ドコモ、重大事故5件について再発防止策や対策を公表


 NTTドコモは、2011年6月~2012年2月にかけて発生した5件の重大な事故について、再発防止策や今後の取り組みをまとめ、総務省へ報告した。

 ドコモのネットワークでは、2011年6月6日に発生したネットワーク障害をはじめ、2011年8月16日、12月20日、2012年1月1日、1月25日と、半年あまりの間に合計5件の「重大な事故」が発生した。これを受けて、総務省はドコモに対して指導を行うとともに、総務省が開催した携帯電話通信障害対策連絡会においても、通信障害の再発防止に向けた総点検の実施と結果の報告を求めていた。ドコモは、1月26日、1月27日、2月21日にそれぞれ、通信障害への対策や状況、今後の取り組みを解説する記者向けの説明会を開催している。

 ドコモでは、再発防止策として、spモードシステムの再検証や処理能力向上を推進する「高度化推進室」を設置。「人為故障“0”化対策PT(プロジェクトチーム)」の発足や、監視・措置体制の強化、IP系技術者の増強を実施した。

 発生した通信障害への具体的な対策としては、すでに発表されている内容が順次実施されている。直近および今後実施される対策としては、2011年8月16日に発生したspモードの通信障害への対策として、ネットワーク認証サーバーのさらなる処理能力の向上が3月22日に実施されている。また、2012年1月25日に発生したFOMAの通信障害への対策として、信号量を把握した上での新型パケット交換機の切り替えが2月25日より実施されており、4月中に合計40台が増設される予定。

今後の取り組み

 再発防止策のうち、今後の取り組みとしては、処理能力に関する部分でパケット交換機、spモードシステム、バーストトラフィック対策、制御信号増加への対応が実施される。具体的には、spモードでは新規開発のメール情報サーバーを2月に導入したほか、スマートフォンの増加に対応するソフトウェアの改善やネットワーク機器の増設が12月をめどに行われる。制御信号の増加に関しては、12月頃に、1回の無線接続で複数のアプリケーションが通信できるよう、無線接続手順の変更が行われる予定。

 処理方式に関する部分では、spモードにおいて、IPアドレスの不一致が発生しない接続手順へ処理方式が変更されたほか、同様の対策がmoperaでも3月31日に実施される。ソフトウェア開発においては、開発ドキュメントの整備や試験の強化も行われている。

 携帯電話通信障害対策連絡会へ報告する総点検では、6つの観点に対応させた、6つのワーキンググループ(WG)を発足させ、合計で145の項目について点検を完了した。ドコモでは、「現状においてネットワークが安定して運用できる状態であることを確認できた」と報告している。

 また、総点検を通じて、最新のトラフィック条件で定期的に過負荷試験を実施して性能を再評価する規定を設けたほか、不測の事態を考慮し影響を最小化する工事手順の決定、工事の影響エリアを地図付きでユーザーに公開するといった対策の強化ができたとしている。

 このほか、他社の事例を参考に、電源設備工事の時間帯をユーザーへの影響が少ない時間帯に変更することや、不正プログラムの混入を防止するため、セキュリティチェックの際の点検対象設備を拡大し、点検項目を追加したことも、対策の強化点として挙げている。

 一連の通信障害の中には、通信の秘密および個人情報が漏えいした事故も含まれたことから、上記の内容を含めて、組織、業務、設備の各面で対策が実施される。

 さらに、ネットワークの運用情報をユーザーに迅速に提供するという観点から、Webサイトへの掲載の迅速化が実施されている。3月には全ドコモショップの店頭で障害状況の迅速な掲示を行うよう対策が行われている。また、上記のようにドコモのWebサイトの「工事のお知らせ」のコーナーでは、工事対象エリアが地図上に表示されるようにリニューアルされている。

 




(太田 亮三)

2012/3/30 19:43