第436回:ドコモ ケータイ送金とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「ドコモ ケータイ送金」は、その名の通り、NTTドコモのユーザー間で、送金できるサービスです。特徴は、FOMAユーザーであれば、とても手軽に送金できることです。家族間などに限らず、FOMAユーザー同士であれば、電話番号だけで送金できます。

 アクセス制限サービス(フィルタリングサービス)を利用していない20歳以上の携帯電話の契約者の場合、携帯電話の契約以外には、送金には口座開設などは不要で、手数料1回105円で100円から1円単位で、100文字以内のメッセージを添えて、最高2万円まで送れます。ただし、携帯電話料金の支払いに、DCMX以外のクレジットカードを利用している場合など、利用できないケースもあります。

 また、送金を受ける側にも口座開設などは必要なく、年齢制限もありません。送金側や受取側が利用する携帯電話は、iモードとメッセージRが使えるFOMAの携帯電話であれば、基本的に機種の制限はありません。

 受取側のユーザーには、メッセージRで受取依頼が届くので、メッセージに書かれたiモードサイトにアクセスし、届いたお金を、携帯電話の利用料金に充当するか、自分の銀行口座に振り込むか選択できます。

 自分の銀行口座へ振り込む場合、みずほ銀行口座の場合は手数料無料ですが、みずほ銀行以外の口座であれば、1回65円の手数料、1~2営業日程度の時間が必要となります。

手軽な送金、請求は電話料金から

 送金手続きは、iモード対応のFOMA端末で行ない、送金先は相手の電話番号か、ドコモが電話番号代わりに発行するユーザー番号を指定するだけです。相手が受け取っていなければ、手数料はかかるものの、送金をキャンセルすることも可能です。送金履歴はiモードサイトで後から確認することもできます。

 このほか、送金した際に自分の携帯電話番号を「通知する」「通知しない」を選択でき、「通知しない」を選択した場合は電話番号を教えずに送金することが可能です。この場合、ドコモ発行のユーザー番号が相手に通知されます。ユーザーから申し出ることで、送金か受取、あるいは両方を停止することも可能です。送金した額は、受取操作を行った日の翌月の携帯電話利用料と合算して請求されます。

銀行法改正・規制緩和により生まれたサービス

 このサービスは、ドコモがみずほ銀行を所属銀行とした「銀行代理業」の許可を取得したことによって可能になったサービスで、同銀行との協力で、2009年7月21日よりサービスが開始されました。

 かつて銀行代理店は、銀行の100%子会社に限定され、他事業との兼業禁止など業務内容が限られた代理業務に限られるなど、法律で非常に厳しく定められていましたが、2006年4月の銀行法改正による大幅な規制緩和により、このような他業種法人の代理店業務が可能となりました。

 ちなみに、携帯電話関連では、既にKDDIと三菱東京UFJ銀行が共同出資して、「じぶん銀行」を設立し、KDDIもじぶん銀行を所属銀行とする銀行代理業許可を取得しています。じぶん銀行では、「ドコモ ケータイ送金」に先駆けて、電話番号による送金を実現しています。KDDIでは、銀行代理業を取得したことで、au携帯電話を使ったじぶん銀行の円普通預金口座の契約締結の媒介、勧誘ならびに取次サービスを行っています。

 このほか、送金については、さらに規制が緩和され、今後は銀行以外の事業者にも資金移動サービスが一部可能となります。これは、2009年6月に可決・成立した資金決済法(資金決済に関する法律)によるものです。これにより、資金移動業者としての登録を行うことで、現在は銀行のみに認められている送金などの為替取引が銀行以外の事業者でも可能になります。

 資金決済法は、成立から1年以内に施行される予定になっており、2010年6月以降には、銀行以外の事業者でも送金サービスを取り扱うようになるでしょう。

 



(大和 哲)

2009/9/1 12:58