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Sports/Change/Videoでライフスタイルを提案するauの夏モデル
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


 6月3日、KDDIはauの2008年夏モデルのラインアップ12機種を発表した。今年の春から「au Smart Sports」を展開し始めた同社だが、今回は「Sports」「Change」「Video」という3つのキーワードを掲げ、新ラインアップを発表するとともに、割賦販売を含めた新料金プランを合わせて発表した。発表会の詳細な内容は、すでにレポートが掲載されているので、そちらを参照していただくとして、ここでは筆者が発表会で試用した端末の印象や捉え方について、紹介しよう。


コンテンツや利用シーンを提案する12機種をラインアップ

 「EZナビウォーク」や「LISMO」など、従来からユーザーの利用シーンを考えたサービスやコンテンツ、それらに合わせた端末ラインアップを展開してきたau。昨年来、「人々のライフスタイルに合ったケータイやサービスを提案する」という姿勢を打ち出してきたが、今年の春モデルでは「au Smart Sports」を掲げ、スポーツという今までのケータイではあまり意識されていなかったジャンルに取り組んできた。

 今回の夏モデルでは春モデルの流れを受け、「Sports」「Change」「Video」という3つのキーワードを掲げ、新たに12機種を発表するとともに、それぞれのキーワードに合わせた新サービスを発表してきた。端末の新ラインアップも冬モデルや春モデルからはガラリと一新された印象で、新鮮なイメージのモデルが展開された印象だ。



 端末については、昨年秋から米Qualcomm製のベースバンドチップセット「MSM7500」を採用した新プラットフォーム「KCP+(KDDI Common Platform Plus)」の展開を進めてきたが、開発の遅れや度重なるケータイアップデート(ソフトウェア更新)により、ユーザーを心配させてきた。しかし、春モデルの段階で、KCP+が一応の完成を見たこともあり、今回は12機種中8機種がKCP+を採用し、いよいよ本格的に新プラットフォームを主力に据えたラインアップに舵を取り始めた格好だ。同時に、これにより、1xEV-DO Rev.Aをサポートするモデルも一気に増えたことになる。

 その一方で、従来のMSM6550を採用したKCPのラインアップも新たに4機種が追加されたが、その中にはCDMA 1X WINでありながら、EZナビウォークなどのGPS関連サービスとEZニュースフラッシュをサポートするのみで、LISMOやFeliCaといったサービスに対応しないという割り切ったエントリー向けモデルもラインアップされるなど、一段と幅広いユーザーのニーズに対応しようとしている。


「Sports」「Change」「Video」に基づいたサービスの方向性

「Sports」「Change」「Video」の3つのキーワードを掲げた

フルチェン
 サービス面についても「Sports」「Change」「Video」という3つのキーワードに基づいたものが用意されている。

 「Sports」については今年の春モデルで掲げた「au Smart Sports」を発展させたものだ。au Smart Sports Run&Walkはadidasとのコラボレーションを実現するとともに、機能面でも全体的にバージョンアップし、カロリーカウンターやBEAT RUN、パーソナルトレーナーダウンロード対応など、さらに楽しくスポーツができる環境を提案している。なかでも待受画面に表示されるカロリーカウンターに各コンテンツプロバイダーからキャラクターモノのコンテンツが提供されたり、BEAT RUNではヤマハのサポートにより、音楽との連携を実現しているところは、非常にauらしい取り組みと言えるだろう。

 2つめのキーワードとして、掲げられた「Change」は、端末の外装を丸ごと変えられる「フルチェン」に対応した端末とメニュー画面などを自由に選べる「ナカチェン」というサービスを表わしたものだ。フルチェンは「フルチェンケータイ re」というネーミングが与えられた端末で実現されるもので、外装パーツをほぼ丸ごと交換することができるサービスだ。海外ではノキア製端末などを中心に、外装パーツを丸ごと交換できるしくみが提供されているが、国内ではJATEやTELECが審査する技術適合基準の関係上、専用パネルを交換する程度の着せ替えケータイにとどまっていた。そこで、auではあらかじめ外装パーツを交換できる端末を設計し、auショップで交換できるサービスを「フルチェン」という形で提供することになった。外装を一新することで、端末を長く利用するユーザーの希望に応えられるようにしたり、ユーザーの好みに合わせたデザインやキャラクターをあしらった端末にカスタマイズできるなど、着せ替えケータイよりも一段と楽しみが増える印象だ。


