本日の一品

コスパの良い、一押し中国製イヤホン

 音楽や動画を楽しむ際に、外出時での移動だけでなく、室内でも周りに迷惑かけないように、イヤホンやヘッドホンを利用しているという方は少なくないはずだ。筆者もイヤホンやヘッドホンを利用することが多く、できれば音質やコストパフォーマンスの良いものを使いたいと思っている。

イヤホン本体。本体色は黒、赤、青と3種類用意されていて、黒を購入した。機種とシリアル番号が印字されているだけの、シンプルなデザイン

 ここ数年、コストパフォーマンスの良さから中国製のイヤホンが注目されている。単純に低価格というものではなく、豪華な仕様でありながら価格はリーズナブルというものだ。今回紹介する「BGVP DMG」も、それを代表する中国製イヤホンである。

 BGVP DMGは、片側に2つのダイナミック型ドライバーと4つのバランスド・アーマチュア型ドライバーを搭載したハイブリッド型イヤホンだ。ここでいうドライバーとは、いわゆる電気信号を受けて音を出すスピーカーのような部品のことで、部品毎の特性により、高音は得意だけど低音が良くない、低音はいいけど高音が出にくいといったことがある。それを避けるために得意な音域を持ったドライバーを上手に組み合わせることで、低音から高音まで聴こえるようにしている。ただ、ドライバー数が増えると全音域をバランス良く鳴らす調整が難しくなり、部品数が増えることでのコスト増以外にもバランスをとる調整にコストがかさみ、高価な製品となることが多いのも事実だ。

とても柔らかく、取り回しやすい付属ケーブル。耳掛け用にカーブが付けられている

 実際、数年前に中国製で複数のバランスド・アーマチュア型ドライバーを搭載したイヤホンが格安だったので気になり購入したが、中音から高音域が極端に強調されたバランスの悪い再生音で、とても使う気になれないものだった。

 BGVP DMGの特徴としては、多ドライバーのハイブリット型というだけでなく、ノズル部分のフィルターを交換し、再生音を好みの音に変化させることができる点と付属品が十分な品質であることだ。フィルターは、好みの音の傾向に合わせて、3種類から選ぶことができる。好みの組み合わせが決まってしまえば交換する機会も少なくなるが、いろんな設定で音の変化を楽しめるメリットは大きい。S/M/Lの各サイズが用意されたシリコンタイプが3種類、1組のフォームタイプのイヤーチップが付属する。装着感、音質で、好きなものを選択すれば良い。ノズルの直径は最大約5mmなので、その太さに対応した市販のイヤーチップでも流用可能だ。

交換用のフィルターが3種類用意されている。本体に付けてあるのが標準とされている音となり、ゴールドは若干高音が抑え気味で、シルバーは高音が強めになる

 BGVP DMGは、付属のケーブル違いで2つの製品がある。スマートフォンで通話ができるマイク付きケーブルが付属するものと、純粋に音楽を楽しむためのマイクなしケーブルが付属するもので、筆者はマイクなしのケーブルが付属したモデルを購入した。イヤホンのコネクターは、標準的なMMCXタイプになっているので、好みに合わせてリケーブルすることもできる。付属のケーブルは、5N単結晶銅線を銀メッキした良質なもので、ケーブルを耳に掛けやすいようにカーブが付いている。この価格帯のイヤホンの標準ケーブルとしては豪華なものだ。ケーブルクリップも付属している。

 外観についても、低価格帯のイヤホンに見受けられる安っぽさはまったくない。アルミニウムマグネシウム合金を使った筐体は、シンプルかつコンパクトなデザインで質感も高く、耳への収まり・装着感も良い。少なくとも見た目で不満を感じることはないだろう。

 添付のケーブルと標準のフィルターを装着した状態では、高音が多少強調された典型的なドンシャリ傾向だが、全域で細かなニュアンスが聞き取れる情報量が多い、モニタータイプの再生音だ。また、適度な広がり感もあるのも心地よい。音量を上げていってもビビりや音割れなど、破綻することはない。打楽器が打楽器、金管楽器が金管楽器らしく、楽器それぞれの特徴や素材の材質感が、ちゃんと聞き分けられる素晴らしい音だ。標準的なイヤホンを使っている人であれば、これまで聞き取ることができなった音が聞こえてくるような新鮮さを感じるはずだ。

 ただ、好みの問題になるが、ゆったり音楽を楽しむ人にとっては、聞き疲れしやすいかもしれない。やや低音が強くなるが、高音が抑え気味になるので、付属のフィルターをゴールドに変えてみると良い。イヤホンの素性が良いので、再生機器のイコライザーや、フィルター、イヤーチップ、リケーブルで、ほとんどのユーザーの好みの音に調整できるだろう。

 筆者もさまざまなイヤホンを所有しているが、BGVP DMGを使ってみて、この価格帯で、高音質かつ質感の良い製品が登場するようになったのかと驚いた。現在発売されていて、BGVP DMGと同じ数のドライバーを使って、きちんとチューニングされたイヤホンであれば、国産やアメリカやヨーロッパのブランドであれば、価格は7~8万円以上になるだろう。

筆者が使っている組み合わせ。SONY トリプルコンフォートイヤーピースを選んだのは、低音の量感を少なくして、軽い装着感が理由だ

 もちろん、最終的には購入者が「自分の気に入る音なのか?」という評価になるが、私個人は購入してみて、とても満足している。筆者もいろいろと試してみたが、付属のケーブル、フィルターはゴールド、イヤーチップはSONY トリプルコンフォートイヤーピースという組み合わせに落ち着いている。このイヤホンは、実際に試聴できる機会が少ない点が、とても残念なところだ。

製品名発売元実売価格
BGVP DMGBGVP1万5000円
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