“プラチナバンド”900MHz帯はソフトバンクへ、電監審が答申


電波監理審議会会長の前田忠昭氏(東京ガス顧問)
審査結果

 電波監理審議会は、プラチナバンドとも言われる900MHz帯の周波数割り当てについて、審査の結果、ソフトバンクモバイルを適当と判断した。電波監理審議会の判断を受け、総務省は、ソフトバンクに対して900MHz帯の免許を割り当てる方針だ。

 900MHz帯については、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル(イー・アクセス)の4社が名乗りを上げており、それぞれ基地局の開設計画を提出している。総務省では、各社ともに審査基準を満たしており、負担可能額、人口カバー率などの競争審査についても差がなかったとした。

 このため、ABCの3つの基準を作りそれぞれ4点満点で加点方式による審査を実施。Aは対策および体制に関する計画について、BはMVNOへの提供に関する計画について、Cは割り当てる周波数帯と同等の特性を持つ周波数帯を有していないことを基準とした。各項目について、計画があるかどうかで1点が加点され、そこからさらに他社より優位性があるかどうかで加点される。

 ABC各基準の優位性は、A基準についてはイー・モバイルが3点、ソフトバンクが2点、KDDIが1点。B基準については、イー・アクセスとドコモ、ソフトバンクがそれぞれ1点となった。C基準については、イー・モバイルとソフトバンクが2点となった。

 計画の有無と他社との優位性による加点を合計すると、ソフトバンクモバイルが9点、イー・モバイルが8点、ドコモとKDDIがそれぞれ5点となった。総務省では、ソフトバンクモバイルの開設計画を認定することに決め、さらに、認定に際して以下の条件が付与された。今後、電波監理審議会の答申を踏まえて、条件付きで開設計画が正式に認定される。

・3.9Gの普及に取り組むこと
・終了促進措置について十分な合意形成をはかること
・通信設備の利用促進
・停電対策や輻輳対策

 なお、ソフトバンクの900MHz帯の開設計画では、2012年7月にも5MHz幅を利用してHSPA+方式のサービスが開始される予定。現在その帯域を利用するMCA無線については、ソフトバンクが最大2122億5000万円を投じて終了促進措置をとり、2013年度中に完了するとしている。このため、割り当てられる15MHz幅×2は、段階的に割り当てられていくことになる。ソフトバンクでは、2014年7月にも10MHz幅を利用してLTEサービスを開始する計画だ。

電監審の前田氏、透明性の高い審査と総務省を評価

 2月29日の電波監理審議会は、13時より審議が開始された。当初、14時30分を目処に審議が終了し、総務省記者クラブにおいて、電波監理審議会会長の前田忠昭氏が会見を行う予定だったが、審議は延長され、会見のスタートする頃には16時をまわっていた。

 前田会長は、審議が延長した理由について「審査内容が膨大であり、それぞれ各項目毎に審査を行ったため」と説明。また、全ての事業者が基準をクリアしたことに触れて、「総合した結果、ソフトバンクが良かった。今回の審査は透明性が高く、総務省としてもきちっとやった結果だと私は判断した」とコメント。さらに、事前にソフトバンクが有利と報道されていたことについては、「今回、透明性は非常に重要だった。噂はあったかもしれないが、しっかり審査した結果だ」と繰り返した。

 このほか、スマートフォンの急成長などに伴う通信の混雑状況について、900MHz帯の割り当てと、700MHz帯の割り当てによって、「当面のトラフィック対策になるのではないか」と語った。今後の4Gも含め、さらなる割り当てもあるとし、「トラフィック対策は、階段上に解決していくしかないのかなと思っている」と話した。



 




(津田 啓夢)

2012/2/29 16:20