フルチェンのラインアップ 外装はショップで交換する

 ナカチェンについては、従来のEZケータイアレンジを一歩、推し進めたもので、メニュー画面のカスタマイズに加え、サイトへのリンクやゲーム、EZブックなどをパッケージングして提供するサービスだ。ケータイをある程度、使い込んでいるユーザーであれば、メニュー画面のカスタマイズやコンテンツのダウンロードは、何ら問題なく、利用できるが、なかにはコンテンツをどこからダウンロードしたらいいのか、どのように設定したらいいのかなどがわからないというユーザーも多い。そこで、auではauショップに対応端末を持ち込むことで、ショップスタッフによって、コンテンツのダウンロードや設定などを行なうサービスを提供するようにしたわけだ。ユーザーにとってはショップスタッフという専門家に対応してもらうため、手間が掛からず、安心して作業を任せられるうえ、ショップでの作業となるため、パケット通信料が掛からないという利点もある。コンテンツプロバイダーにとってもコンテンツを利用してもらうための導線をメニュー画面内に設定したり、体験版のゲームや電子ブックを提供できるというメリットを持つ。端末を売るだけでなく、コンテンツも含め、ユーザーに使ってもらうための工夫を盛り込んだコンシェルジュ的なサービスと言えるだろう。


ナカチェン キャラクターやゲームなど、コンテンツプロバイダーか等提供される

「LISMO Video
 3つめのキーワードとなる「Video」は、春モデル発表時に予告されていた「LISMO Video」で、ケータイで映画や海外ドラマなどを視聴できるサービスだ。ワンセグが登場したことにより、ケータイで映像を視聴するシーンが増えているが、その一方で、テレビについては地上波だけでなく、BS/CS 110度デジタル放送やケーブルテレビ、スカイパーフェクTVといった専門チャンネルを中心に視聴する人が増え、ブロードバンド環境を利用したIP-TVサービスで見たいタイトルだけをオンデマンドで視聴するというスタイルも少しずつ拡がり始めている。LISMO Videoはこの2つの動向を意識したサービスで、映画やドラマ、音楽などのジャンルのタイトルをパソコン経由でケータイにダウンロードし、ケータイやパソコンで視聴できるサービスだ。パソコンとブロードバンド環境は必須になるが、パケット通信料が節約できるうえ、期間内であれば、パソコンでもケータイでも視聴できるというメリットを持つ。今回発表された端末には短尺の映画予告編がプリインストールされているほか、W62Hには海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」のシーズン1の第1話が丸ごとプリインストールされている。

 料金体系については、KDDIが同社のFTTHサービス「ひかりone」で提供しているTVサービスの「ビデオレンタル」に準じており、映画であれば、72時間以内の視聴が420円といった料金で視聴できる。欲を言えば、海外ドラマなどはシーズン単位で長期間の視聴ができたり、IP-TVサービスのような見放題プランも欲しいところだが、人気作品を105円で視聴できるキャンペーンも実施されるので、まずは対応端末で試してみるのがおすすめだ。ちなみに、LISMO Videoは今春から販売が開始されているKCP+採用端末で利用することができる。

 ただ、LISMO Videoで注意したいのは、コンテンツをダウンロードするパソコンが一定の仕様を満たしている必要がある点だ。LISMO Videoでは当然のことながら、デジタル化された映像コンテンツを扱うのだが、ディスプレイやグラフィックアダプタが著作権保護技術に対応してなければならず、非対応の環境では利用することができない。詳しくはLISMO VideoのWebページを参照していただきたいが、先月あたりから販売が開始された地上デジタル放送対応のテレビチューナー製品と同様で、HDCP対応やCOPP対応が求められている。ここ1~2年のパソコンであれば、まず大丈夫だろうが、3年以上前となると、なかには利用できないパソコンもあるので、LISMO Videoの利用を検討しているユーザーは、LISMO VideoのWebページで公開されている「LISMO Videoチェックツール」などで対応を確認することをおすすめしたい。


