みんなのケータイ

 今年の初仕事は、ここ最近、行かねば行かねばと思いながらも英語が怖くて避けていたラスベガスの「2013 INTERNATIONAL CES」(CES)の取材でした。といっても、個人的に今回のCESは、来月にバルセロナで行われる「Mobile World Congress」(MWC)の「練習」と位置付けておりまして、半分以上は観光気分。アメリカの入国審査でニッコリ笑って申し上げた通りバケーションでした。真面目に仕事で行かれた方には少々申し訳ない気持ちです。

 CESは、経験者から事前に警告されていたことを、現地でいちいち再確認する日々でした。「会場は広いので、長時間歩いても疲れない靴を履くように」と言われ、一番ラクなスニーカーを履いて行ったのですが、2日目には足がまさしく棒のようになって、ちょっと展示を見てはプレスルームでお休み、と体力不足を露呈しました。とにかく、メイン会場のコンベンションセンターだけじゃなくて、別会場になっているホテルもすべて広いのです。ご存知の方は多いと思いますが、私はラスベガスが東京ディズニーリゾートを10個も集めたような場所だとは知りませんでした。1つ1つのホテルが、客室の他に、だだっ広いカジノと、だだっ広い会議室エリアと、(ショーを1つも見なかったので分かりませんが、たぶん)大きなエンターテインメントシアターを持っているのです。例えば「マンダレイ・ベイでプレスカンファレンスやるよ」といわれて、マンダレイ・ベイの敷地にたどり着くのにもそれなりに時間がかかりますし、そこに着いても、実際の会場に至るまでにカジノを抜けて、(英語なので)分かりにくい案内を確認しながらホテル内をさらに15分も歩く。時々、いや頻繁に方向を間違えて来た道を戻る、と万事がこんな感じなのです。

 足は休めば大丈夫ですが、通信環境の悪さにはずっとイライラさせられました。「通信環境は日本よりだいぶ劣る。しかもCESの期間中は関係者が集まるのでめちゃくちゃ遅い」と教えられてた通りでした。通信料金を節約すべく日本でWi-Fiルーターをレンタルして持っていったのですが、借りたのが出発直前で高速回線に対応した端末は品切れになっており、借りられた端末で利用できた回線がT-Mobileの3G。これが、スマホを接続して使うならなんとか耐えられますが、パソコンをつないで使えるレベルの速度じゃありません。ピー……ヒョロロロ……ガ~……と懐かしいダイヤルアップ接続音が聞こえてくるような遅さで、他の方々が、現地でLTEやWiMAX対応のWi-FiルーターやプリペイドSIMを探して、嬉々として購入している理由がやっと理解できました。

Thunderboltポートに差して使うアップル純正のEthernetアダプタ。USBポートを使うアダプタとどちらにしようか悩んだのですが、旅行先ではUSBを空けておく方がいいかな、と思ってこちらを購入。スピードもUSB版より若干速いそうです

 ホテルは幸いにも有線回線を使うことができ、ここで初めてMacBook Air購入時に念のため買っておいた有線回線用のアダプタ「Thunderbolt-ギガビットEthernetアダプタ」が役に立ちました。買ったときは、お店の人にうまいこと買わされたかなと、ちょっと後悔していたのですが、忘れずに持って行って本当によかった。ホテルのWi-Fiもお話にならないくらい遅かったので、有線回線を使えて非常にありがたかったです。しかもホテルのデイリーフィーに有線/Wi-Fiのネット使用料がすべて含まれていたのもラッキー。とはいえ、有線も日本の光回線とは比べられないほど遅かったです。帰国してG'zOne TYPE-LでFacebookにすんなりアクセスできたときは、日本って本当にネットが快適! としみじみ感じました。日本の携帯電話事業者の方々に感謝申し上げます。

 こんな万全とはいえない用意でテキトーな取材をしてきたわけですが、予想以上に得たものがありました。ただなんとなく展示を見ているだけでも、スマートフォンのディスプレイは5インチ以上が主流、CPUの重要性はますます高まる、韓国勢は相変わらず元気、中国勢は着実にセンスを磨き上げてきている、健康系機器との連携がもっと増えそう、といったところは感じられます。また、Xperia Zを発表したソニーのプレスカンファレンスは、ものづくりの原点回帰を感じさせるオープニングから今後を期待させるエンディングまで素敵な演出で、平井社長のプレゼンテーションもチャーミングで素晴らしく、「さすがソニー!」と泣きそうになるほどの感動を覚えました。でも、あとで聞いてみると、毎年あれくらい見事なんだそうですね。こういった展示会は継続して見ていくことが大切なんだと感じます。