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ドコモ、マンホール型基地局を開発
2018年4月11日 14:09
NTTドコモは、地面に埋設するような形で設置できるマンホール型基地局を開発した。半径90m程度の小さなエリアをカバーするもので、景観を守る地域や、遊園地などでの設置が想定されている。既に札幌で検証がスタートしており、今夏には沖縄、今秋には東京渋谷で実験が進められる。
マンホール型基地局は、地面に穴を掘ってアンテナ装置を設置、上から蓋をして一見するとマンホールのような形になる小型基地局。設置用の穴は下水道など既存のものは用いず、この基地局のためだけに掘る。また一般的なマンホールの蓋は鉄製で、耐荷重が最大25tとのことだが、今回は同じ耐荷重を実現しつつ材質にFRPを採用して電波が外へ届くようにしている。
マンホールの真上に人が立っても、電波の強さは電波法令に従った形になる。アンテナ部分は深さ10cm程度のところにあり、穴には基地局装置を設置することもあれば、外部にある基地局装置から繋ぐこともある。バックボーン回線である光回線や電源となるケーブルも埋設される。
設置されるのは、今のところ、車道ではなく歩道や私有地を想定。もし車道に設置し、その上に駐車されると、クルマの重みには耐えられるが通信が遮られてしまうためだという。
マンホールタイプの基地局は、海外ではスイスに同様の事例があるとのことで、蓋の材質は似たものと見られるが、アンテナ素子の開発はドコモ独自で進めた。またマンホールの蓋部分はレンガ調にするなど周囲の景観にあわせてカスタマイズできる。サービスエリアは半径90mで、高さはこれまでの実験で15m程度のところまで電波が届くことが確認されている。広いエリアは別の基地局でカバーし、通信量(トラフィック)が多い場所に点在するように設置して、通信の収容力を上げる小型基地局としての活用が期待されている。半径90mというエリアカバーの範囲は、従来の小型基地局と同程度の広さだという。
気になるのは降雨などによる水没へのリスク。マンホール型基地局が設置される部分の底には、排水用の穴が設けられており、ある程度の雨量まではそこで排水できる。ただし排水量を超える豪雨などの場合にはどうなるのか、今後、札幌や沖縄などでの実験で水位計を設置して、検証を進めていく。
ドコモでは2018年度内に本格運用を開始する考え。