利用イメージ チャプター表示に対応

個性的な12機種をラインアップ

 さて、いつものように、ここでは発表会のタッチ&トライで試用した端末のファーストインプレッションについて、紹介しよう。毎度のことになるが、試用は時間が限られているため、十分な情報がお伝えできないことをお断りしておく。同時に、試用した端末は開発中のものであるため、実際に出荷される製品と差異が出てくる可能性があることもご理解いただきたい。詳しい情報については、ぜひ本誌のレポート記事を合わせて、参照して欲しい。


W62H(日立製作所)

 通常の折りたたみデザインをベースにしながら、横方向への開閉も可能にした2Wayオープンスタイルの端末だ。NTTドコモのP905i/P906iで採用されたWオープンスタイルと違い、ヒンジ部分のみで支える構造だが、剛性感のあるしっかりしたヒンジで、安心して利用できる。敢えてヒンジ部分を強調したデザインも印象的。キーはフレームレスだが、キーの上の部分に凹みを付けることで、押しやすくしている。FlashSilverは日立製端末でおなじみの「マジョーラカラー」だ。


W62SH(シャープ)

 今回発表された端末の内、W63SAやW64SAと並び、数少ないVGAクラスのディスプレイを採用した端末だ。昨年、好評を得たW52SHを進化させたようなデザインで、二軸回転式を採用する。トップパネル周囲に装着されたローレット仕上げのメタルフレームの印象が強いが、実機を見ると、それほど派手さは感じられない。フレームレスキーを採用し、スッキリとしたデザインにまとめられているが、左下の[*]キーと[マルチ]キー、右下の[#]キーと[TV]キー、[1][2][3]キーと上にある[開始][クリア][終了]ボタンが近いため、慣れるまではボタンを押し間違えそうだ。


W63SA(京セラ)

 京セラに統合されてから初のSA(旧三洋電機)シリーズ第一弾となるモデル。CDMA 1X WINでは初のGLOBAL PASSPORT CDMAによる国際ローミング対応端末であり、このままの状態でCDMAエリアで利用可能。au ICカードをGSM方式の端末に挿せば、GSM方式での国際ローミングにも対応するため、auのラインアップにおいては事実上、もっとも広いエリアで国際ローミングが利用できることになる。ちなみに、GLOBAL PASSPORT CDMAはKCP+上で実装されたため、今後、登場するKCP+採用端末にも順次、搭載される見込みだ。今回発表されたKCP+採用端末の内、唯一、「ナカチェン」に対応しない。


Sportio(東芝)

 女性の腕にアームバンドで装着するサイズ感を最大限に重視して開発されたコンパクトな端末だ。今回のau Smart Sports Run&Walkを象徴的に表わす端末でもある。通常の折りたたみ端末を折りたたんだ状態よりも少し短い程度の非常にコンパクトな端末だ。かつてNTTドコモで販売され、好評を得た「premini」シリーズを彷彿させるサイズ感だ。これだけのコンパクトなボディながら、今回の新サービスであるナカチェンやLISMO Videoに対応し、モーションセンサーも搭載する。

 惜しむらくはEZ FeliCaが搭載されていないことだ。関係者によれば、「ジョギングやウォーキングにケータイひとつで出かけ、コンビニエンスストアに寄って、おサイフケータイでドリンクなどを買うというシーンも十分に考慮したが、どうしても今回のボディサイズには収めることができなかった」とのことだ。

 方向キーが左側、ダイヤルボタンが右側というユニークなレイアウトを採用したため、文字入力や変換操作は少し慣れが必要になる。起動時に注意を促す画面も表示されるが、画面の最下段左右に表示されるソフトキーも対応するキーが本体の左側の方向キーの左右上にあるキーになるため、ズレがあり、少し戸惑う。ボタンサイズが小さい割に、しっかりと突起した形状のため、筆者のような手の大きなユーザーでも慣れれば、十分に操作できる。通常の折りたたみデザインの端末のような使い勝手は望めないが、割り切った使い方ができるなら、なかなか面白そうな端末と言えそうだ。


