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ボーダフォン・グリーン社長、「テレビ端末は12月、パケット割引は2Gも」
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J-フォンは、10月1日より社名およびブランド名を変更し、新たに「ボーダフォン」としてスタートした。これにあたり、同社 代表執行役社長兼CEOのダリル・E・グリ-ン氏が記者会見を行なった。
グリーン社長からは、世界中で展開するボーダフォングループの強みや変更に伴う今後の意気込みなどが語られたほか、質疑応答の際に同社の3GサービスであるVodafone Global Standard(VGS)の展開などが明かされた。また会見終了後には、テレビチューナー搭載端末のデモンストレーションも行なわれた。
■ グリーン社長、「これからもユーザーのために」
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ボーダフォン 代表執行役社長兼CEO ダリル・E・グリ-ン氏
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グリーン社長は、「東京デジタルホンは1994年に誕生した。当時は1分間の通話料が70円、基本使用料は7,000円以上であり、普及率も5%以下だった。それから10年経ち、広く普及した携帯電話は、アナログからデジタルへ変化し、スタート当初からは想像もできない状況になった。そんな中、J-フォンはユーザーのために尽くしてきたことを誇りに思っており、これからも継続して努力していきたい」と語り、意気込みを見せた。
さらに同氏は「これからはグローバルの時代。携帯電話は3Gに切り替わり、海外でも同じ端末が利用できるようになるが、それだけではない。OSやアプリケーション、コンテンツ全てがグローバルになる。つまり標準化が進むということ。インターネットもオープンスタンダードのおかげで普及した」と述べ、グローバル企業の一員であることをアピールしつつ、世界標準の重要性を訴えた。
「ある調査では、ユーザーが自宅を出るときに“家の鍵”“財布”“携帯電話”を持っていくという。多くの人々にとって重要な存在になった携帯電話だが、それでもあったら便利というものに過ぎない。これからは、3Gによってより多くの情報をより多くのユーザーに届けられるようになる。エンターテイメントやホームセキュリティなど幅広い分野で携帯電話の役割が大きくなる」と語ったグリーン社長は、「世界で最も競争が激しく、技術が進んでいる日本でやっていけるのは非常に嬉しいこと。ボーダフォンを通じて、日本の技術・コンテンツを全世界に普及していきたい」と述べた。
■ 三洋製VGS端末は11月に、シャープ端末も12月投入
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11月に登場するという三洋製VGS端末「V801SA」
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3Gサービスに関してグリーン社長は、「昨年のサービス開始時には、目標として100万人を1年間で獲得するとしていたが、達成するのは難しいだろう」と率直に現状を分析しつつも、目標数値の修正などについては明確にせず、「近いうちに達成したい」と意欲を述べるに留まった。
また8月に三洋製VGS端末「V801SA」が発表され、その発売時期が10月上旬となっていたが、同氏は「ベースバンドチップセットなどでバグがあり、予定よりずれている。11月には市場投入できるだろう」と述べたほか、12月にはシャープ製端末の投入を予定していることも明らかにした。
9月に行なわれたWPC EXPO 2003のグリーン社長の講演において、インターネットアクセスサービスである「ボーダフォンライブ!(旧J-スカイ)」でWAPを標準にしていく意向を明らかにしていたが、同氏は「2004年10月までに、J-スカイもWAPも閲覧できる端末を6機種投入していく。端末の仕様は、日本だけではなくグループ全体で策定し、世界で使える端末にする」とその詳細についても触れた。
このほか、日本国内において、3Gサービスの設備投資を積極的に行なっていることも語られた。同氏によれば、スタート時点で約3,500カ所だった基地局が、現在は8,000カ所になり、12月にはさらに2,000カ所増えるという。そのために費やした金額は2,500億円に及ぶとのことだったが、それでも「まだ充分ではない」と述べたグリーン社長は、今後も継続して設備投資を行なっていく姿勢を示した。
加えて、3Gサービスの本格展開によって海外メーカーが参入し、ユーザーにとって端末の選択肢が大きく広がるとしたほか、コンテンツプロバイダにとっても海外進出しやすくなるとアピール。グリーン社長は「今回のブランド変更は、ボーダフォンだけではなく、ユーザーやパートナー企業にとってもメリットがあるもの」と述べた。
