ケータイ用語の基礎知識
第599回:マルチデバイスとは
(2013/2/5 12:33)
マルチデバイスとは、英語の「Multi Device」から来ています。その名のとおり、サービスやコンテンツ、ソフトウェアなどを共通して、等しく利用できる「さまざまなデバイス」のことを言います。
最近は、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、テレビなど、さまざまな情報デバイスが身近に使えるようになってきています。しかし、ひとつのコンテンツを、ひとつのデバイスでしか使えないのは不便です。
そこで、ネットワーク上のサーバーを利用して、複数のデバイス間でコンテンツを同期し、ユーザーが使いたい時や場所に応じて、利用するデバイスを変えても利用できるようにすることを「マルチデバイス化」「マルチデバイス対応」などと言います。
現在、通信事業者や、コンテンツプロバイダーはこぞって提供サービスやコンテンツのマルチデバイス化を進めています。
たとえば、NTTドコモの場合であれば、ドコモ提供のコンテンツを家庭内でも楽しめるよう「docomo Smart Home」というコンセプトを掲げています。映像配信サービスや、アプリや電子書籍などを扱う「dマーケット」で、スマートフォンで利用しているdocomo IDを使って、複数のスマートフォンやタブレットなどで楽しめるような施策を進めています。春モデルでは、そのためのタブレット端末「dtab」なども発表しています。
あるいは、KDDIではauのAndroidスマートフォン、タブレット、パソコン向けにマルチデバイス対応のビデオオンデマンドサービス「ビデオパス」を提供しています。どの環境でも映像作品が楽しめるようになっています。ちなみにビデオパスでは、テレビで楽しめる「Smart TV Stick」も2月中旬以降に発売されることになっています。
このマルチデバイス化という現象は、人ひとりが扱う情報機器が、スマートフォンひとり1台から、タブレットやパソコンなどを含めてひとり複数台持つことが当たり前になりつつある現在ならではの現象と言えるでしょう。
マルチデバイス化を成り立たせる「クラウド」
また、マルチデバイス化と深い関わりのある単語として「クラウド」が挙げられます。これは、ひとつのコンテンツをさまざまなデバイスで共有したり、同期したりするには欠かせない仕組みだからです。
たとえば、Androidスマートフォンでアプリケーションをダウンロードするストア「Google Play」では、購入したアプリケーションが他のAndroidスマートフォンでも利用できます。これは、アプリのインストール元がクラウドにあり、インストールもそこから行うからこそ実現可能なのです。
サービスによってはさらに、電子書籍ストアなどで電子書籍を購入した場合、その元データがクラウド上にあるというだけではなく、どこまで読んだかを示す「しおり」データをクラウドを通じて他のデバイスとも共有することで、どのデバイスででも読みかけの続きを読めるというようなサービスを実現しています。
しおりのような情報や、写真などのコンテンツ、音楽プレイリストなどをクラウド上に置いておけば、クラウドに接続できる端末であれば、さまざまなデバイスでこれらを共有することが可能になります。
マルチデバイス化されたサービスに置き換える試みも
最近では、で旧来からあったインターネットサービスをマルチデバイス化する傾向も見受けられます。たとえば、ドコモの場合、スマートフォン用のキャリアメールである「spモードメール」を「ドコモメール」に置き換えます。
このドコモメールは、マルチデバイスでの利用にも対応するキャリアメールで、マルチデバイスグループ設定の申し込みが事前に必要にはなりますが、主回線のほかに副回線となる端末からもアクセスできるというメールサービスです。
加えて、2013年上期中には、Webブラウザを利用し、パソコンなどからの利用にも対応する予定になっています。Webブラウザからの利用となるため、iPadやWi-Fi専用タブレットなど、ドコモの回線契約の無い端末からでも利用が可能です。
ドコモメールでは、クラウド上のサーバーに、送受信したメールが保存されるため、メールバックアップが不要になるというメリットも生まれます。