデルの発表・新情報


ソニー、「Xperia Tablet S」を9月15日発売

ソニー電子書籍リーダー「Reader」新モデル、9980円で9月21日発売

au、Pantech製折りたたみ型ケータイ「PT003」発売

Android搭載の21.5型ディスプレイ端末、9月6日発売

カシオ、iPhoneやMEDIASと連携するBluetooth対応G-SHOCK


モトローラ、グローバル向け端末3機種を発表

モトローラがニューヨークで新製品発表会を開催

Amazon、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire HD」を発表

Kobo、海外で電子ブックリーダー3機種を発表

Nokia、Windows Phone 8搭載の「Lumia 920」「Lumia 820」


ソフトバンク、102SH、102SH IIをAndroid 4.0にバージョンアップ

ドコモの「GALAXY Note」、Android 4.0への単体更新を一時中断

ドコモの「GALAXY Note」、Android 4.0に

7インチAndroidタブレット「edenTAB」がAndroid 4.0に

 




(太田 亮三)

2012/9/7 19:11