■ 既存ユーザーには、料金などでアピール
ここ数カ月、契約者の純増数が伸び悩んでいる同社だが、グリーン社長は「新規顧客の増加数は以前から変わっていない。要は解約率ということになる。ユーザーに受け入れられるために、新料金プランである“ボーダフォン ハッピータイム”を用意した」と、既存ユーザーの解約率を低減させるために料金コースをはじめとした対策を実施していく意向を示した。
また、同社ではパケット通信料も割引するプランを検討しており、2G・3Gのパケット対応機をサポートする予定であることも明らかにされた。このほか同氏は、ブランド名変更にあたり、全国各地のJ-フォンショップをボーダフォンショップに改装したため、営業活動に少なからず影響が出た可能性があると指摘した。
■ テレビチューナー搭載端末は12月に登場予定
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NEC製のテレビチューナー搭載端末をアピール
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既存ユーザーの囲い込み策の1つとして、魅力ある端末の提供を挙げたグリーン社長は、「これまでのJ-フォンの歩みを見れば、日本初・世界初というものが少なくなかった。この動きは、今後も続けていきたいと考えており、その1つとして12月にNEC製のテレビチューナー搭載端末を発売する」と述べた。
実際にその場でテレビチューナー搭載端末を手にした同氏は、簡単に操作しながら「テレビは、携帯電話にとってもキラーコンテンツの1つ。だからといってメールや音声通話が減るということはないと考えている。今後は、パケット通信経由で多彩な番組を提供できるように開発を続けていく」と語った。なお、NEC以外からテレビチューナー搭載端末が提供されるかどうかについては「今はコメントできない」とした。
会見後には、会場内で試作段階のテレビチューナー搭載端末が披露された。NEC製ということで、外見上は「J-N51」によく似たデザインが採用されているが、具体的な仕様や3G端末であるかどうかといった情報は一切明らかにされていない。
披露されたデモ端末は、現行のアナログ放送を受信できるもので、操作キーでチャンネルを切り替えられる。画面に表示されたメニューには、「キャプチャー」と表記されているものもあった。また、表示画面を横向きにして通常のテレビに似た印象で閲覧できるような機能も用意されていた。
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会見後に披露されたテレビチューナー搭載端末
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テレビ受信時の画面。受信していても、メールや音声通話が着信すると、即座に切り替えられるという
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横長の画面表示も可能
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■ 法人ユーザーのために料金システムを大幅に変更
法人ユーザーに対する展開としては、「ボーダフォングループは法人に強い」としながらも「現在、9つの地域で9つの料金システムが稼動してる。法人ユーザーに対しては料金システムを大きく変更する必要がある」とグリーン社長は述べ、積極的に動くにはやや時間がかかるという印象を与えた。
法人ユーザーからのニーズとしては、データ通信によってモバイルでもオフィスと同じ環境が求められていることを指摘し、「具体的な計画はいくつかあるのだが、今は言える段階ではない」とした。
■ 新端末の台数は確保していきたい
グリーン社長は、J-SH53などここ最近の新端末は、発売直後に品薄になっていたという状況を認め、今後は台数確保に努めていくとした。また、メーカーとの協力体制については「あるメーカーは、開発費の援助を求め、別のメーカーは出荷台数が一定数になることを求める。個々に応じているため、メーカーごとに協力体制は異なる」と述べた。
このほかナンバーポータビリティの導入について同氏は、「キャリアによって電話番号が変わるというのは、ユーザーの自由を奪っている」と支持を表明した。
また、固定通信サービスを提供している日本テレコムがリップルウッドに買収されたことに対して「今後も親密に協力していく。だが、ボーダフォングループとしてはモバイルに特化する方針」と述べ、固定通信との連携サービスにはさほど注力していかないことを示唆した。
■ URL
ボーダフォン
http://www.vodafone.jp/
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(関口 聖)
2003/10/01 19:21
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