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ツーカーの成否を握るP@bit&EZweb@mail対応「TD11」
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P@bit&EZweb@mail対応端末がいよいよ登場
東名阪地区でサービスを提供するツーカーグループはKDDIグループに加わり、新しい展開を見せ始めている。auでも採用されている「EZweb@mail」への対応に加え、この春からは新課金システム「P@bit(パビット)」のサービスを開始した。そして、この2つのサービスに対応した第1弾モデル「TD11」が発売された。早速、筆者も機種変更で入手することができたので、レポートをお送りしよう。
今後のツーカーグループのカギを握る端末

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ツーカーセルラー東京『CyberGiga TD11 by MITSUBISHI』。サイズ:43(W)×131(H)×17(D)mm(フリップを閉じた状態)、81g。グレープロイヤル(写真)、プライムローズ、シェルホワイトの3色をラインナップ。
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現在の携帯電話やPHSにとって、メール及びコンテンツ閲覧は欠かすことができないサービスだ。NTTドコモの「iモード」、auの「EZweb」、J-フォングループの「J-スカイウェブ」、DDIポケットの「H" LINK」、アステルグループの「ドットi」が提供されているが、ツーカーグループはサービス構成が少し変わっている。
まず、メールはJ-フォン(旧デジタルホングループ)の「スカイウォーカー」と互換性がある「スカイメッセージ」、auと同じ「EZwebメール」が提供されており、従来から1台の端末で複数のEメールアドレスを持つことができた。ただ、スカイメッセージは送受信できる文字数があまり多くない上、EZwebメールは従来のauでも指摘されていたように、メール受信のためにサーバに接続しなければならないなど、使い勝手があまり良くない。コンテンツ閲覧についてはauと同じEZwebを採用しているが、auのDIGITAL(PDC方式によるデジタル携帯電話)と同じように、接続した時間単位で課金されるため、じっくりとコンテンツを楽しめないという弱点があった。昨年来、「A MODEL」や「FERRARI MODEL」など、キャラクター色の強い端末が話題を集めているが、メールとコンテンツ閲覧という重要なサービスが今ひとつ魅力に欠けていた感は否めない。
今回紹介する三菱電機製「TD11」は、メールとコンテンツ閲覧に関連する2つの新しいサービスに対応しているのが特長だ。ひとつはauのcdmaOneでも採用されている「EZweb@mail」への対応、もうひとつはデータ量単位による新課金システム「P@bit(パビット)」への対応だ。この2つのサービスはいずれもツーカーのサービスで弱点と言われていた部分を補うものであり、これらにはじめて対応したTD11は今後のツーカーグループの展開を占う意味でも非常に重要な端末と言えそうだ。両サービスの内容や使い勝手なども踏まえながら、TD11の出来を見てみよう。
定番のフリップ式を採用したTD11

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三菱電機製端末ではおなじみのフリップ式を採用。フリップを開いた状態でも意外にスリム。
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細かいスペックについては、ツーカーの製品情報ページ、すでに掲載されている「ケータイ新製品SHOW CASE」などを参考にしていただきたい。
まず、本体は製造元である三菱電機製端末でおなじみのフリップ式を採用する。サイズ的には先週紹介したNTTドコモのD210iやJ-フォンのJ-D04などに近いもので、NTTドコモのD503iなどに比べると、ひと回り小さい。ちなみに、他の三菱製端末同様、フリップを閉じたときの効果音なども用意されている。

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4方向キーと中央ボタンを組み合わせた「マルチスクロールキー」を採用。押すエリアが少し狭いため、慣れが必要。
