KDDI高橋氏「iidaは3つの方向でイノベーションを起こす」


 KDDIは9日、都内で記者向けに「iida」最新モデルの発表会を開催した。プレゼンテーションにはKDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ商品統括本部長の高橋誠氏と、同社 サービス・プロダクト企画本部長の増田和彦氏が登壇し、説明を行った。高橋氏からはiidaのこれまでの取り組みと戦略について、増田氏からは今回発表されたラインナップの解説が行われた。


iidaで活力を感じてもらえた

KDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ商品統括本部長の高橋誠氏

 高橋氏は、iidaとしてG9など製品ラインナップを初めて発表してから5カ月が経過し、G9など端末が好評を得るとともに、テレビ・Webのプロモーションでも世界観を統一した展開を行ってきたことを説明。「iidaを立ち上げた時の市場背景として、デザイン志向のユーザーが半数近くに上っているデータが示したが、iidaをきっかけとしてauへの興味が高まったという声が増えた。我々としてうれしいことで、auの活力を感じてもらえた」と、手応えを感じている様子を示す。

 高橋氏はまた、周辺機器への展開にも触れ、約半数のユーザーが魅力的に感じるという調査結果に「非常に心強いデータとなっている」と、iidaの特徴のひとつでもあるライフスタイルプロダクトの展開が一定の成功を収めていると評価。iidaのコンセプトである「imagination」「design」「art」の3つについて、「3つの方向でイノベーションを起こしていきたい」と、幅広い展開で革新的な製品を提案していく姿勢を示した。

 同氏はこれまでの展開をふり返り、「iidaブランドは50%以上に認知してもらえた。たくさんのデザイナーに賛同してもらい、集まってもらえた。また、携帯にとどまらない周辺機器やデジタルコンテンツに広がりを見せ始めている」とし、広がりつつある世界観を「本日発表した具体的な製品で感じてもらえれば」と新しいラインナップを紹介した。

iida展開後には「auへの興味が高まった」が増加周辺機器の展開も評価されている
これまでに展開された9つのプロダクトプロモーションにも力を入れてきた

 

「ライフスタイルプロダクト」の製品群を拡大

KDDI サービス・プロダクト企画本部長の増田和彦氏

 新しいiidaのラインナップについては、増田氏から説明が行われた。増田氏は「iidaは、プロダクトを通じてライフスタイルをデザインしていくというもの」という基本理念を改めて述べた上で、iidaに関する4つの考え方として「ライフスタイルをデザインする」「携帯電話の未来やあるべき姿を探求する」「iidaの理念を外部デザイナーと共に具現化する」「auに並ぶのではなくau自らが開発するブランド」という方針を示し、これら4つの考え方に基づいて新しいラインナップが展開されることを説明した。

 秋冬の展開として示されたのは「携帯電話」「ライフスタイルプロダクト」「デジタルコンテンツ」「フューチャーコンセプト」「プロモーション」の5つ。


「iidaって何?」に答える、iidaの4つの考え方今回は5つの分野でさまざまな展開を行う

 携帯電話は「PLY」「PRISMOID」の2機種。PLYは“積層”を表し、すべてのサイドキーを片側に集約したデザインや、「カラー オン カラー」という配色の妙も特徴に挙げた。「PRISMOID」は1970~80年代の未来観をテーマにデザインされ、角を斬新にカットしながらも持ちやすいデザインを採用。内側のキーも独立タイプで使いやすさに配慮されている。

PLYPRISMOID

 「ライフスタイルプロダクト」としては、23種類もの周辺機器に加えて、国内外の学生を対象にしたデザインコンペ「iida AWARD 2010」も開催する。周辺機器はPLY、PRISMOID専用アイテムに加えて、国内の14組の新進気鋭のデザイナーと開発したものを展開。デザイナー同士のワークショップも重ねられ、さまざまなアイデアが反映されたラインナップになっている。基本的にWebサイトでの販売となるが、ACアダプターなどは店頭での販売も検討されているという。

ACアダプターは新たに7種類を用意新進気鋭のデザイナーと開発した、ユニークなアイデアの14製品

 「デジタルコンテンツ」では、アーティスト、写真家などとアート志向の待受画面などを展開する「iida Digital Contents Gallery」、中田ヤスタカとコラボレーションし、作詞が反映される着信コンテンツ「iida calling 2」が展開される。

「iida Digital Contents Gallery」ではアーティスト、写真家などのコンテンツを用意。auユーザー以外も利用できる「iida calling 2」は作詞をテーマにしたコンテンツに

 「フューチャーコンセプト」では、「コンセプトモデルの発表はデザイン的な発展を促してきた」と語ると共に、商品化を前提としたものではないとするものの、新たなコンセプトモデル「Polaris」を発表した。これは、携帯電話を収納できる球形のロボットで、ライフログを収集してテレビなどに表示、アドバイスも行うというもの。開発はフラワーロボディクスが担当した。

コンセプトモデル「Polaris」はライフログと連携会場では、動作をイメージしたデモも

 増田氏からはこのほか、プロモーションにおいて引き続きテレビCMとWebサイトのプロモーションを統一した世界観で展開することや、新たなCMにPerfumeやcapsuleを手がける中田ヤスタカの楽曲を採用したことも明らかにした。

 同氏は「2009年4月のiida発表以来、さまざまな評価をもらった。プロダクト、アワード、コンセプトなどの形でますます世界観は広がっていく」と語り、「今後の展開にご期待下さい」と自信を見せた。

左から、「Polaris」を開発したフラワーロボティクスの炭本直彦氏、同 松井龍哉氏、KDDIの高橋誠氏、「PRISMOID」プロダクトデザイナーの深澤直人氏、「PLY」プロダクトデザイナーの神原秀夫氏「ライフスタイルプロダクト」で周辺機器などを開発したデザイナー
発表会・展示会は美術館を使って実施会場は六本木・ミッドタウンの「21_21 DESIGN SIGHT」

 



(太田 亮三)

2009/9/9 15:31