ウィルコムのXGP事業、Wireless City Planningが受け継ぐ


 Wireless City Planningは、ウィルコムが展開する予定だった2.5GHz帯の通信サービスについて、総務省へ提出していた「特定基地局開設計画」を12月21日に承継すると発表した。総務省では7日、審査の結果、この承継を許可すると発表している。

 無線による高速データ通信サービス(ブロードバンドワイヤレスアクセス、BWA)を提供するため、2007年12月に2.5GHz帯の免許を獲得したウィルコムは、今年2月、会社更正法の適用を申請。昨年12月時点で2060億円もの負債を抱えていたが、その後更生計画を東京地裁に提出し、11月30日に更生計画が認可された。

 この更生計画の中で、2.5GHz帯を用いるXGP(ウィルコムの高速データ通信サービスの規格および名称)事業については、ソフトバンクやアドバンテッジパートナーズ(AP)のファンドなどが出資する新会社Wireless City Planningへ承継される予定となっていたが、今回、その計画通り承継が認可された。

 今年6月に設立されたWireless City Planningは、12月1日付けで電気通信事業者として登録。現時点での資本金5億円(ソフトバンク100%子会社)だが、12月21日までに、2.5GHz帯免許の「1/3ルール(既存3Gキャリアの資本は1/3以下にするという方針)」にのっとり、議決権ベースで、ソフトバンクとAPのファンドが33.326%、その他の投資家が33.34%の出資を行う。

 この議決権は普通株式によるもので、出資額は、ソフトバンクが30億円(そのうち10億円は出資済み)、APのファンドが30億円、その他の投資家が30.02億円になる。それとは別に、議決権が割り当てられない優先株への出資として、ソフトバンクが20億円、APのファンドが20億円を出資する。これにより130.02億円の出資(現在からの増資額は計120.02億円)を得て活動していくことになるが、具体的なスケジュールは未定となっている。

 承継する「特定基地局の開設計画」自体に変更はないが、今後の計画は「そのあたりはこれから」(ソフトバンク広報)とのことで、別途検討される見込み。XGP事業のほか、PHS事業とXGP事業用の電柱などの資産、PHS/XGP基地局の設置箇所賃貸契約などの借り主の地位をWireless City Planningが受け継ぐ。PHS関連の資産については、ウィルコムへ貸し出す、という形になる。

 Wireless City Planningの本社は東京都港区東新橋で、代表取締役社長には、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が就任している。社員の規模は、ウィルコムからの出向者を含め約120名とのこと。

 



(関口 聖)

2010/12/7 17:45