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ドコモ、ロゴマークなど企業ブランド刷新

新コーポレートブランドロゴ

新コーポレートブランドロゴ

新ロゴのボードを手にする中村社長

新ロゴのボードを手にする中村社長
 NTTドコモは、市場環境の変化やマーケティングの強化に向けた検討を重ねた結果として、同社のブランドイメージを刷新すると発表した。企業としての姿勢を示す「新ドコモ宣言」もあわせて発表し、7月1日からは新ロゴマークと新カラーを使用する。

 同社では18日、都内で記者会見を開催。代表取締役社長の中村 維夫氏、同社コーポレートブランディング本部副本部長の荒木 裕二氏、特別顧問の魚谷 雅彦氏がブランド刷新について説明を行なった。

 これまでのロゴマークは「NTT DoCoMo」という欧文表記で、“Co”を中心に円を描くような線、点が記されている。同社内で「ループロゴ」と呼ばれていた、このロゴマークは携帯電話という従来にない市場を開拓した“ドコモブランド”の象徴的な存在だが、これまでの実績で培われたブランドイメージは、これからの時代に対してドコモが目指すべき将来像とのギャップがあると判断され、CI(コーポレートイメージ)が刷新されることになった。

 新たなロゴマークの表記は「NTT docomo」となり、丸みを帯びた“docomo”のフォントの左上に、小さくスクウェアなフォントで“NTT”という文字が添えられる。カラーは赤だが、オリジナルの色ということで「ドコモレッド」と名付けられている。

 マーケティング調査を行なったところ、ドコモを色で例えると「黒」や「白」といったカラーが多く挙げられ、質実剛健なイメージが浸透していることが明らかにされたが、今後、積極的に展開していくドコモの姿勢を表わすものとして、それらのカラーから脱皮すべく、新たなコーポレートカラーとして赤が選ばれた。


ユーザーとの繋がりを強化、満足度向上を目指す

 ブランドイメージの刷新とあわせて発表された「新ドコモ宣言」は、ブランド再構築とユーザーとの関係強化や、要望を戦略に反映させる方針、イノベーションの追求、組織再編といった内容で、4つの文章からなる。

 ユーザーとの関係強化を示す第1弾の施策は、18日に発表されたプレミアクラブ向けのサービス拡充となる。またユーザーからの要望を受け止めるという点については、窓口対応を強化し、端末の使い勝手の向上などを図っていくという。また、具体例は明示されなかったが、“パーソナライズドサービス”を提供する方針が明らかにされている。

 イノベーションの追求については、技術やビジネスで世界への貢献や、環境保全活動などに取り組むとされた。同社では昨年1年間で、全国2,400カ所の学校で、約40万人に対して携帯電話の使い方を教える「安全教室」を実施してきたが、クラス単位で同様の活動ができるよう、専用DVDを制作するといった活動に着手する。また組織再編については、大企業ならではの問題点として、部門間に壁ができ、縦割り行政のような仕組みになっていた点があったとして、部署ごとに分かれていたリサーチ機能、マーケティング機能などを統合していくという。


4つの「新ドコモ宣言」 第1弾の施策は、プレミアクラブのサービス拡充
4つの「新ドコモ宣言」 第1弾の施策は、プレミアクラブのサービス拡充

端末開発でも戦略変更が反映される パーソナライズドサービスが提供される
端末開発でも戦略変更が反映される パーソナライズドサービスが提供される

 これまでの経験から、契約期間が長いユーザーほど解約率が低下する傾向にあることが判明しており、同社では「新ドコモ宣言」で示す方針に従った活動を行なうことで、ユーザーの満足度を向上させ、長期間の契約に結びつけて囲い込み効果を狙うとともに、新規契約獲得コストの削減も見込む。

 同社へのロイヤリティ(忠誠心)が高いユーザーほど、口コミ効果で周囲の友人・家族へドコモの利用を薦める傾向があり、新機能・新サービスの利用率が高く、高ARPUに繋がっているとのことで、新規よりも既存ユーザーを手厚くする方針が示された。


囲い込み効果も見込む
数から質への戦略転換とも言える 囲い込み効果も見込む

コカ・コーラ魚谷氏が見るドコモ

特別顧問として登壇した魚谷氏

特別顧問として登壇した魚谷氏

魚谷氏が指摘するドコモの課題

魚谷氏が指摘するドコモの課題
 特別顧問という立場で会見に出席した魚谷 雅彦氏は、日本コカ・コーラ代表取締役会長でもある。特別顧問としてドコモの改革に協力したのは、中村氏からの要請に基づくものと説明した魚谷氏は「協力にあたって、1つ約束してもらった。それはブランド強化が企業価値の拡大に繋がらなければならないということ。十数年、コカ・コーラに携わっていて、ブランドは企業経営そのものの反映と感じている。ブランド強化は顧客との絆、繋がりを強めること。ユーザーを基点にした組織になっているかどうか、戦略的・統合的に実行できてこそ企業として強くなる」と述べた。

