ロジクールの200万画素Webカメラ3機種を試してみた

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ロジクールの200万画素Webカメラ3機種

 ロジクールのWebカメラを3機種試してみた。それぞれ、Qcam Orbit AFLogicool Qcam Pro 9000Logicool Qcam Pro for Notebooksだ。

ロジクールのQcam Orbit AF。据え置き向で、カメラの向き(上下左右)をモーター駆動でコントロールできる。ロジクールストア価格は1万1800円ロジクールのLogicool Qcam Pro 9000。据え置きにもモバイル(ノートPC用途)にも向くWebカメラだ。ロジクールストア価格は9980円ロジクールのLogicool Qcam Pro for Notebooks。超小型のモバイル向けWebカメラだが、据え置きのための台座も付属する。ロジクールストア価格は9980円

 これら3機種を試してみたのは、どれも200万画素のイメージセンサを搭載した機種だから。ロジクール製のWebカメラのなかで最も高精細な画像が得られるQcam三兄弟ですな。発売から時間が経っているが、現在もなお高品位Webカメラの代表的な存在だ。

 3機種は200万画素のイメージセンサという共通項があるほか、いくつかの点で……てか、Webカメラとしては中身のハードウェアがだいたい一緒? てなくらい共通点が多い。

 具体的には、10cm~無限大までの合焦に対応するAF(オートフォーカス)機構を持ち、F値が2.0のカールツァイスレンズを採用し、レンズ画角は75°(35mm判換算で28mmくらいの広角)。キャプチャ関連では、ビデオキャプチャーが最大1600×1200ピクセルまで、静止画が最大800万画素相当(3264×2448ピクセル;ソフトウェア処理による)までイケる。3機種は、一部機構とサイズ/形状などが違うだけで、性能的には同じ、みたいな雰囲気。

ドライバおよびユーティリティはLogicool Webcam Software。このソフトでキャプチャ~ほかのソフトの起動なども行える。最新版はWindows7にも対応している200万画素のイメージセンサを搭載したロジクール製Webカメラでは、このような解像度を利用できる。ただし動画キャプチャは最大1600×1200ピクセルまでとなる。「*」があるのはソフトウェア補間による解像度ロジクールのWebカメラ(のドライバ)だと、ヒッジョーに多彩なビデオエフェクトが利用できまくりだったりもする

 てなわけで以降、3機種についてその機能や使用感などを書いてみたい。が、拙者的結論としてはどれも十分高性能で高画質。また、Logicool Webcam Softwareの使用感も上々。「ロジクール製のWebカメラでイイヤツが欲しい」というなら、これら3機種から選べば鉄板な感じだと言えよう。

据え置き用途には最高に便利なQcam Orbit AF

 まずQcam Orbit AF(以下、Orbit)。コレ、じつは以前から愛用しているWebカメラであり、拙者観点においては「据え置き型として最強!!」だと言っちゃいがちである。

Orbit本体。下側はやや重みのある台座で、この台座からUSBケーブルが伸びている。台座の安定性は高いやや厚みのある液晶ディスプレイの上になら乗せても大丈夫っぽい台座に付属の棒を付け、その上にカメラ部を乗せて使うこともできる。この状態で机上に置くと、だいたい顔の高さにカメラ部が来る

 ほかの2機種と同様、AFやRightLight(低照度でもキレイな映像が得られる技術)、RightSound(チャット時などの音のハウリングを抑える技術)などの働きで、絵も音もキレイに撮れる。んだが、それよりやっぱり結局、Orbitのカメラ部自体がモーター駆動で動くのがヒッジョーに便利&実用的なのだ。

【動画】クリックで再生
Orbitが動作するところ。ユーザーが手動(マウス操作)で角度を変えることも、顔を中心にするように自動トラッキングさせることもできる。カメラ部は左右に189度、上下に102度、モーター駆動で動く

 デスクトップPCでWebカメラ使うとき、拙者の場合はディスプレイの上にカメラを設置する。そして画面/カメラから50~60cmくらい離れて利用する。で、この場合に意外なほど面倒なのがカメラ向きの調整だ。カメラまで手を伸ばして向きを変え、座り直して角度をチェックし、また手を伸ばし……てなことを数度行う必要がある。

 が、Orbitの場合、マウス操作でソレを行える。フェーストラッキング機能をオンにすると、Orbitくんは被写体の顔を画面中心に据えるべく、モーター駆動で自動的に撮影角度を決めてくれちゃったりもする。この使用感ってかラクさ加減、一度経験すると後戻りできないのであった。

AFとRightLight技術で画質良好

 それからLogicool Qcam Pro 9000(以下、Pro9000)とLogicool Qcam Pro for Notebooks(以下、QcamNote)。Orbitほどのヒキはないものの、高画質Webカメラとしてはどちらも秀逸だ。

Logicool Qcam Pro 9000。携帯にもまずまず向くサイズだこのようにノートPCのディスプレイ部にセットできるやや奥行きがある液晶ディスプレイにもセット可能
Logicool Qcam Pro for Notebooksはポケッタブルと言えるサイズノートPCのディスプレイ部にクリップでセットできる付属の台座にセットすれば室内用途にも向く

