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携帯契約に関する苦情を総務省が公表、行政指導を受けサービス終了する事例も

出張販売での強引な勧誘、MVNOの解約方法に関する苦情が多数

 総務省は、「消費者保護ルール実施状況のモニタリング定期会合(第14回)」を開催した。本稿では、携帯電話の契約に関して総務省や消費者センターに寄せられた苦情などについて、公開された資料からその内容を紹介する。

 定期会合の事務局が公開した資料では、2022年度上半期に全国の消費生活センターおよび総務省で受けた苦情は、前年同期と比較して少なくとも-6.7%以上減少していることが報告された。

 一方、苦情相談は消費生活センターや総務省への電話はともに件数が減少したが、総務省のWebサイトでの受け付けは増加している。これは、通信障害は速度への不満に関して総務省のWebサイトへの通報を呼びかけるインターネットでの書き込みがされた影響が大きいと分析している。

 サービス別では、MNOサービスに関する苦情相談が全体の27.7%で最も多く、次いでFTTHサービスが25.9%、MVNOサービスが8.3%で、その内訳はデータ専用サービスが6.1%、音声付帯サービスが2.2%となる。

 苦情相談の受付割合ではMNOサービスが最多となったが、契約件数は1億7798万件で、MVNOの2757万契約と比べて約6.5倍多い。一方、苦情相談の件数はMNOがMVNOの約3.3倍のため、契約件数を基準にすると、MVNOサービスの苦情発生割合はMNOサービスに比べて約2倍と高くなっている。

MNOの苦情相談

 MNOの苦情相談の発生要因となったチャネルは、店舗が28.5%で最多だが、前年度の下半期と比較すると2.2ポイント減少している。2番目に多いオンライン契約は10.1%で、前年度下半期よりも6.6%から3.5ポイント増加した。

 苦情相談の項目や観点は、勧められて事業者を新規契約またはMNPで乗り換えしたことに関する苦情が前年度下半期の21.9%から6.7ポイント増加し28.6%で最多となった。

 その事例として、出張販売で料金が安くなると試算されて乗り換えたが、販売員の強引な勧誘があり納得できない、格安スマホ(MVNO)のルーターを変更すると月額料金が安くなると言われて契約したが高くなってしまった。などの事例が紹介されている。

MVNOの苦情相談

 MVNOの苦情相談の発生要因となったチャネルはオンライン契約で13.1%、前年度下半期の16.7%から3.6ポイント減少した。2位は店舗(その他)で8.0%、前年度下半期の5.6%から2.4ポイント増加した。3位は電話勧誘で5.4%、前年度下半期の6.2%から0.8ポイント減少している。

 苦情相談の項目・観点別では、解約の条件・方法に関する内容が38.6%で最多、次いで勧められて事業者を新規契約またはMNPで乗り換えしたことが27.3%で2位、通信料金の支払(心当たりのない請求など)が21.5%で3位となった。

 苦情が最も多かった解約の条件・方法に関する事例は、通話中に音声が途切れるが、修理中の代替機などの貸し出しサービスが無く、解約すると違約金が発生する対応に不満、サービス解約をチャットで何度も申し入れしているが、繋がらないなどの事例が紹介された。

 2022年度上半期に電気通信事業法の利用者保護規律への違反に係る文章による行政指導を行った事例は1件で、シレーヌが提供するMVNOサービス「モナWi-Fi」に対して、電子メールで問い合わせを繰り返したが返信が無い、苦情などの申し出に対して速やかに十分な回答がされない、解約の申し出を行ったが数ヶ月対応がされないなどの苦情が多数寄せられたという。提供元のシレーヌは、同サービスについて提供を終了する予定を発表している。