 ブランドイメージの刷新は、単なる見た目の変更ではなく、企業の掲げる戦略を変更することとする魚谷氏は、検討の手始めとしてドコモの幹部や一般社員、代理店と議論を重ねたという。同氏は「新規ユーザーは1円で買える端末を、既存ユーザーは15,000円支払うことになっている。それはどこか普通の感覚と違うのではないか。ドコモは既に多くのユーザーの声を拾っているが、それを活用する仕組みが分散しているという印象もあった」と、プロジェクト当初に抱いた、現場から伝わってきた違和感を説明した。

 一方、ドコモの強みとして魚谷氏は「窓口には年間2,000万件も電話がかかってくるというが、これだけユーザーと直接やり取りする企業はほかにない。日本最大だと思う。5,300万ものユーザーに対して請求書を送るというのも、重要なコミュニケーションツールになり得る。これらの仕組みが1つの方向に動き出せば、最強のマーケティングパワーを発揮できる。新ドコモ宣言は、経営陣からの意見と現場からの意見、つまりトップダウンとボトムアップが融合して出てきたもの」として、大きな可能性があるとした。


昨夏からの取り組み 新ドコモ宣言に向け、社内では「ONE docomo」というフレーズで意思統一を図った
昨夏からの取り組み 新ドコモ宣言に向け、社内では「ONE docomo」というフレーズで意思統一を図った

飲料業界との違い

 魚谷氏は、自動販売機を例に挙げ、「売上向上のため、最初は数の競争だった。良い場所を確保するために大きな契約金を払ってでも拡大していった。しかし、260万台もの自販機が展開し、そうした場所がなくなった。そこで採用したのは2つの戦略」と語る。

 戦略の1つ目は、1台の自販機での売上を伸ばすということ、もう1つがコストダウンだという。売上向上のための方策の1つは、商品開発強化。そしてドコモとの提携も売上向上に向けた取り組みの1つであり、おサイフケータイの利用によってユーザーの動向を把握できることがメリットになっている。また、コストダウンについては、自販機の仕様を統一することなどで、1台あたりにかかる費用を半額にしているという。

 飲料業界ならではの話と言えるが、通信業界にとっても戦略のうち前者はARPUの向上、後者はプラットフォームの共通化という形で進めていると言える。コカ・コーラとドコモは、それぞれ全く異なる事業セグメントで活動しているかに見えるが、魚谷氏の説明は、成熟化した産業に共通する課題を浮き彫りにしている。


キャリア主導からユーザー主導の時代、新規より既存重視に

プレゼンの前半部は、旧来のロゴマーク

プレゼンの前半部は、旧来のロゴマーク

ドコモショップも変身する

ドコモショップも変身する
 5,000万ものユーザーを抱えるドコモがなぜブランドイメージを刷新することになったのか。中村氏は、「携帯電話市場が拡大し、さまざまな人が使っている。総務省でのモバイルビジネス活性化プランを受けて、新たな販売モデルも導入した。もはや安く端末を売る時代は終わった。これからの時代に対して、どう向き合っていくべきか。そこで感じたのは、ドコモという企業のブランドが落ちているということ」と述べ、これまでの状況を振り返った。

 中村氏は、「技術的な差別化が難しい時代となり、技術や機能ではなく、端末デザインや店頭での対応など、個々のユーザーにあわせていくことが大切になってきた。これは、キャリア主導の時代からユーザー主導の時代へと、潮目が変わったということ。これまでは新規顧客の獲得を重視してきたが、既存ユーザーが求めていることを知ることこそ重要だと考えるようになった。既存ユーザーの満足度向上が、結果的に他社からの乗換に繋がる」と語り、ブランドイメージ刷新は時代の変化に対応することの象徴とした。

 ブランドイメージ刷新を行なうきっかけ、危機感を抱いた時期についても触れ、「大きくユーザーの流れが変わったのは5年前のこと。当時、どんどん新しい物を開発してリリースしていたが、おおよそ携帯電話でできることが見えてきた時代だった。そのときは“踊り場”と表現していた。そして、MNP(携帯電話番号ポータビリティ制度)が大きなインパクト与えたと思っている。MNPは良い刺激となった」と説明した。

 会見終了後に同氏を報道関係者が囲んで行なわれた取材時には、「社長退任」とする一部報道について尋ねられたが、中村氏は「何も決まっていない」と語った。仮に経営陣の交代があったとしても今回のブランドイメージ刷新や、ドコモの戦略については、「企業として決めて、やっていくこと」と述べ、影響がないとの見方を示した。また三菱電機が撤退するなど、端末メーカー側の動きについて「大きな問題と捉えている。これからは、ベースとなるものを作って、それに対してメーカーごとの特徴付けをするという形にしたい」と述べ、プラットフォーム戦略への意欲も見せた。

 質疑応答の際、今回の発表に株主へのメッセージや配慮が欠けていると指摘されたが、中村氏は「あくまでユーザーに対して何をするかを打ち出したということ」と述べ、株主向けの施策とは別のものと説明した。また、昨年より展開してきた「DoCoMo 2.0」という宣伝戦略は、いったん終了し、5月から新たな広告展開になる。ただ「DoCoMo 2.0」で掲げた「一歩先に行く」というメッセージは、ドコモとしての使命として、今後も継続していくという。



URL
  ニュースリリース
  http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080418_00.html

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(関口 聖)
2008/04/18 13:52


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