ASUS、Tegra 3搭載タブレット「Eee Pad TF201」を発売


「Eee Pad TF201」

 ASUSTeK Computer(ASUS)は、NVIDIAのクアッドコアプロセッサ「Tegra 3」を搭載したAndroidタブレット「Eee Pad TF201」を1月21日に発売する。価格は6万9800円。

 今回発売される「Eee Pad TF201」は、クアッドコアプロセッサを採用したNVIDIAの最新CPU「Tegra 3」搭載し、付属のキーボードドックでノートパソコンのようにも使えるタブレット型端末。CPUは最大1.4GHzで駆動し、クアッドコア稼動時は1.3GHzで駆動する。Android 3.2.1を採用しており、Android 4.0へのバージョンアップも提供される予定。薄さ8.3mmとスリムなボディで、重さは約586g。

 10.1インチ、1280×800ドットのディスプレイはSuper IPS+液晶を採用。Gorillaガラスを搭載し、アンチフィンガープリントが施されている。バッテリー持続時間は、単体で最大約12時間、付属のモバイルキーボードドックを接続すると最大約18時間の利用が可能になっている。カメラは800万画素で、LEDフラッシュも装備する。インカメラは約120万画素。

 通信機能は無線LANで、IEEE802.11b/g/n。メインメモリ(LPDDR2)は約1GB、ストレージ領域(eMMC)は約64GB。Bluetooth 2.1+EDRをサポートし、GPS、電子コンパス、光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープを搭載している。

 インターフェースとして、本体にはmicro HDMI端子、microSDHCカードスロット、イヤホンマイク端子を装備。キーボードドックにはUSB 2.0、SDHCカードスロットも備えている。また、モバイルキーボードドックには、マルチタッチ対応のタッチパッドも搭載されている。

 Android 3.2のインターフェイスを基本的に踏襲しながら、画面右下のステータスを表示できるエリアから無線LANのオン・オフなど、各種の設定を呼び出せる。また、画面左下のマルチタスクを呼び出すボタンでは、一覧表示されたアプリを個別に指定して終了できるようになっている。

 プリインストールアプリとして、Office文書を編集できる「Polaris Office」、手書きメモや絵が描ける「SuperNote」、Windowsパソコンにリモート接続し操作できる「MyDesktop」、8GBのオンラインストレージが提供される「ASUS WebStorage」、DLNA対応の「MyNet」、バージョンアップされたファイルマネージャー、アプリを個別にロックできる業務向けの「App Locker」などを利用できる。

 大きさは263×180.8×8.3mmで、重さは約586g。キーボードドックを装着した時の大きさは、263×180.8×19.4mmで、重さは約1.1kg。キーボードドック単体の重さは約537g。本体カラーはアメジストグレー、シャンパンゴールドの2色が用意される。

 別売りのアクセサリーとして、スタンドにもなるTF201専用カバーが3580円で、HDMI出力をVGAに変換するアダプターが2980円で、本体と同時に発売される。


アメジストグレー
シャンパンゴールド

※写真は英語キーボード。日本で発売される製品のモバイルキーボードドックは日本語キーボードになる


「パフォーマンスでは妥協せず、低消費電力を実現した」

アスース・ジャパン システムビジネスグループ ビジネスデベロップメントマネージャーのエミリー・ルー氏

 1月20日にはASUSとNVIDIAが、共同で記者向けの発表会を開催した。登壇したアスース・ジャパン システムビジネスグループ ビジネスデベロップメントマネージャーのエミリー・ルー氏は、「2011年はPCベンダーにとって厳しい年だったが、タブレット端末の市場は伸びた。今年は特に伸びると期待している」と、タブレット端末の市場がさらに拡大することに期待を寄せる。日本市場向けとして発表した「Eee Pad TF201」については、「ASUSが投入する最もパワフルな製品で、Tegra 3を初めて搭載する製品」とアピールした。


エヌビディア・ジャパン 日本代表兼米国本社ヴァイスプレジデントのスティーブ・ファーニー・ハウ氏

 エヌビディア・ジャパン 日本代表兼米国本社ヴァイスプレジデントのスティーブ・ファーニー・ハウ氏は、1月初旬に開催された「International CES 2012」で発表されたこの製品が好意的に受け入れられたとし、搭載される「Tegra 3」は、タブレット端末のほか、同社が“スーパーフォン”と呼ぶハイエンドのスマートフォンに搭載されることを紹介。加えて、スーパーカーを含む、自動車の情報表示システムにも搭載されていることをアピールした。

