ニュース
「シーマン」の知見をみまもりデバイスに投入、オプテージら3者が福島で実証
2025年1月10日 12:46
シーマン人工知能研究所とオプテージ、福島県川俣町は高齢者のみまもりデバイス「俣兵衛」(またべえ)の実証実験を実施する。
俣兵衛は、シーマン人工知能研究所が開発したみまもりデバイス。独居高齢者に話しかけて、その結果を離れた場所で暮らす家族や介護事業者、自治体関係者などにメールで通知する。転倒など体調の異常を検知して、民生委員などに直接連絡する機能の実現を目指す。今回の実証では、製品の効果や不都合などを確認する。
一問一答で終止せずに文脈を記憶し、話題を広げたり日々の行動をさり気なく確認したり、ツッコミもいれるなど自然な人間同士の対話を目指す。親しみやすさを与えるため、川俣町に伝わる民話をベースとしたキャラクターとして、表情の変化を伝えるディスプレイを備える。声優として、川俣町在住の小学生2人を起用した。
通信には、オプテージが提供するMVNOサービス「mineo」のモバイル回線を使用しており、複雑なネットワークの設定などが必要ない。町や町内の団体との連携で、利用する高齢者の服薬状況や緊急連絡先などを事前に設定でき、それに応じて発話内容もカスタマイズできる。
シーマン人工知能研究所は、ドリームキャストやPlayStation 2でリリースされたTVゲーム「シーマン」シリーズの開発者が立ち上げた企業で、俣兵衛にもゲーム開発の知見を投入した。生成AIをベースにしながら、独自の「AI日本語会話制御エンジン(SwitchingSystem)」により、性能を高めて「楽しませる会話」の実現を目指しているという。
オプテージの新規事業創出プログラム「DENPAto」および震災復興のための「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」による事業の一環。川俣町は、人口の50%ほどが60歳以上の高齢者が占める。日本全体でも高齢化が進むなか、俣兵衛を通じて独居高齢者が安心して暮らせる環境や孤独感の解消など、課題解決につなげることを狙う。