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ソフトバンク、スマホアプリを使ったデマンドレスポンスサービスのトライアルを開始――導入の意図は

 ソフトバンクの新電力事業会社SBパワーは、電力を供給する家屋の30分毎の電力量データとAIによる需要予測技術を活用したデマンドレスポンスサービスのトライアルを7月から実施する。

 デマンドレスポンスとは、ピーク時など電力の需要が多い場合などに、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、電力の使用の抑制を図るもの。

 ユーザーにスマートフォンアプリをダウンロードしてもらい、アプリから節電の協力案内を通知する。受け取ったユーザーは、参加するかを選択、参加した上で目標電力量以下に使用電力を抑えることができれば、その効果に応じたPayPayボーナスが進呈される。

背景に電力供給・配電コストの削減

 同アプリ導入には、電力のさらなる安定供給の実現に向けた制度の変更が背景にある。

 電力の配電網は需要と供給を一致させないとならない。一致しないことが一瞬でも起こると周波数や電圧に変化が生じたり、大規模な停電を引き起こす可能性がある。

 東京電力パワーグリッドや関西電力送配電など送配電事業者は、需要と供給のバランスを瞬時に判断し合わせることを行っているが、需要が非常に多くなるケースに備え、発電設備などを余分に持っておりこれにコストがかかっている。

 そこで、新電力事業会社に需要と供給のバランスを守らせるためにインバランス料金を設定した。

 同社の松崎 踊氏によると、インバランス料金は小売電気事業者が供給する電力に対し需要が一定以上ずれているとその度合いに応じて送配電会社に支払わなければならないもの。いわばペナルティーだ。インバランス料金は電力の供給が需要に対し余っても足りなくなっても必要な料金だという。

 また、電力を発電会社から買い取る際、同じ電力を全時間帯通して購入する場合単価は抑えられるが、ピークの時間帯のみ購入する電力の単価は高くなる。

 同社では、この2点に着目し、ピークとなる時間帯の需要を抑え、「インバランス料金の削減」と「買電単価の減少」を実現するべく、一般家庭のユーザーにも協力してもらうべく、同アプリを開発したという。

 同アプリでは、ピーク時間帯をAIが予測し、その時間帯の電力使用量を抑えてもらうことで、供給コストの削減につながるとしている。同社の楠見 嵩史氏は、ゲーム感覚で楽しみながら電力使用量削減に協力してもらい、お得になるようなサービスとして考えたとし、様々な方法を検討した中でスマートフォンアプリが最適だと判断されたという。

 今回は夏のピーク電力に関して取り組み、将来的には数十万程度の同社ユーザーに協力してもらいたいとしている。