本日の一品

ゲームへの集中力が高まる、「Steam」発のジャイロ対応ゲームパッド

「Steam コントローラー」。十字キーがないので、格闘ゲーム好きにとっては評価が分かれそう

 2015年に海外で発売された、パソコン向けゲームの配信サービス「Steam」向けのオリジナルゲームパッド「Steam コントローラー」。それがようやく2016年11月に日本でも発売された。発売当初はブラックフライデーで、価格は30%オフの約5100円。さらに「Portal」「Left 4 Dead」「Half-Life」など約20本のゲームがセットになった、約2万円相当の「Valve Complete Pack」も提供するなど大盤振る舞い。Steamで値引きされるゲームは多いが、お買い得なことは間違いない。

上部にはLRボタン、LRトリガー、有線接続用のMicroUSBポートを備える
背面のカバーはスイッチをスライドさせると外せる

 パソコンとの接続方法は、USBポートに付属レシーバーを差し込んでワイヤレス接続するか、USBケーブルを使って有線接続するかのどちらか。家庭用ゲーム機のコントローラーに似たABXYボタンやLRボタン・LRトリガー、アナログスティックなどを備え、円型のトラックパッドが左右に1つずつ、背面の指が当たる部分にも追加のボタンが2つ配置されている。ジャイロ・加速度センサーも搭載している点はユニークだ。

USB端子を備えるレシーバーをPC側に接続し、ゲームパッド本体と無線接続する
レシーバーを立てるためのパーツやUSBケーブルも付属
左右グリップ内に単三形電池を1本ずつセットして利用

 背面ボタンはゲームに熱中してグリップを握りこむと、つい指で押し込んでしまうような位置にあるので、手のひらを中心にゲームパッドを支える必要がある。グリップも多少太く、このポジションは使い始めこそ違和感があったが、しばらく遊んでいるうちに慣れてきた。もし慣れない場合は後述のキー設定を変更し、背面ボタンを無効化すると良いだろう。

 Steam用クライアントを常駐させていると、ロゴボタンを押すだけで呼び出せる。ゲームパッドでも利用しやすいユーザーインターフェースの「Big Picture」モードが用意され、ゲームパッドでソフトウェアキーボードを操作することも可能なので、文字入力を除けばマウス+キーボードで操作をする機会は少ないだろう。

 ソフトウェアキーボードでは、文字を左右のトラックパッドそれぞれで選択し、左側のトラックパッドで選んだ文字はLトリガーを、右側のトラックパッドで選んだ文字はRトリガーを押して入力する。なかなか変わった方式で、筆者は結局慣れることができず、入力が必要な場合は素直にキーボードを利用している。

「Big Picture」モード画面。フィルター機能などで遊びたいゲームをすぐに呼び出せる
ゲームパッドでスムーズに文字入力できるようになるには時間がかかりそう

 遊ぶゲームごとに、ゲームパッドの各ボタンやセンサーに好きな機能を割り当てて、記憶できるのが特徴の1つ。キーボードの各キーを割り当てるだけでなく、トラックパッドでマウスのカーソル操作を行うことも可能なうえに、センサーも活用できる。例えばゲームパッドを前に倒し込むと上方向に移動したり、ゲーム内の視点を移動させたりといったことが行なえる。

 ゲームプレー中でもロゴボタンを押せばいつでも設定変更可能で、ボタン配置がしっくりこない時はその場で即座に設定し直せる。また、ゲームパッドをサポートしているゲームなら、初めからそのゲーム推奨のカスタム設定が施されているのもうれしい。

ゲームパッドの割当画面
トラックパッドにはマウス操作や十字キーなどの操作なども割り当てられる
ジャイロを使った操作は、トラックパッドに触れている間だけ有効化するようにも設定可能
推奨設定が用意されていても、ゲームによっては必要なキー割り当てが漏れていることもあるので、確認しておこう

 筆者の場合はほぼワイヤレスで使用しているが、プレーに支障があるほどの遅延はなく、キーボード+マウスを使う時よりリラックスした姿勢でプレーできている。使い始めはゲームパッドがやや大きく感じていたが慣れてきたし、最適なボタン設定で遊べるのでストレスもない。指で触れるとわずかに振動するトラックパッドのフィードバックも面白い。

 個人的に最もゲームパッドが活躍したのは、シューティングとブロック崩しを合体させたようなゲーム「Shatter」。シンプルなゲーム性のわりに、以前はキーボードの右Shift/Ctrlキーやスラッシュキーとマウスを組み合わせて操作しなければならない難しさがあったのだが、ゲームパッドでうまくキーを割り当てることで、プレーに集中でき、さらに楽しくなった。

 背面ボタンは、シューティングゲーム「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」のような、プレー時に頻繁に使うボタンが少ないものだと便利。同ゲームでは、通常攻撃のショット、強力な攻撃のバースト(設置バースト)をよく利用することになるが、それら機能は初期状態から背面ボタンにそれぞれ割り振られている。この設定だと親指はアナログスティックを動かすだけでほぼ事足りるため、快適にプレーできるようになった。

 不満点は特にないが、ジャイロセンサー内蔵という特徴を活かすプレー方法を見出せていない。FPSゲームでジャイロを使って素早く大まかに狙いを定め、右トラックパッドで細かな調整を行うといった使い方が考えられるが、時間をかけて微調整しないと逆にプレーしにくくなりそう。やはりFPSでは従来のマウス+キーボードの方が操作しやすいのではないか、と思ったりもする。面白い操作方法ではあるので、マンネリ化したゲームでもジャイロを使って操作すれば、今までにない新鮮な体験ができそうではある。

 なお、Steamにおけるゲームパッドのキー割当機能は、2016年12月からPlayStation 4のDUALSHOCK 4コントローラーもサポートした。DUALSHOCK 4もジャイロを積んでいるので、Steam コントローラーと似たような操作性を実現できるだろう。

 本製品はゲームパッドやPlayStation 4を持っていないSteamユーザー、もしくはこれからSteamでゲームしようと思っている人におすすめしたい。筆者としては2017年、Steamのセールで買ったままプレーせずにいる“積みゲー”を、このコントローラーでガンガン消化したいなぁと思っている。

製品名販売元購入価格
Steam コントローラーデジカ5141円(セール価格)