【CES 2020】
スマホにつながる望遠鏡や電子楽器、CESで見かけたユニーク製品
2020年1月15日 00:00
CESではさまざまな企業がさまざまな製品を展示しているが、ここでは会場で見かけたスマートフォンと接続する製品から、筆者が独断と偏見でピックアップした、とくにユニークなものをご紹介する。
スマホで簡単に天体観測ができる望遠鏡
天体望遠鏡など光学製品を手がけるセレスロトン(Celestron)は、スマートフォンを使った天体望遠鏡製品を展示している。ちなみにこちらはCES自体には出展せず、同時開催されていたプレス向けイベントのDigital ExperienceとShowstoppersで展示されていた。
展示されていたのは「StarSense Explorer」というシリーズの天体望遠鏡だ。望遠鏡で星雲・星団などの天体を観るとき、望遠鏡の視野に入れる(導入する)作業をスマートフォンでサポートしてくれるという製品となっている。
実際に天体観測の経験がないと想像しにくいかと思うが、星雲・星団を導入するのは難易度が高い作業だ。まず、星雲・星団の位置がわからないといけない。そのための星図だが、その星図も主要な星座の位置関係が頭に入ってないと、実際の星空と一致させるのは簡単ではない。星雲・星団の位置がわかったとしても、肉眼でうっすらとしか見えないようなものばかりなので、なかなか確信を持って導入することも難しい。
しかしこのStarSense Explorerを使うと、スマホ上のアプリに望遠鏡がいま向いている方向の星図と目的の天体の位置が表示され、そのナビに従えば簡単に天体を導入することができる。望遠鏡を動かすのは手動だが、元天文部の筆者からするとそんなことはどうでも良いくらいの便利機能である。初心者にももちろんオススメだし、中上級者も気軽に天体を観たいならばこれがオススメだ。
StarSenseシリーズの望遠鏡には鏡筒の側面か雲台部にスマートフォンホルダがあり、そこに手持ちのスマートフォンを設置し、専用アプリを起動して使う。スマートフォンホルダーの裏面にはミラーが付いていて、カメラが望遠鏡と同じ向きを写し、専用アプリがその星空を画像認識して望遠鏡の向きを正確に把握する。ユーザーが特定の天体を指定すると、その天体がどちらの方向にあるかを星図上でナビゲーションする。
専用アプリは方位や傾きなどのセンサー情報も補助的に利用するが、最終的には画像認識を使うため、低照度撮影が可能な最近の機種でしか利用できないが、iPhone 6やGalaxy S6などやや古い機種も対応リストに入っている。ただしその機能の性質上、最新モデルの方が精度は上がりそうだ。専用アプリは画面表示を赤ベースに切り替えるモードも用意されている。赤い光は瞳孔が閉じにくいため天体観測中の照明に使われる。
今回は口径80mmの屈折型の「LT 80AZ SMARTPHONE APP-ENABLED REFRACTOR TELESCOPE」と口径130mmの反射型(ニュートン式)の「DX 130AZ SMARTPHONE APP-ENABLED NEWTONIAN REFLECTOR TELESCOPE」の2台が展示されていた。このほかにも口径114mmの反射型(ニュートン式)と口径102mmの屈折型の2製品もラインナップされている。価格は130AZが399.95ドルで、三脚や接眼レンズまでのフルセット。すでに受注を開始している。日本での発売は未発表だが、セレストロンは日本でも代理店経由で展開していて、こちらの製品の日本展開も検討しているという。
おもちゃみたいだけどわりと本格的な電子楽器
Joueの「PLAY」はシリコンラバー製の電子楽器だ。操作部はピアノやギター、シンセサイザーを模したラバーシートになっていて、それをトレイ状の本体に載せることでUSB接続のMIDIデバイスとして動作する。iOS/iPadOSデバイスとWindowsパソコン/Macで利用可能。専用アプリだとシートを載せ替えるだけで楽器を切り替えることもできる。
価格は300ドル程度。2月にクラウドファンディングを開始する予定で、公式サイトではクラウドファンディングの先行出資割引(いわゆるEarly Bird)のための登録を受付中。
指紋認証機能もあるクレジットカード型の暗号通貨ストレージ
AUTHENTRENDの「AT.WALLET」は、クレジットカードと同じサイズながら、指紋認証機能やBluetooth通信機能、取引用QRコード表示、残高表示といった機能を搭載する暗号通貨用ストレージだ。暗号通貨をネットに常時接続しないAT.WALLET内に保存することで、不正搾取を防ぐ、いわゆるコールドウォレット製品。
