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KDDI高橋社長、ドコモの料金値下げ予告に「仕掛けてくれば対応する」

 KDDIは31日、2019年第3四半期決算を発表した。報道関係者向け説明会で、代表取締役社長の高橋誠氏は、国が進める携帯電話業界に対する規制の動向や、au経済圏の見通しなどについて語った。

KDDIの高橋社長

ドコモの予告に対抗姿勢

 2018年~2019年の携帯電話業界では、秋の楽天参入、5Gに向けた進展などのほか、政府が低廉化を迫る動きを強めてきたことが大きな特徴に挙げられる。

 このうち、低廉化に関しては、業界最大手のNTTドコモが、2019年度第1四半期(4月~6月)にも、新料金プランを導入して、値下げする方針を明らかにしている。

 ドコモの取り組みがどうなるか、現時点ではまだまだ不透明だが、KDDIの高橋社長は、同社がいち早く分離プラン(au ピタット/フラットプラン)を導入し、これまでに3800億円程度の還元を達成した、と実績を示しつつ、NTTドコモが今後導入する料金プランについては「同等の水準ならともかく(auより割安な料金に)踏み込んでこられることがあるだろう。競争なので、しっかり対応していく」と語る。

法改正に「わかりやすく対応したい」

 既に分離プランを導入済みであることは、総務省にも理解してもらっていると語る高橋氏だが、残る課題として、いわゆる4年縛りが指摘されていることに触れる。

高橋氏
「長期契約については、聞くところによると、今国会で法の見直しが進められ、ガイドラインは秋になってくる。お客さまにとってわかりやすくしなければいけない」

 4年契約では、再契約(次回更新時にふたたび同じ4年契約を締結すること)を条件にしていたことが問題視され、KDDIでは既に同条件を撤廃済み。ただ、機種変更時の条件にも課題があると指摘されているとのことで高橋氏は「もともと48カ月(4年契約)は、分離プランの導入で端末代金が高くなり流動性が落ちるため(の対策)だった。どうすれば端末を手にしやすくなってわかりやすくなるのか。法改正の内容や、その後のガイドラインを見ながら改善したい」と述べた。

端末販売、「競争環境の悪化」で計画下回る

 2018年度第3四半期における携帯電話端末の販売数は、220万台だった。これは前年同期と比べて14万台少ない。もともとKDDIでは2018年度の端末販売が前年度を下回るとの予測を示しているが、この点を問われた高橋社長は「流動性が落ちている。他社との間で、MNPも弱含みになっている。また機種変更は去年ほどの数ではない」と説明する。

 第3四半期の業績として、2017年に導入した「au ピタット/フラットプラン」の影響で、au通信ARPA収入が325億円下落。「競争環境の悪化で、社内計画を下回った。第4四半期はコストが膨らむかもしれないが(今春で最終となる)中期経営計画はしっかり達成したい」と高橋氏は意気込む。

中古端末「積極的には検討していない」

 NTTドコモが今春にも投入するとみられる分離プラン(端末販売と料金プランを分けて提供するプラン)は、過去にも同様の考え方に基づく施策が取り入られた際には「流動性が落ちたのは事実」と高橋氏。

 ユーザーはキャリア間の乗り換えをしなくなる可能性を指摘しつつ、「中古端末が特効薬になるかわからない。今のところ、中古端末について積極的な取り扱いは検討していない」と語った。

キャッシュレス後発の「au Pay」に自信

 この春、KDDIでは、新たな決済サービス「au Pay」をスタートする。楽天と協力してスタート時から100万以上の場所で利用できるようにするとのことだが、いわゆるコード決済としては、楽天やLINE、NTTドコモ、PayPayなどから後れを取った格好だ。

 これに高橋氏は、これまで提供してきた「au Wallet」の存在が強みになると語る。au Payの詳細は未発表ながら「au Wallet」の残高を使う仕組みで、プリペイドカードの発行枚数、すなわちau Payの口座とも言える分が2000万を超えているほか、その残高が1000億円以上に達している。つまり後発であっても最初から一定数のユーザーが存在する、という形。

au経済圏の推移
Netflixプランが好調という

 高橋氏は、コード決済は店舗側にとってコストが安く、導入しやすい仕組みと解説しつつ、KDDIとしては、通信を軸にしつつ、金融、通販、エンターテインメント、電力、教育など、ユーザーの生活に関わる分野へ進出して接点を増やしていく戦略であることをあらためて紹介し、今期5000億円の予定だった他社へのM&Aが既に5200億円に達し順調に推移していることをあらためて紹介した。