モトローラのスピロス氏、XOOMやスマートフォンの日本戦略を語る


モトローラ・モビリティのスピロス・ニコラコポウロス氏

 28日、KDDIからモトローラ製のタブレット型端末「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」(XOOM)が発売されると発表された。これを受けて、モトローラ・モビリティは記者説明会を開催し、XOOMをはじめとした同社の戦略を解説した。

 登壇したモトローラ・モビリティ Vice President & General Manager International Distribution Marketsのスピロス・ニコラコポウロス氏はまず、モトローラ・モビリティがモトローラから分離した会社で、家庭とモバイル分野が担当領域の会社であることを説明。家庭、勤務先、移動中などではモバイルデバイスが中心になるという基本のビジョンを掲げ、戦略を4つのポイントで解説する。

 そのポイントは、1)魅力のあるハードウェアを提供し、2)Androidを中心とした最適なOSを選択し、3)独自のソフトウェアなどユーザーエクスペリエンスを向上させる取り組みを行い、4)クラウドサービスと絡めて、消費するだけでなくユーザーが創造する活動を支援する、というもの。同氏は、OHAへの貢献はGoogleに続いて同社が大きいとして、OSとしてはAndroidを戦略の中心に据えている様子を語ったほか、「クラウドコンピューティングには投資が必要」とクラウドの重要性に触れ、セキュリティ系企業「3LM」を買収したり、ZumoCastを提供する企業を買収したりするなど、積極的な拡張を図っている様子を紹介した。これらは、端末の法人向け展開も視野に入っており、端末に付加価値を与えるための取り組みになっている。

戦略の4つのポイント

 

XOOMで「モトローラのリーダーシップを見せる」

XOOMを手にするスピロス氏

 日本市場への取り組みについては、質疑応答の中で明らかにされた。ここ数年、モトローラ製の携帯電話は日本市場で展開されていなかったが、これは、米モトローラがAndroidを中心としたスマートフォンに舵を切り、その移行に2年ほどかかったことも影響しているという。

 一方、日本市場については「スマートフォンに移行しており、今、エキサイティングな時期を迎えている。一度移行が始まると、急速に移行が進むだろう」と市場を分析しており、数年ぶりとなる今回の展開については、「XOOMを初めて日本に投入した理由は、日本市場でモトローラのリーダーシップを見せたかったからだ」と説明。同時に、「日本のユーザーは要求レベルが高い。だからこそ、高品質な、差別化要因を持つものを投入する。高いブランドを確立することが重要」と語り、「XOOMは、ほかのタブレットと比べても外観に高級感がある」とデザインや品質にもこだわりを見せた。

 Googleやそのほかの企業が提供する既存のクラウドサービスとは競合しない、補完的なものと説明されたモトローラ独自のクラウド系サービスだが、日本で開発したものを海外で展開するといったことも容易になるとし、「そういうエコシステムがよい部分だ」とした。また、日本での展開については「ローカライズを考えていく」と提供していく方針が明らかにされ、例えばSNSなどをまとめて管理できるサービス「MOTOBLUR」では、「mixi」を組み込むといったことを検討しているという。

 Androidのバージョンアップについては、「市場や製品を吟味した上で発表するのが適切」と慎重な姿勢を示す。これに関連して、同社がこれまでタブレット型端末をラインナップしなかった点に言及し、「2010年にタブレット型端末を投入しなかった理由は、Android 3.0の端末を投入したかったからだ。仮に(Android 2.2などで)投入していれば、Android 3.0へのアップグレードは難しかったのではないか」と、製品戦略の上でもバージョンを適切に選んでいく姿勢を示した。

 日本での体制については、モトローラ・モビリティ・ジャパンが日本語化などの作業を行っているほか、従来同様にパートナー企業を介してサポートを提供する。

 KDDI向けのXOOMがWi-Fiモデルとなっている点については、モバイルWi-Fiルーターや公衆無線LANサービスが充実していることなどを理由に、「KDDIと蜜に協業し、Wi-Fiモデルとした」と説明。スピロス氏はまた、「なぜKDDIなのか。ほかの企業と組むこともできたが、XOOMは新しいカテゴリの製品。日本市場におけるこの製品のポジションに共通の理解があり、KDDIがモトローラを選択し、モトローラがKDDIを選択した」と、お互いの意向が合致した結果であるとした。

 今後の展開については、「モトローラのスマートフォンのラインアップは充実している。XOOMの補完的なものもあり、チャンスがあれば届けたいと考えている」と、スマートフォンの投入にも前向きな姿勢を示している。

 



(太田 亮三)

2011/2/28 18:19