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ドコモの2007年度決算は減収増益、7月に全国1社体制へ

NTTドコモ 代表取締役社長の中村 維夫氏

2007年度決算と2008年度の見通し
 NTTドコモは、2007年度連結決算を発表した。営業収益は前年比1.6%減の4兆7,118億円、営業利益は4.5%増の8,083億円、税引前利益は3.6%増の8,007億円、当期純利益は7.4%増の4,912億円で、減収増益となった。

 NTTドコモ 代表取締役社長の中村 維夫氏は、2007年度の業績が通期予想から348億円も上回った点について、「新販売方式の拡大で営業費用が大幅に減少した」とし、2008年度についても「新販売方式が本格的に普及し、端末販売に大きな影響があるだろう」との見方を示した。

 2008年度の通期予想については、営業利益が前年比1.2%増の4兆7,680億円、営業利益が2.7%増の8,300億円、税引前利益が4.3%増の8,350億円、純利益が2.4%増の5,030億円とし、増収増益を見込む。

 中村氏は、新販売方式の普及などについて「増減要素が多すぎて、これまでと比べるとかなり変わった、異なった構造になる」と語り、販売奨励金の減少や割賦販売による端末販売収入構造の変化が、業績の内訳に大きく影響するとした。

 これらに関連し、2008年度の通期予想では、割引サービスのさらなる普及や定額サービスへの移行などによるARPUの減収から、「携帯電話収入」は約4,140億円減を見込む。一方、「携帯電話販売収入」では、実額での販売に近いバリューコースが普及することで約4,180億円増と予想しており、中村氏が述べる通り、収益構造が大幅に変化するとの予想が示された。

 バリューコースの拡大について、同社 取締役 執行役員の坪内 和人氏は「結果として新販売方式にスムーズに移行できた。残っていた旧モデルも、それほどお金を付けずに売り抜いた形で、その結果が利益を押し上げた」と語り、905iシリーズと新販売方式の普及が、同社の予測以上に受け入れられたとした。新販売方式ではバリューコースが96%の割合で利用されているが、2008年度ではこれに関連して4,500億円のキャッシュアウトフローという大幅なフリーキャッシュフローの減少が見込まれている。この点について坪内氏は、「例年6月あたりが資金的に苦しい時期となるが、金利を見ながら、短期借入か長期借入か、なんらかの資金調達をする必要があるだろう」との見方を明らかにした。ただし、割賦販売方式は急速に拡大したものの、今後拡大傾向は緩やかになると見ており、割賦の回収も見込むことから、2009年度のフリーキャッシュフローは4~5,000億円の水準にまで戻るとした。


2007年度は新販売方式の影響が通期の決算にも反映された 2008年度は大幅な収益構造の変化が見込まれる

キャリア主導のニーズは終わりを迎えた

2008年度の事業戦略
 決算会見では、中村社長から今後のドコモの方針が多くの時間を割いて説明された。先日発表された、コーポレートロゴの変更に代表されるマーケティング戦略の変革は記憶に新しいが、中村氏はこれらの説明に加え、ドコモのサービスの方向性、オペレーターパックの提供などの端末開発体制、全国1社化に伴うグループ経営の新体制などについても解説した。

 マーケティング戦略について中村氏は、「かつてのようにキャリアが主導するニーズは終わり、ユーザーが主導する市場に潮目が変わったと認識している」と語り、「当たり前のことだが、すべての既存ユーザーの満足度を高めていくことが最も大切で、5,300万人の満足度を高めていく。従来は新規開拓・解約防止という観点だったが、既存顧客の満足度重視という視点に変えていく」として、すでに着手している25のプロジェクトは「でき次第、順次発表する」と、既存顧客を重視した施策がすでに動き出している姿勢を強調した。

 事業戦略全体では、新ロゴに象徴されるブランドロイヤリティ向上のマーケティングを中心に据え、新たなビジネスモデルの展開と、生活インフラとしてのサービスが展開される。