 ま、Orbitとの相違点は、形状~用途の違いって感じですな。Pro9000はデスクトップPCでもノートPCでも使いたい人向けで、QcamNoteがモバイラー向け、みたいな。

 画質などに関しては、3機種共通することであるが、やはりAFは快適。ビデオカメラなどと比べると速さや正確さに若干欠けるものの、本を読める程度の明るさがあればほぼ問題なく動作する。

 画質補正の面では、これも3機種に共通することで、前述のRightLight(低照度でもキレイな映像が得られる技術)が役立つこと。より自然な映像が撮影できるんですな。この機能はオンオフできるが、オンにすると映像のダイナミックレンジが広がったような印象になってナカナカ良い。

本を快適に読める明るさで撮影したもの。左がRightLight機能をオフ、右がオン。オンにしたほうが映像の階調が滑らかになるという印象だ。なお、WebカメラはPro9000を使っている
本を読むにはチト暗い的な明るさで撮影したもの。左がRightLight機能をオフ、右がオン。暗いほど効き目がよくわかる機能ですな
照明を消し、液晶ディスプレイの光だけで撮ったもの。左がRightLight機能をオフ、右がオン
200万画素のQcamシリーズはなかなかの画質なので、映像素材撮影用に使うことも。動画編集ソフトEDIUS Proへ、ダイレクトに動画キャプチャできたりもする

 てな感じで、画質面ではとくに不満が出ない3機種である。ま、Webカメラとして、ってコトですが。でもWebカメラとして考えると、ぶっちゃけた話、1000円とか2000円とかの製品とは比較にならない画質なので、高画質を求めたい方は吟味してみるといいと思う。

遊べるビデオエフェクト

 これら3機種のWebカメラ(や、ほかのロジクール製Webカメラ)は、Logicool Webcam Softwareと組み合わせて使用する。Logicool Webcam SoftwareはWebカメラのドライバでありかつカメラ活用のためのユーティリティソフトウェアだ。

 最新バージョンを使っているが、使用感についての全体的な印象は、多機能であるが平易に扱えるということ。基本、設定を変えずデフォルトで使っても支障は出ないだろう。ライトユーザー的なスタンスなら、映像の解像度を変える程度かも。もちろん、Webカメラの機能を生かし切るための細かな設定も行えるが、Logicool Webcam Softwareに全部お任せ的に使うユーザーが多いのではないだろうか。

Logicool Webcam Softwareの表示例。ワンクリックで多用する機能やアプリを利用できる──たとえばビデオチャット用のソフトウェアを呼び出したり、プライバシーシェードを表示することができるLogicool Vidと呼ばれるビデオチャットソフトウェアも即利用できる。もちろん無料Webカメラで撮った動画をYouTubeに対して直接アップロードすることもできる
もちろん細かな機能設定も行える。前述のOrbitのパンやティルトはここから操作するヘルプも充実しており、初心者でも理解しやすい記述になっているビデオエフェクトの類はヒジョーに充実しまくっている

 Logicool Webcam Softwareについて、誰もが面白がれるのがビデオエフェクトの類だろう。映像全体にエフェクトをかけたり、アバターを表示したり、あるいは映像にアイテムをオーバーラップさせることができる。

表示されている映像にリアルタイムでビデオエフェクトをかけることができる。もちろんエフェクトをかけた状態で静止画や動画をキャプチャできる頭にアイテムを被せたところ。顔の位置をソフトウェアが認識してアイテムをオーバーラップするので、たとえばメガネなどのアイテムも違和感なく表示されるエフェクトのなかでとくに秀逸なのがアバター。ユーザーの表情をよく認識し、それがアバター上に再現されるのだ

 エフェクト類を使ってとくに感心するのは、アバター。ユーザーの顔~表情を認識して、その喜怒哀楽なんかを映像上のアバターに再現する、かなり繊細なニュアンスも現れるのだ。たとえば、笑顔としかめっ面。眉をつり上げたりするわけだが、かなりリアルな表情になる。まばたきなんかもリアル……っていうか、ユーザーのしぐさどおりになる感じ。以下、各種エフェクトを動画でご紹介しよう。

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ビデオエフェクトの一種、アバター。首の傾き、口の状態、目の開き具合、まばたき、眉の状態などを認識し、これをアバターに適用して動かしている。ウインクなんかも可能。眉の表情も豊かですな。表情を演じているのは拙者です~。


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ビデオマスクと呼ばれるエフェクト。静止画の上にユーザーの目や口を合成して表示する。プライバシーフィルターとしても使えますな


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こちらはフェースアクセサリ。顔にいろいろなアイテムを加えられる


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これはファンフィルタ。わりとフツーなビデオエフェクト類ですな


 ちなみに、アバターやフェースアクセサリはダウンロードして追加することもできる。かな~り数がありますな。こーゆーのが好きな人ならそーとー楽しめる感じ。リアル・アバターごっこをしたいがためにビデオチャット始めたりして。

 さておき、200万画素のWebカメラ3機種、ハードウェア的にもソフトウェア的にも十分コナレ感がある製品という印象だ。画質面でもWebカメラというイメージを超えたものがあるので、パソコンに直でつながるデジカメ的に捉えると、いろいろな利用法が見えてくるのではないだろうか。

2009/11/2 12:35