第486回:webOS とは
AT&TやVerizon向けの「Pre Plus」 |
「webOS」は、携帯情報端末(PDA)の開発・製造企業である米Palmが開発した、スマートフォンやタブレット型端末向けのソフトウェアプラットフォームです。LinuxをベースとしたOS、HTMLレンダリングエンジンのWebKit、グラフィックエンジンのOpenGL ESなどを中心に構成されています。
2009年1月に最初に公開され、2010年9月現在の最新バージョンは、1.4.5が安定版として製品に搭載されています。また、ソーシャルネットワーク関連機能やWeb2.0関連機能を強化した次世代webOSであるバージョン2.0もβ版として開発が進められています。
日本では、webOSを採用した製品はありませんが、米国の通信事業者であるVerizon WirelessやSprint Nextel、英国のO2向けに提供されているスマートフォン「Palm Pre」や「Palm Pixi」などで採用されています。
Palm自身は、2010年7月、米国企業のHewlett-Packard(ヒューレット・パッカード、HP)に買収されました(発表は4月)。HPでは、同社の資本力やグローバルでの市場展開と、Palmのノウハウを組み合わせることで強みを発揮するとしており、スマートフォンやタブレット端末の展開が期待されています。
■マルチタッチ・マルチタスクが利用可能。ユーザーアプリ開発も可
「webOS」は、スマートフォン用のOSとしては比較的後発であることから、他のOS、たとえば、iPhoneのiOSや、グーグル主導で開発されているAndroidなどが持っている特長の多くをカバーしています。
タッチスクリーンを採用したデバイス向けにグラフィカルなユーザーインターフェイスを備え、マルチタッチによる操作やソフトウェアキーボードなども標準でサポートされています。
既存のWebサービスとの協調も配慮して作られており、GmailやFacebook、Outlookなどからアドレス帳情報や、メールなどを簡単にインポートできるようになっています。
また、webOSでは、アプリケーションのマルチタスク実行が可能となっています。実行中のアプリケーションは、アイコンを画面下のクイックラウンチバーに表示できるほか、カードアップ/オフ インターフェイスモードに表示を切り替えると、実行中のアプリケーションのウィンドウをカード状に並べて表示することも可能です。
なお、webOSでのアプリケーションの入手方法として、専用のアプリケーションストアが用意されています。ユーザーは端末上で、App Catalogを利用しスマートフォン単体でソフトウェアの入手できます。App Catalogにアクセスしなくても、パソコンからUSB経由などで転送することもできます。専用ストアだけではなく、環境さえ整えれば誰でも開発、流通させることができます。
プログラム開発環境としては、SDK(Software Development Kit、開発キット)、PDK(Plug-In Development Kit)と呼ばれる開発ツールが用意されており、C/C++ベースでの開発できます。また、PhoneGAPというというツールでHTML・CSS・Javaでのアプリケーション開発もできます。ちなみに、PhoneGAPはクロスプラットフォームな開発ツールで、これを使うと、たとえばiPhoneとwebOS両方のアプリケーションを一度に作成する、というようなことも可能です。
ただ、webOSは、前述の通り、Linuxベースのソフトウェアプラットフォームです。Palmでは、以前、自社製PDAや、他社製のPDA、スマートフォンなどに独自のOSを組み込んだプラットフォームであるPalm OSを提供していましたが、webOSはこれとは互換性はありません。
2010/9/28 12:27