 新たなビジネスモデルとは、2007年度の業績にも影響を及ぼしている家族向けの割引サービスや、新販売方式などを指している。ドコモの解約率はMNP導入直前(2006年度上期)で0.62%を記録していたが、MNP導入後の2006年度第4四半期は解約率が0.97%にまで大幅に上昇。しかし新たな割引サービスとしてファミ割MAXなどの投入が功を奏し、通期の解約率は前年比0.02ポイント増の0.8%に抑えている。


サービスの方向性はこれまでを踏襲し、さらなる発展を目指す 3つの大きなビジネスで収入モデルを多様化

家庭内ので無線LAN・フェムトセル活用サービスを開始

ホームエリアでのサービス展開を第1四半期にも開始する
 サービスの方向性は、通信インフラを生活インフラにするというこれまでの方向性と大きく変わらないと説明され、「定額契約ビジネス」「生活アシストビジネス」「国際ビジネス」の3つがポイントとして挙げられた。

 「定額契約ビジネス」は、これまでの従量制中心の収入体制に変革をもたらすものとなるが、中村氏はこの流れが続くとし、「従量制に代わるものを探していく必要がある」と引き続き新サービスを開拓していく必要性を語った。通信トラフィックはパケット定額制の拡大で、単純計算で1契約あたり2倍のトラフィック量に増大していると説明されたものの、HSDPA網の拡充で対応していくとした。

 2008年度の新たな取り組みとして、中村氏は「ホームエリア」を示し、2008年度第1四半期にも、無線LAN対応のデュアル端末をコンシューマ向けに投入し、同じくコンシューマ向けに投入するフェムトセルなどと合わせて、家庭内における高速通信環境を「他社に先駆けて開始する」ことを明らかにした。具体的な提供時期は未定ながら、家庭のホームサーバーとの連携や、大容量コンテンツの夜間の自動ダウンロードといった利用方法が一例として示された。

 「生活アシストビジネス」はおサイフケータイや広告収入、回収代行といった施策となり、リーダーライターの設置数を引き続き増やしていくとした。

 「国際ビジネス」では、海外渡航者向けのサービスを引き続き拡大していくとしたほか、法人向けサービスについても言及し、「海外進出する日系企業向けに、海外での利用もサポートした法人向けソリューションなどを提供していきたい」との方針が示された。

 また、サービスを支えるインフラ面について中村氏は、FOMAのエリア展開は「ピークを過ぎた」として、今後は品質改善や、トラフィック容量対策としてのHSDPA化などに重点的に取り組んでいくとした。

 端末メーカーに対して提供される「オペレーターパック」については、海外メーカーの参入や日本メーカーの海外進出に寄与できるものとの見方が示され、端末価格開発コストの低減にもつながるものと説明。日本メーカーの海外進出に重きを置いたものとする一方、「すこし時間がかかり、1年半ほどの準備の時間を下さい」と語り、端末に反映されるのはもうしばらく後になるとした。


7月1日に全国1社体制へ

全国1社体制に移行し、事業部制を廃止して意志決定の迅速化を図る
 グループの経営体制については、2008年7月1日に地域8社を吸収合併することが明らかにされた。全国1社体制により、サービス品質の統一、アフターサービスや管理・共通業務などの集約、意志決定プロセスの簡素化や社内業務システムの集約・最適化を行なう。また、中村氏が「壁になっていた」とする事業本部制は廃止され、「フラットな組織にしたい」との意向が示された。各事業部で独自に持っていたマーケティングのノウハウなどは、あらたなマーケティング戦略の下で1カ所に集約されるという。1社体制に伴い、約300億円程度のコスト削減を見込むが、主にシステム的な最適化によるものとし、人員削減などは行なわない方針。



URL
  決算情報
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/library/earnings/
  ニュースリリース(地域8社の吸収合併について)
  http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080425_00.html

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(太田 亮三)
2008/04/25 18:58


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