【WIRELESS JAPAN 2009】
クアルコム、MediaFLOのデジタルサイネージなどを披露
クアルコムのブース |
「WIRELESS JAPAN 2009」のクアルコムのブースでは、MediaFLOを活用したデジタルサイネージのデモンストレーションや、対応端末の展示が行われている。加えて、非接触の充電ソリューション「eZONE」や、Snapdragon、LTEまでのロードマップといいった展示も行われている。
MediaFLOの展示では、海外で発売されているMediaFLO対応の携帯電話で受信のデモを見ることができる。また、MediaFLOの受信モジュールだけを搭載したUSBスティックタイプの試作端末も用意されており、ノートパソコンに接続して視聴するといった利用方法も提案されている。
さらにブースでは、デジタルサイネージ(電子広告配信)用のディスプレイが設置され、MediaFLOを利用したデジタルサイネージ向けのコンテンツ配信の様子が披露されている。これは島根のユビキタス特区などでも実施されているもので、一斉配信に向く放送型のMediaFLOの特徴がいかせるという。また、実際のデータの受信は小型のUSBメモリ型端末で行われており、デジタルサイネージ用ディスプレイそのものは既存の製品を流用できるようになっている。
デジタルサイネージ用ディスプレイでMediaFLOのデモ | デジタルサイネージ用ディスプレイ側面にUSB接続のMediaFLO端末 |
デジタルサイネージ向けシステムの概要 | USB接続のMediaFLO端末を取り付けたデジタルフォトフレームも |
こちらはパソコンを経由し、無線LANで携帯電話にMediaFLOの映像を送信するデモ | MediaFLOの受信専用端末は、Bluetoothや無線LANで映像を転送する試作機も |
非接触の充電「eZONE」の利用イメージ |
非接触充電規格の「eZONE」の特徴は、電動歯ブラシなどで一般的な電磁誘導方式ではなく、磁場共鳴方式を採用している点。磁場共鳴方式ではアンテナを用いるため、電磁誘導のようにコイル同士を近づける必要が無く、端末を置くだけといったように、充電場所の自由度が高いという。また、電磁誘導のように金属が熱を持つこともない。加えて、例えば携帯電話であればFeliCaなどのアンテナと既存のチップセットにソフトウェアを加えれば利用できるようになるとのことで、導入しやすくなっているのも特徴。なお、磁場共鳴という性質上、干渉などの問題から複数台を同時に充電することは難しいが、時分割で交互に充電を行うことで対応している。入力された電流に対する効率は60%程度とのことで、現在はパソコンのUSBによる充電と同じレベルで充電が行えるという。
実際に充電を行うデモは行われていなかったものの、ブースの説明員によればすでにいくつかのメーカーから問い合わせが来ているとのことで、来年以降など、そう遠くない時期に商品化されるのではいかと期待の声が聞かれた。
東芝のT-01Aに採用され注目されている高速駆動のチップセット「Snapdragon」の紹介コーナーでは、東芝の海外向けモデル「TG01」も用意されPDFファイルがスムーズに閲覧できる様子などが披露されている。
クアルコムのLTE対応チップセットはすべてマルチモード |
携帯電話向けチップセットを多く手がける同社からは、LTEまでの技術的なロードマップについても、かねてより公表されている。NTTドコモは2010年頃にLTE導入の意向を明らかにしているが、ほかのキャリアは既存の3Gの規格を発展させながらLTEにつなげていく、という方針が一般的となっている。このため同社ではLTE対応のチップセットについて、HSPA+あるいはEV-DO Rev.Bなど、LTEと3G発展型とのマルチモードをラインナップの基本としている。ブースの説明員によれば、LTE開始当初では都市部でデータ通信が中心になると予想されることや、10MHz幅あるいは2×2 MIMOなど、十分な性能を得られない仕様を余儀なくされる時期には、HSPA+など3G発展型とのスペック差が限定的になることも関連しているという。
クアルコムのロードマップ。1x AdvancedはEV-DOの技術を音声に適用したもので、利用効率が4倍になる |
一方、LTEを先行して導入するメリットは、OFDMAなど関連するノウハウのほとんどを先行して取得できる点にあり、その後の普及・拡大フェーズにいち早くたどり着ける。ただしこれは資本力のあるキャリアでのみ可能な方策であるとのこと。標準化作業にも携わっているという説明員の個人的な意見として、LTE開始から本格普及まで「2年程度の時間がかかるのでは」とのことだったが、FOMA開始の時と違いLTEは今後仕様が大きく変更されることはない見通しで、必ずしもFOMAの開始時のようにはならないだろうとしていた。
(太田 亮三)
2009/7/23/ 16:14