ドコモ、9カ月でスマホ533万台を販売


NTTドコモの山田隆持社長

 NTTドコモは、2011年度第3四半期(2011年4~12月)の連結業績を発表した。

 9カ月累計の営業収益は前年同期比1.1%減の3兆1742億円、営業利益は前年同期比1.9%減の7438億円、税引前利益は前年同期比0.6%減の7441億円、当期純利益は前年同期比11.1%減の3946億円と、減収減益になった。

 NTTドコモの山田隆持社長は、「2010年度第2四半期のポイント・故障修理制度見直しの影響の550億円を除くと、第1四半期からの実質増益基調を維持している」と説明。この影響を除くと403億円の増益になるとしており、「年間営業利益の8700億円に対する進捗率は85.5%となり、目標達成に向けて、着実な進捗をみせている」とした。

 さらに、「第3四半期単独では営業利益が2353億円(前年同期は2270億円)と増益になった」としたほか、「ネットワーク障害の影響はゼロではないが、販売への大きな影響はない」などと語った。

 山田社長は第3四半期を振り返り、「スマートフォンへのシフト、Xi対応スマートフォンの伸張、競争激化のなかでも販売手数料が拡大せず、堅実な事業運営ができていること、安心、安全の取り組みで成果があった。しかし、ネットワーク障害は課題。なんとしてでも信頼を取り戻したい」と総括した。


決算概況営業利益の推移

12月には100万台を超えるスマホを販売

 第3四半期までの携帯電話の総販売台数は、前年同期を182万台上回る1541万台となった。そのうち、スマートフォンの販売台数は第3四半期単独で190万台。第3四半期までの累計では553万台になったという。

 「スマートフォンの販売台数は、現時点では620万台に達している。冬春モデルとして12機種のスマートフォン投入したこともあり、12月には単月で102万台のスマートフォンを販売し、100万台を突破した。Xi対応のスマートフォンも第3四半期単独で40万台を出荷した」などとした。なお、Xi対応スマートフォンは3機種を投入。Xi対応タブレットは2機種を発売している。ドコモでは、年間850万台のスマートフォンの出荷を計画している。

 また山田社長は、スマートフォンの販売拡大について各種施策を展開していることにも触れた。



dメニュー、dマーケットなどスマホ向け施策

 1月27日時点で、スマートフォンは、Xi対応3機種を含めて14機種をラインアップ。スマートフォンでもiモードのサービスが利用できるdメニューでは、約900社3900サイトへとサービスが拡大。スマートフォン向けのドコモ直営コンテンツマーケットのdマーケットでは、対応端末利用者の約80%が同サイトを訪問したという。

 さらにiコンシェルやケータイデータお預かりサービスを、3月からスマートフォン向けにも提供。音声によって端末機能を直感的に操作できる音声エージェント機能の提供、スマートフォンに保存した写真などをまとめて整理するメモリーコレクションなど、スマートフォン向けサービスを拡充していることを紹介した。

 また、dメニューにコンテンツを掲載するコンテンツプロバイダーに対しては、スマートフォンコンテンツ開発用リモートテストサービスを3月下旬から試行的に提供することにも触れ、「テストセンターは会津若松に設置している。時間や場所の制約を受けずに、コンテンツの効率的な実機動作検証が可能であり、コンテンツプロバイダーの開発負担を軽減できる」などとした。

 そのほか、4月1日からサービスを開始するスマートフォン向け放送の「NOTTV(ノッティービー)」についても紹介。「NOTTV対応端末を2万台用意して、2週間自由に利用していただくモニターキャンペーンを実施する。現時点で、mmbi対応端末はタブレット、スマートフォンともに1機種ずつだが、2012年5~9月にかけて5機種を追加する」と語った。

Xiの契約数はすでに年間目標を達成

 一方、Xiサービスについては、第3四半期末までに114万契約に達したという。

 「現時点では140万契約に達しており、年間目標の130万台を突破している。年間200万契約を見込む」と、目標数を上方修正した。

 2011年11月24日から開始した「Xiトーク24」の契約数は12月末時点で、Xi総合プラン契約者の約8割に達しており、「当初は6割程度を想定していたが、それを上回っている」という。