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見た目で大きく異なるのは、中央のマルチスクロールキーだ。4方向キーと中央ボタンから構成されており、中央ボタンがスクロールメニュー表示、上下方向が発着信履歴、左方向がEZweb、右方向がEZweb@mail、右方向の長押しがスカイメッセージに割り当てられている。マルチスクロールキーの左右には[発話]ボタンと[終話]ボタンが配されているが、これらのボタンはソフトキーになっており、場面によっては異なる機能が割り当てられる。フリップ内のキーはD210iなどと同じレイアウトだが、最上段のキーは割り当てが異なる。EZwebでコンテンツを閲覧するとき、[クリア]キーを使う頻度が比較的高いが、TD11は[クリア]キーがフリップ内にあるため、フリップを開けた状態でコンテンツを閲覧しなければならない。それほど重要なことではないが、個人的に気になった点だ。
液晶ディスプレイは256色表示が可能なSTNカラー液晶を採用する。サイズは実測値で29×34.5mmとなっており、同じ三菱電機製で比較すると、D210iとD503iの中間程度のサイズになる。今や256色表示が可能なSTNカラー液晶は標準的なものだが、TD11のカラー液晶は輝度も比較的高く、視認性も良い。メール画面は最大10文字×10行(システム行を除く)まで表示することができる。

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液晶ディスプレイは256色表示が可能なSTNカラー液晶を採用。
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機能面では後述するP@bitとEZweb@mailへの対応が目を引くが、16和音対応の着信メロディと効果音、J-フォンの「J-D03」「J-D04」でも人気を集めた「アニメっちゃ」も面白いところだ。着信音は背面に備えられた内蔵スピーカーの出来がいいようで、非常に音質が良い。標準で登録されている着信メロディの内、注目はやはり「AUDIENCE」あたりだろうか。
ところで、ツーカーでは2月から人の声や自然の音を着信音にできる「ボイコレ」というサービスを提供しているが、TD11もこれに対応している。EZwebのツーカーのホームページでもいくつかの音声データが提供されているので、購入したユーザーはチェックしてみるといいだろう。ただ、浜崎あゆみが出演するボイコレのテレビCMで使われていた「電話です」の一言は収録されていない。せっかくテレビCMまで制作したのだから、このセリフも収録して欲しかったところだ。
また、TD11には各機能を呼び出すための設定メニューがいくつも用意されている。スクロールメニューの「ファンクション」、フリップ内の[F]キー、マルチスクロールキーの[中央ボタン]-[発話]ボタンの順に押して表示されるアイコン表示のメニューの3種類で機能を設定したり、操作することができる。慣れない内はどこでどの機能を設定すればいいのかを迷ってしまいそうだが、設定メニューの基本が3パターンあることを覚えておくと、多少は迷いも少なくなる。
注目のP@bit&EZweb@mail対応
さて、TD11で最も注目されるのは、冒頭でも説明したように、EZweb@mailとP@bitに対応したという点だろう。
従来のツーカー端末ではEZwebメールとスカイメッセージが利用できたが、TD11ではEZwebメールに代わり、auのcdmaOneでも採用されている「EZweb@mail」が採用されている。スカイメッセージは従来通り利用可能で、3倍の文字を送信できる「スカイメッセージ・トリプル」にも対応する。「EZweb@mail」はすでにau端末のレビューなどでも紹介しているので、詳しく説明しないが、PNG形式の画像やSMAF形式のメロディデータなどをメールに添付することができる。携帯電話・PHSで提供されているメールサービスの中でも最も高機能なものと言えるだろう。また、TD11への機種変更によって、EZwebメールからEZweb@mailに移行した場合、従来のメールアドレスからEZweb@mailの新しいメールアドレスにメールを最大90日まで転送するサービスも提供される。
一方、P@bitはコンテンツを閲覧するときなどの接続料金を転送したデータ量に応じて課金するシステムのことだ。料金はauのPacketOne同様、1パケットあたり0.27円に設定されている。P@bitの採用により、EZwebのコンテンツも時間を気にせず、じっくりと楽しむことができる。
ちなみに、TD11の接続方式は従来のEZwebと同じ回線交換だが、J-フォンのJ-スカイウェブなどと同じように、必要に応じて接続と切断をくり返す方式(「疑似パケット通信」とでも言うべきか?)となっている。実際に、筆者が使ってみたところ、J-フォン端末のJ-スカイウェブの接続よりもやや快適な印象で、iモードやauのPacketOneによるEZwebと変わらない使い勝手が得られている。