暗号通貨を出し入れする際は、スマートフォンアプリであればBluetooth接続、パソコンアプリであれば充電ドック経由でUSB接続を使い、AT.WALLETで指紋を認証してから、暗号通貨の取引を行なう。
台湾企業による製品で、日本での発売は未定だが、技適は取得済み。暗号通貨の種類としては、Bitcoin、Bitcoin Cash、Litecoin、Ethereum、Dogecoinを保存できる。
インカメラ仮想キーボード
こちらはサムスン電子の社内インキュベーションプログラムのC.LABで開発中の文字入力技術。スタンドなどで卓上に設置したスマートフォンのインカメラでユーザーの両手を撮影し、その指ごとの位置や動きを認識して、どのキーが入力されたかを判断する。
まだ開発中の技術で、どのように製品化するかは未定とのことだが、いまのところサムスン電子のGalaxy向けに英語のキーボードが開発されている。
タブレットを盤面にしたゲームを楽しむ「コマ」
kazooはタブレットデバイスなどを盤面としたボードゲームに使う「コマ」のようなデバイスを展示している。コマの底面にはタッチパネルを反応させる(指で触れたと擬似的に認識させる)発信デバイスが付いていて、それでパルス信号を出し(画面を連打してモールス信号を送るようなイメージ)、タブレットデバイス側にデータを転送させる。この通信方式が「DRIFT」で、同社はこの技術の販売をライセンスやこの技術を使った製品の商品化を目指している。
デモ展示されていたゲームは、固有IDを発信するコマを盤面に置き、それを操作して行なう対戦カードゲームのようなものだった。コマの底面には発信デバイスが複数ついているため、コマの位置だけでなく方向も認識され、コマを細かく動かしながらゲームを進行させられる。Nintendo Switchの「amiibo」に似た外見を持つデバイスだが、画面上に置いてゲーム進行の操作に使えるという点がポイント。ちなみにこのデバイス、Switch向けゲームで使うことも可能だという。
スマホの画面にスタンプをスマート判子
BYSTAMPの「KEYMO」はスマホの画面にスタンプを押すためのデバイスだ。署名やスタンプカードなどのように使える。仕組みとしては、スタンプされる側のスマホアプリはパルス発行するようになっていて、それをKEYMOのセンサーが読み取ってBluetooth接続をし、認証したあとにKEYMOと押されたデバイスの両方に「押した」というログを記録する。インターネットに接続できなくても利用可能だ。
前述のDRIFTと同様にスマホ/タブレット画面を使いつつも、逆方向の通信を行なえるというわけだ。両社の技術を組み合わせるとちょっと面白いデバイスが作れそうでもある。
旅行に最適、多ポート・高出力のUSB PD充電器
HYPERブランドのアクセサリを展開するSanho Corporationは、GaN採用のUSB充電器を展示している。といっても、GaN(窒化ガリウム)を採用したコンパクトで高出力なUSB充電器自体、今回のCESではかなり「ありきたり」な展示物で、さまざまな出力・ポート数のコンパクトなUSB充電器が多数展示されていた。
HyperJuiceブランドの「GaN 100W CHARGER」は、比較的小型なデザインながら最大100WのUSB PD対応のType-Cポートが2つあるのが特徴となっている(全体の合計は最大100Wまで)。QC 3.0対応で最大18WのType-Aポートも2つあるので、これ1台あればノートパソコンなどを含め、出張に持ち出すような機器をまとめて充電できてしまえそうだ。本体サイズは85.3×60.8×28.9mmで重さは208g、折りたたみ型のプラグ(日米で使われているAタイプ)を内蔵。
HyperJuiceブランドは日本国内でも展開しており、この新モデルも日本発売の予定があるとのことで、展示品には日本のPSEマークも刻印されていた。価格は99ドルで3月発売予定。実はこの製品、Kickstarterでクラウドファンディングを行なっていて、そちらの出資者向けには先行して2月より出荷される。原稿執筆時点ではIndiegogoで後追い形式のクラウドファンディングも展開中で、正式価格よりまだ安く入手できそうだが、在庫数が少ないのですぐになくなってしまうかも知れない。