 さらに、Xiパケット定額サービスまたはXiデータプランを利用するユーザーを対象に、月額利用料金を1050円割引する「Xiスタートキャンペーン2」を新たに用意。また、新たなセット割引型キャンペーン「Xi2割(クロッシィクロッシィ割)キャンペーン」により、さらにXi利用者拡大を見込むという。

 「Xiスタートキャンペーン2」は、これまでのキャンペーン内容を変更しながら続けるものになる。9月30日までのプランだが、10月以降も使い勝手がいいキャンペーンを考えていきたい」などと述べた。

 Xiのエリア展開については、12月末時点での基地局数が約5000局となり、人口カバー率は24%。これまで2012年度末の目標を2万局、人口カバー率は約60%としていたが、2万1000局を設置し、人口カバー率を約70%に引き上げるという。「LTEは電波の利用効率が高く、活用促進には意味がある」としている。

 なお、データ通信端末の販売数は、第3四半期単独で50万台、データプラン契約数は2011年12月末までに253万契約に達した。



解約率が若干上昇、mova停波まであと2カ月

 NTTドコモの第3四半期累計の純増数は、前年同期比43.2%増となる161万となった。

 第3四半期の総合ARPUは、前年同期比4.9%減の4880円。そのうち音声ARPUは400円減の2190円、パケットARPUは150円増(5.9%増)の2690円になった。第3四半期単独のパケット収入は404億円増(前年同期比9.5%増)の4652億円。音声収入は116億円減の3854億円。



 第3四半期の解約率は0.59%となっている。「iPhoneの影響などもあり、解約率が若干上昇している」とした。

 また、第3四半期末時点でのmovaの契約数は32万件、DoPaの契約数は20万件の合計52万契約となり、全契約数の0.9%となった。

 「movaやDoPaは、2012年3月末に停波するが、その時点で20万契約程度残る可能性がある。そのうち半分が法人とみており、そのなかには、システムとしてmovaが動いているというケースもある」などとした。

 「解約率は重要な指標であり、0.5%台半ばで維持したいと考えているが、movaの解約が10~10数万件発生すると、0.6%を上回ることになるだろう」(NTTドコモの坪内和人取締役常務執行役員)と予測した。

 電話番号をそのままに他の携帯電話会社に移行できる番号ポータビリティ(MNP)制度については、「12月のポートインが前月に比べて1.7倍、ポートアウトが1.3倍。絶対数は増えているが、サービスを強化してポートアウトを減らし、Xiなどの新端末によってポートインを拡大したい」などと語った。

学生向け施策、ドコモ20周年、PS Vita

 2012年1月20日からは、学生とその家族を対象とした「応援学割2012」を開始。山田社長は「これまで遅れていたサービスだが、他社と比べて遜色がないものになっている」と自信をみせた。

 なお、NTTドコモは、今年20周年を迎えるが、これにあわせたキャンペーンについては、「お客様に感謝する20周年としたい。満足度向上のための施策を展開したい」などと語ったが、「春商戦で20周年と銘打ったキャンペーンは予定していない」とした。

 PlayStation Vita(PS Vita)向けに提供したプリペイドデータプランは、3月から新たに定額データプランを追加。「M2M型のデータプランは、自動車や電子書籍などにも広げてきたい」と、提案を加速する考えを示した。

災害対策

 そのほか、災害対策については、1月末までに大ゾーン基地局が、計画している104局中、100局の設置を完了。基地局のバッテリーの24時間化、エンジンによる無停電化も、1月末でおおむね完了することを明らかにした。

 2012年3月からは、災害用音声お届けサービスを新たに開始。「これは総務省から推奨されており、他のキャリアも同様のサービスを今後開始することになるだろう」と述べた。

改正法人税法で業績見通し一部修正

 このほか、ドコモでは、2011年度の業績見通しを一部修正した。

 これは、2013年3月以降に適用される法人税率の変更により、法人実効税率の引き下げが影響。繰延税金資産の一部取り崩しを行うことが影響したもので、当期純利益を当初見通しに比べて400億円減の4740億円とした。

 営業収益の4兆2400億円、営業利益の8700億円、税引前利益の8740億円の計画には変更がない。

 




(大河原 克行)

2012/1/27 19:03