ところで、ツーカーグループは2月15日のニュースでもお伝えしたように、今夏からパケット通信サービスの提供を予定している。ツーカーのパケット通信サービスは同じPDCパケット通信を採用しているiモードと違い、下り方向で最大28.8kbpsという高速通信が可能だ。残念ながら、TD11はパケット通信に対応していないが、同じP@bitによる料金体系が採用され、実質的な使い勝手も大きく変わらない見込みだ。
ツーカーが採用する最大28.8kbpsのPDCパケット通信は、9.6kbpsのPDCパケット通信のチャンネルを3本束ねることによって実現される。屋外などに設置された基地局はチャンネル数が豊富なため、最大28.8kbpsの高速通信が可能だが、屋内や地下などに設置された小型の基地局はチャンネル数が限られているため、そのまま、最大28.8kbpsのパケット通信で接続してしまうと、他のユーザーは通話や通信ができなくなってしまう。そこで、ツーカーでは屋外の基地局を利用するときは最大28.8kbpsのPDCパケット通信、屋内や地下の基地局を経由するときはTD11と同じ回線交換方式による通信で接続するようにシステムを構築する。つまり、PDCパケット通信と回線交換による通信を必要に応じて、切り替えられるようにしているわけだ。TD11では回線交換による通信、今夏以降に発売される機種ではパケット通信と回線交換による通信の両方が利用できるという違いはあるが、ともに接続料金はP@bitによる1パケットあたり0.27円が課金されるため、速度を重視しないのであれば、実質的な利用環境に大きな違いはないという見方もできる。
パケット通信の捉え方で「買い」の判断を
最後に、TD11の「買い」の診断をしてみよう。TD11は新しい課金システム「P@bit」、auのcdmaOneでも採用されている「EZweb@mail」に対応していることが最大の特徴だ。従来のツーカー端末の弱点と言われていた部分をクリアし、端末としての完成度もなかなか高いため、素直に見れば、「買い」の端末と言っても差し支えないだろう。特に、P@bitとEZweb@mailの両サービスに対応しているか否かは、使い勝手や料金面で雲泥の差があることを強調しておきたい。ツーカー端末では折りたたみデザインの「TP11」(パナソニック製)が一部のショップで品切れを起こすほどの人気ぶりだが、個人的にはTD11の方がはるかに「買い」だと見ている。逆に言えば、それくらいP@bitとEZweb@mailの有無による機能差は大きいということだ。
ただ、ここでひとつ注意したいのが今夏に予定されている最大28.8kbpsのパケット通信サービスの存在だ。パケット通信サービスをどう捉えるかによって、「買い」の指数も大きく変化する。もし、パケット通信サービスに魅力を感じ、少しでも早く使いたいのであれば、TD11は「待ち」だ。何事もなければ、あと2~3カ月でパケット通信サービスが開始され、対応端末が発売される。しかし、TD11の回線交換による通信は他社の同様のサービスと比べても十分快適なものであり、パケット通信サービスが提供されても料金体系は変わらない上、屋内や地下の基地局を経由するときはパケット通信サービス対応端末でもTD11と同じように、回線交換による通信で接続することになる。また、パケット通信サービスが開始される時点で、どれだけの端末がラインアップされるのかもわからない。これらのことを総合すれば、今の段階でTD11を購入しておき、パケット通信サービスが提供され、端末のラインアップがある程度、揃った段階で買い換えるという考え方も成立する。
パケット通信サービス開始前という非常に難しい時期ではあるが、P@bitとEZweb@mailが利用できるだけでもTD11はなかなか「使える端末」であることは確かだ。もし、購入するときは、店頭などで実際に動作する端末を借りて、TD11によるEZwebの使い心地を確認することをおすすめしたい。
・ TD11ニュースリリース(ツーカーセルラー東京)
http://www.tu-ka.co.jp/news/release/010301.html
・ 「ボイコレ」ニュースリリース(ツーカーセルラー東京)
http://www.tu-ka.co.jp/news/release/010221.html
・ 「EZweb@mail及びパケット通信サービス」ニュースリリース(ツーカーセルラー東京)
http://www.tu-ka.co.jp/news/release/010215.html
(法林岳之)
2001/05/08 23:30
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