KDDI田中社長、「ワクワク感」をテーマに2機種をアピール


 KDDIは、4月上旬に発売するスマートフォン「htc EVO WiMAX ISW11HT」と、タブレット型端末「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」2機種を発表した。

 28日には都内で記者向けに発表会が開催された。登壇したKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏は、IS03などを発表した当時のスライドを振り返り、「auらしさは、ワクワク感だと思っている」とスマートフォンに意欲的に取り組む姿勢を改めて示す。同氏は、50万台以上を販売したというIS03のほか、防水で人気というIS04、「近々に発売予定」と、女性向けというIS05を紹介した上で、新たなサービスとして、Androidマーケットで「auかんたん決済」が3月末より提供されることを明らかにした。

「htc EVO WiMAX ISW11HT」と「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

 

「『超!』速いスマートフォン」

 「IS03で“ガラスマ”の世界を切り開いた」とする田中社長だが、今日の発表は「どちらかというと、ハイエンドのユーザー向け」と切り出し、「超!×2」というキーワードを紹介。その一つ目、「『超!』速いスマートフォン」として「htc EVO WiMAX ISW11HT」(EVO/イーヴォ)を披露した。田中氏は、「米国では本当に(たくさん)売れたと聞いている。速くないと、スマートフォンのよいところを体験できない」とEVOを紹介。WiMAXに対応したことで、「ダウンロード速度が20Mbpsを超えている時もあった」と使用感を述べ、この速さが「ワクワク感のひとつだ」とした。

 EVOについてはまた、「いままでのKDDIならここで終わりだが」と、さらに注目機能をがあるとし、「テザリング解禁」とスライドを披露。最大8台までの無線LAN機器が接続できるモバイルWi-Fiルーター機能(テザリング機能)が搭載されることを明らかにし、「WiMAXにはスループット規制をかけていない」と速度や通信容量の面でも快適に利用できるとした。

 田中氏はさらに、EVOを実際に使った感想として、「速い。(速さは)なかなか経験できない。YouTubeやニコニコ動画が大好き。私も昔は時間ができるとメールだったが、動画が(快適に)見られるのは非常にいいのではないか」と、自身の使い方に言及しながら楽しんでいる様子を語った。

 壇上には、ゲストとしてHTC President of Engineering & Operations Corporate Senior Executive Vice Presidentのフレッド・リュウ氏が登壇。リュウ氏は、スマートフォンが世界でも日本でも販売台数を伸ばしているという数字を示した上で、HTCのEVOを「最重要な端末のひとつ。(北米キャリアの)Sprintのベストセラーになっている」と世界でも注目の端末だとし、「HTC Sense」のユニークな機能なども紹介。KDDIについては「ユーザーが欲するものを理解している」とEVOの投入を歓迎するコメントを寄せた。

 田中社長からも、「HTCさんとガツンとやっていく。本当に良いパートナーになれるのはないか」と、HTC製端末の展開に期待を込めていた。

「+WiMAX」利用料は月額525円HTCのフレッド・リュウ氏

 

「今年はタブレットがくる」

 田中氏からはまた、2つ目の「超!」として、モトローラ製の「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」(XOOM/ズーム)が発表された。この端末は、1月にラスベガスで開催されたCESで披露された、Android 3.0搭載の最新のタブレット型端末。今回の発表前に事前に使ってみたという田中氏は、「普段はパソコンを5台使っているが、パソコンでの仕事にXOOMを介してトライしてみた。スイッチひとつで立ち上がり、画像も綺麗。6台目のパソコンになったというのが感想。動画も(携帯ではなく)これでみると迫力があり、楽しんでいる」とさまざまに活用できる様子を感想としてコメントした。

 OSについては「あたりまえのAndroid 3.0」としたほか、「今年はタブレットがくるぞ、と思っている」と、CESで多数のタブレット型端末が展示されたことを紹介。その中でXOOMが端末としてベストの賞「BEST OF CES 2011」を受賞したことを示し、「超注目のタブレット。いちはやく日本に持ち込みたいと思い、短期間で今日に至った。発売までもう少し」と、先端層が注目の端末をいちはやく投入する様子を語った。

 壇上には、モトローラ・モビリティ Vice President & General Manager International Distribution Marketsのスピロス・ニコラコポウロス氏が登壇し、XOOMの紹介を行った。同氏はXOOMについて、繰り返し「タブレットのあるべき姿」と強調。CESでの受賞など、プレス関係者も賞賛している様子を紹介したほか、「日本で発表するにあたり、パートナーが必要だった。KDDIは日本で革新的な端末を発表している。XOOMは真の意味で革新的。このパートナーシップが日本のユーザーにとって素晴らしいものになると信じている」とXOOMの日本での展開に触れ、「重要なのは、こういった商品が現実のものになっていること。アメリカでは発売されている」と現実的な商品であることをアピール。「ぜひタッチアンドトライに」と実際に触れて体験するよう、集まった報道陣に呼びかけた。

XOOMの特徴モトローラ・モビリティのスピロス・ニコラコポウロス氏

 

ワクワク感を優先、「ちょっとぐらい収入が減ってもいいんじゃないか」

 質疑応答の中では、「+WiMAX」機能が月額525円で提供されることで、KDDIとしての料金収入が減るのではないかという懸念が聞かれた。田中氏は、UQコミュニケーションズとのMVNOによるWiMAXサービスの提供は、UQから公表されているMVNO向け料金体系の中で取り組んでいることを示し、「特別なことはしていない」と回答した。WiMAXのエリアが首都圏や政令指定都市を中心に充実していることで、「(EVOでは)ほとんどのトラフィックがWiMAXになるのではないか。そういった根拠で算定している」とEVOに「+WiMAX」として設定した料金を説明。「auユーザーにワクワク感を伝えたい、ということを優先している。ちょっとぐらい収入が減ってもいいんじゃないかと思っている」と、まずはユーザーにとって使いやすいサービスにしたことを明らかにした。

 EVOが対応する新800MHz帯については、KDDI コンシューマ事業本部 サービス・プロダクト企画本部長の増田和彦氏が「通常利用においては問題ない。心配いただかなくても結構」と明言。EVOであれば、2GHz帯と新800MHz帯をサポートしており、この2つで人口カバー率は99%に達するとした。

 KDDIの採用する新800MHz帯が、北米など海外で使われる800MHz帯と同様の使われ方になったことで、海外のCDMA端末が投入されやすい環境が整ったことになる。この点について田中氏は、「新しい周波数帯は、CDMAでは敷居が低くなっている。具体的に何が入ってくるかは、回答は控えさせていただく」とコメント。ロードマップには言及しなかったものの、今後もCDMAのグローバルモデルが投入されることを示唆した。

 一方、グローバルモデルを投入するというスタンスのEVOは、EZwebのEメールやCメール送受信といった、auのサービスへの対応が限定的な形で製品が発表されている。増田氏は、「準備を進めている段階で、なるべく早い段階でアナウンスしたい」としたほか、「ほかのサービスへの対応も、グローバルスマートフォンを導入する際には検討しなければいけない」と、今後の検討課題とした。

 

プレゼンテーション


 

 



(太田 亮三)

2011/2/28 15:54