第474回:電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


ケータイやインターネットサービスなどでのガイドライン

 「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン」は、電気通信サービス向上推進協議会が作成する、通信やサービスを提供する事業者向けのガイドラインです。

 電気通信サービス向上推進協議会とは、ユーザーが安心してサービスを利用できる、あるいはユーザーサービスの向上推進を図ることで通信サービスへの信頼を守ることを目的として設置された協議会です。電気通信事業者協会(TCA)、テレコムサービス協会(テレサ協)、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)、日本ケーブルテレビ連盟(JCTA)という通信関連の4つの社団法人で構成されています。

 つまり、日本のモバイル通信サービスやインターネット接続サービスなど、通信関係の業界内ルールや自主規制を検討する業界団体が、各事業者に対して、「広告における表現・用語」を適切に利用するように促すことで、ニーズに合致するサービスを選びやすくする一方、ユーザーが望まないようなサービスを選んでしまう、というようなことがないように、広告表示に関して示した基準、ガイドラインが「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン」、というわけです。

 このガイドラインは、2004年3月に初版が作成され、最近では2010年4月に改正されています。最新の第6版では、モバイルデータ通信サービスと携帯電話などの移動体通信端末に関する広告表示についての内容が追加されました。

 これらは大きくわけると


  • モバイルデータ通信サービス等の速度、料金、提供エリアその他に関する広告表示において配慮する条文を新設する

  • 携帯話等移動体通信端末に関する広告表示において配慮する条文、および別表を新設する


という内容になっています。

 そのうち1つめは、広告でのデータ通信サービスの速度、料金などに関するものです。


  • 携帯電話やモバイル通信のパケット通信で、利用方法によっては高額な通信料金となる可能性があることと、これを回避するための推奨方法

  • 帯域制御を実施する場合、どのような場合に制御を実施するのか、制御する場合にはその具体的方法

 といった情報をカタログなどの広告に、利用者にわかりやすい表現で表示を行うように努力すること、としています。

 また、2つめは、広告が紛らわしくならないように単位などを統一することを定めたものです。たとえば、「連続通話(または通信)時間」「連続待受時間」を単位「分」または「時間」で表示する、「防水(防水機能)」は、国際電気標準会議(IEC)が定める防水規格に準じ、その保護レベルを表す「IPX0」から「IPX8」を表示するというようなことが記載されています。

 このガイドラインは2010年8月から適用となるため、各携帯電話事業者が発行する商品・サービスカタログなども、8月発行のものからガイドラインに合わせたものになる見込みです。

別冊用語集も

 また、これに伴い、2010年6月には、「電気通信サービスの広告表示で使用する標準用語・表記について」という別冊が作成されています。

 携帯電話では、サービスや料金プランの名称として、たとえば「パケ・ホーダイダブル」や「スーパーライトデータプラン」というような各事業者ごとに付けているものがあります。これらが、どんな内容を示すのか広告・カタログなどでユーザーに正確に伝わるように標準的な用語や表記についての別冊が作られたのです。たとえば、例で挙げた基本料金あり上限ありの課金方式を示す用語は「2段階定額プラン」として用語集に記載されています。

 8月以降の発行される広告カタログでは、サービス名などに、このような統一用語を併記したり、あるいは用語を使用することを、協議会は要請しています。

 



(大和 哲)

2010/7/6 12:28