2月「au仙台契約センター」設立、被災地の雇用促進を図る
写真右から、奥山市長、小野寺氏、KDDIエボルバの代表取締役社長の伊東博氏 |
KDDIは、2012年2月中旬より、仙台市宮城野区に「au仙台契約センター」を設立する。auの契約センターとしては、新宿の「au東日本契約センター」、大阪の「au西日本契約センター」に続く3拠点目となる。
「au仙台契約センター」では、auの携帯電話サービス関連の契約業務のほか、家庭向けブロードバンドサービス「auひかり」の登録支援業務など、全国のau顧客を対象とした契約業務を展開する。契約センターは、ユーザーがauショップなどで契約する際に、バックオフィスとして契約処理などを運営する設備となる。運営は、KDDIの100%出資子会社であるKDDIエボルバが担当する。
2012年3月のスタッフ人員規模は最大で700名。席数としては400席で、東日本契約センターの1000席、西日本の500席に次ぐ規模となる。いずれの施設も全国の契約業務を担当している。
センターの立地には、被災地である仙台市の雇用促進策としても期待される。発表会に登壇したKDDIの代表取締役会長の小野寺正氏は、東日本大震災の被災者に対し、自身が仙台出身であると語り、「東北の復興、振興という意味で役に立てれば、東北地域の雇用に少しでも貢献できれば」と話す。KDDIでは、スマートフォンなどを中心に契約が拡大し、契約センターの候補地を検討していた。今回、仙台がその拠点に決定したのは、震災以降の雇用問題がある。また、仙台は東北の産業が集積しており、KDDIが求めるリテラシーを持った人材が確保できるという側面もある。
さらに、被災地ではさまざまなICTのニーズが高まっており、KDDIでは地方自治体(今回は仙台市)とともに、ネットワークインフラの構築などで協力していく。仮設住宅などでは、独居老人が生活している場合も多く、ICTを活用した見守りサービスなどが期待されるほか、被災地ボランティアの中からはWi-Fi網を求める声もあるという。
仙台市の奥山恵美子市長は、今回の会見で「震災以降、雇用の確保が最大の関心事。建設や土木関係はむしろ人手不足だが、事務的な仕事に就きたいニーズは、雇用を上回っている」などと述べ、KDDIの取り組みに歓迎の意を表明した。仙台市としても被災者支援の中でICTの共同プログラムなども取り組む意向で、「立地についてKDDIに配慮いただき本当に感謝している。東北一円の被災者の役に立てるようにしたい」と話した。
KDDIの小野寺氏は大学までを仙台で過ごし、東北セルラーの会長を務めるなど、仙台とのゆかりが深い。小野寺氏は「震災には本当にびっくりした。私の家の方は大きな被害はなかったが、我々が子供の頃に行っていた海水浴場は見るも無惨な姿に変わり、それを見ているだけでショックだった。東北地域にセンターを立地できるなら、できるだけそうしようと思っていた。通信設備についてはユーザーに大変迷惑をかけた。KDDIのJIH(光海底ケーブルのこと)の陸揚げ局が大きな被害に遭ってしまった」などと話した。なお、小野寺氏の父は現在も仙台におり、auの見守り機能付き携帯「Mi-Look」を利用しているという。
2011/12/22 14:02