 ハウ氏は、「Tegra 3」が優れている理由として、「パフォーマンスでは妥協せず、低消費電力を実現した。ここがベストな理由」とし、パフォーマンスと低消費電力を両立したとする。ハウ氏は、「現在、モバイルデバイスはエキサイティングな時期を迎えている。コンシューマーに対し、イノベーションを続けていき、ユーザーにひとつ上のモバイル体験をもたらす」と述べ、同社がモバイル分野にも注力していく姿勢を明らかにした。


 

フルHD動画をなめらかに再生、Android 4.0の動作も

アスース・ジャパン システムビジネスグループ テクニカルプロダクト エンジニアの阿部直人氏

 アスース・ジャパン システムビジネスグループ テクニカルプロダクト エンジニアの阿部直人氏からは、「Eee Pad TF201」の具体的な性能やポイントが紹介された。本体デザインはアルミにスピン加工を施すなどプレミアム感を狙ったとのことで、ボディカラーも高級感を訴求する2色が用意された。動画の再生では、フルHDの動画がなめらかに再生できる様子がデモンストレーションを交えて紹介されたほか、ベンチマークの結果などで高性能になっている点を紹介した。

 Android 4.0については、「近日アップデート予定」と案内し、デモ展示会場では実際に「Eee Pad TF201」上でAndroid 4.0が動作している様子も紹介された。また、既存モデルの「Eee Pad Transformer TF101」「Eee Pad Slider SL101」についても、Android 4.0へのアップデートを「近日予定」と案内した。


ベンチマークの結果で高性能をアピール設定パネルなどは独自の機能を追加

エヌビディア・ジャパン テクニカルマーケティングエンジニアのスティーブン・ザン氏

 エヌビディア・ジャパン テクニカルマーケティングエンジニアのスティーブン・ザン氏からは、「Tegra 3」の詳細や、そのデモンストレーションが披露された。ザン氏は、「Tegra 3」がクアッドコアの構成に加えて、超低消費電力の5つめのコア「コンパニオンコア」を備えていることや、利用シーンに応じてコアの稼動数を切り替える「Variable SMP(vSMP)」といった技術を紹介。「モバイル製品では、操作していない状態が全体の8割以上を占めると言われている。このような状態では、コンパニオンコアのみで駆動し、無駄な電力を消費しない」と、低消費電力化に注力している点にも言及した。さらに、「PRISM Display Technology」として、描画された画面をピクセル単位で解析し、ピクセル自体の色を調整することでバックライトの輝度を抑えながら画面を見やすくする技術にも触れ、「バックライトの消費電力を約40%低下させられる」と、低消費電力化を進めていることを紹介した。

 同氏は、そのパフォーマンス面で、「Tegra 2」と比較して約5倍、GPUの比較で約3倍と、具体的な利用シーンを例に高性能になっていることを紹介。「PCクラスのCPUといっていい製品」と自信をみせた。

 デモンストレーションでは、高い負荷のかかる写真編集アプリをスムーズに利用できる様子のほか、パソコンにリモート接続し、ゲームソフトを操作できる「Splashtop」のデモで、パソコン上で「SKYRIM」を起動してプレイする様子を披露。「(Tegra 3に内蔵の)GeForceを最適化して実現している」と解説した。さらに、水しぶきなどの演算やモーションブラー表現に対応したことを明らかにし、タブレット端末向けのゲームを紹介する「TEGRA ZONE」については、日本語版を提供することも明らかにされている。

 ザン氏は、「最高のWeb、動画、ゲームを体験でき、電池が持つ。TF201はまさに理想のタブレットではないか」とコメントし、プレゼンテーションを締めくくった。


クアッドコアは「vSMP」で柔軟に運用される「PRISM Display Technology」により、バックライトの輝度を抑えながら見やすくする
「Splashtop」を用いて、パソコン上で起動した「SKYRIM」をタブレットでプレイ。比較的低遅延で動作する。デモではXbox360のUSBコントローラーを接続していたモーションブラー表現にも対応する

会場の展示


 周辺機器メーカーによる対応製品も展示された

 

 




(太田 亮三)

2012/1/20 16:43