日本通信、「b-mobile Fair」の製品説明会を開催


 日本通信は、4月15日に発売する新製品「b-mobile Fair(ビーモバイル・フェア)」の報道関係者向け説明会を開催した。同社代表取締役社長の三田 聖二氏、および代表取締役専務 CFOの福田 尚久氏から説明が行われた。

SIMロック解除に向けた製品

 「b-mobile Fair」は、通信量1GB(有効期間4カ月)のSIMカードを9800円で提供するパッケージ。追加分は1GBにつき8350円でオンラインチャージして利用できる。端末はユーザーが用意し、日本通信はSIMカードのみ提供する。NTTドコモのネットワークを利用し、下り最大7.2Mbps、上り最大5.4Mbpsで通信できる。

製品概要特徴
ユーザー向けサイトのMy b-mobileAndroid用ウィジェット残量や有効期限を確認オートチャージも対応

 

三田氏

 同社では当初、4月1日のSIMロック解除導入にあわせ、3月14日に発表する予定だったが、東日本大震災の影響で会見を取り止めた。その後、4月6日に製品そのものを発表し、今回あらためてそのコンセプトが紹介された。

 冒頭、挨拶に立った三田氏はデータ通信専業のMVNOという同社の戦略を振り返り、「正しい方向にやってきたかな」と評価。それを示した直近の例として、東日本大震災での通信状況を挙げ、「データ通信の重要性があらためて認識されたのではないか」とする。震災発生後、携帯電話の音声通話は規制され、パケット通信は規制がすぐに解除された。こうした状況を踏まえつつ、同氏は「期待しているレスポンスが得られなかったのではないか。回線交換も利用できない。iモードやEZwebといったものも利用できない(繋がりにくい状況のことか?)。しかしメールは送信できた。IP電話はこういったとき、特に重要と証明できたのではないか」と述べた。

被災地に向かった日本通信のスタッフ

 同社が提供するIP電話サービスについては、総務省にあらためて紹介したことで協力を要請されたとのことで、地震発生の翌週である3月14日には、福島県と宮城県の対策本部100台ずつ対応端末の「IDEOS」を届けたという。実際に利用した現地の医師などに評価され、20台は現在も利用されているとのこと。今後、避難所などでも必要があれば寄付する方針という。震災関連では、停電時も利用できるよう、ノートパソコンに装着するUSB型データ通信端末の売れ行きが好調とのこと。

 こうしてデータ通信の重要性を紹介した同氏は、モバイルでの通信量(トラフィック)が今後劇的に増大するとの予測データを示し、現状は高い料金を全員が支払って、高トラフィックのヘビーユーザーを支えている状況とした。このほか、アールストリームが展開するMVNOサービスは、日本通信がMVNEとして支援していることも明らかにされ、SIMロック解除時代に向け、プレーヤーが増えつつあるとした。

福田氏
ドコモのプランと比べ、10MB~754MBまではb-mobile Fairのほうが安いという

 続いて福田氏は、現状の定額サービスでは、上位数%のユーザーが通信量の多くを占めることが課題と説明。ドコモやソフトバンクモバイル幹部の発言やAT&Tの事例を挙げたほか、2015年には2010年の26倍のトラフィックになるというシスコの発表を引用し、データトラフィックの急増は業界全体の認識と指摘しつつ、大半のユーザーはそこまで通信をしていないとも語る。

 たとえば、AT&Tの場合はスマートフォンユーザーの65%は月間トラフィックが250MB以下となり、日本通信でも通信量が300MB以下というユーザーは多いという。また日本通信では、1人のユーザーが8GBものトラフィックを占めていたこともあるとのことで、「1人の超ヘビーユーザーを42人が支える構図」(福田氏)が現実であり、公平性を高めた料金体系が必要とする。そこで基本となる考え方として「応分負担」を挙げつつも、現状の従量課金では、データ通信だけで10万円を超えてしまい、現実的ではない。このため同社では今回、1GB単位で料金を支払う、という体系の「b-mobile Fair」を用意した。4カ月で1GBで、9800円(追加は8350円)という体系は、利用期間を長くすると高額になり、短くすると使い切れないことがある、といったことから、利用期間と料金のバランスを踏まえた結果という。月間10MB~754MBという通信量であれば、ドコモの料金より安価になるとして、最もヘビーなユーザー(超ヘビーユーザー)とほとんど使わないユーザーを除く、幅広い層にとって使いやすい価格とも説明していた。

トラフィックの増大とフェアな料金体系のバランスが課題とするごく一部のヘビーユーザーを多くのユーザーが支えている構図とする
ライト層からある程度のヘビー層に適してるとするSIMロック解除時代に向けた製品

 同社では、ユーザーが増加するたび、ドコモから借り受ける回線を増強してきたとのことで、今回は新サービスに向けて3月初めにも2億円以上を投資して帯域を増強した。SIMロック解除に向け、「b-mobile Fair」に注力する姿勢を示す中、現状ではSIMロックフリーの端末は気軽に購入できる状況ではない。こうした点について、福田氏は、「ドコモがSIMロック解除制度を導入したことで、端末メーカーはSIMロックフリー端末を開発しやすくなった。今後、海外メーカーだけではなく国内メーカーの製品も登場するだろう」と予測した。このほか、携帯電話を日本国内で利用するために必要な技術適合基準(技適)については、昨年電磁的表示(ディスプレイでの表示)が認可されたことが、大きな規制緩和だったと分析し、その効果がようやく海外メーカーに認知されつつあるとした。

 



(関口 聖)

2011/4/8 20:44