G'zOne W62CA(カシオ計算機)

 2年ぶりに登場したG'zOneの新モデル。従来のG'zOne W42CAはかなりゴツいイメージだったが、タフなデザインイメージは踏襲しながら、19.9mmというスリムボディに仕上げられている。今回、発表された端末ラインアップの内、ナカチェン、LISMO Videoに加え、モーションセンサーも搭載する。EZ FeliCa対応なども従来モデルに比べると、選びやすくなった要素のひとつだが、KCP+採用の影響もあり、日本語入力のルールが若干、変更されている点が気になる。細かい部分だが、[4]をくり返し押して「つ」を表示した後、[*]を一回押すと、従来は「っ」が表示されていたのに対し、W62CAでは「づ」が表示され、もう一度、[*]を押すと、「っ」が表示される仕様となっている。その他の部分はチェックしていないが、ATOK for auを採用していながら、従来のCAシリーズとは少し違う仕様になっているようなので、乗り換えユーザーは注意が必要だろう。


W64SA(京セラ)

 W63SA同様、京セラが製造するSAシリーズのKCP+採用端末だ。トップパネルに内蔵されたイルミネーションが印象的で、端末の開閉や振ったときの動作などに反応して、点灯するしくみを採用する。女性を意識した端末だが、今回の夏モデルではW63SAやW62SHと並び、数少ないVGAクラスの液晶ディスプレイを採用した端末だ。モーションセンサーも搭載しており、スペック的にはもっともハイエンドのモデルということになる。


フルチェンケータイ re(ソニー・エリクソン)

 ショップでボディの外装パーツが交換できる「フルチェン」に対応した端末だ。サイズはW62Sに近く、コンパクトで持ちやすい。ボタンも各行ごとにスペースが空けられており、非常に押しやすく、ボディ側面の凹みにより、端末の開閉もしやすい。他のKCP+採用端末では側面に装備されることが多いマルチキー(タスク切り替えに利用)もダイヤルボタン下に装備され、操作しやすい。フルチェンという斬新なコンセプトが注目されがちだが、使い勝手などの基本的な要素もしっかりしており、使い込んでいくほどに良さが理解できそうな端末だ。

 残念な点はKCP+採用端末ながら、Bluetoothに非対応であることくらいだろう。フルチェンとしての楽しみについては、やはり、パーツのラインアップがどれだけ拡がるにかかっている。パーツの形状や材質は変えられないため、基本的にはグラフィック中心になるが、映画などとのタイアップなど、今までと違ったアプローチも期待したいところだ。


W62T(東芝)

 KCP+の開発において、中心的な役割を果たした東芝は、今回のSportioとW62Tが早くも3機種目と4機種目ということになる。他のKCP+採用端末のような強い個性を持たないが、ワンセグやFeliCaなど、ひと通りの機能を揃えたスタンダードモデルだ。ワンセグについては、方向キーの上に専用キーを設け、起動をわかりやすくしている。東芝製端末で従来から好評を得ていたダウンロードフォント対応なども復活している。ダイヤルボタンはサイズも大きく、キープリントもハッキリしているが、ややカタい印象があった。全体的な動作も開発中のモデルであるためか、他機種に比べると、やや反応が遅くなるような場面も見受けられた。


W64K(京セラ)

 昨年発表されたと言われるW53Kの後継モデルに位置付けられる端末だ。W53Kは二軸回転式のボディを採用し、スリムなワンセグ端末として、コンスタントに人気を得たそうだが、ソリッドなカラーバリエーションが展開されていたため、ユーザーから「もっと華やかな端末にして欲しい」という声が上がり、今回のモデルが開発されたという。スペック的にはW53Kとまったく同等で、ダイヤルボタンの[1][2][3]キーを利用したワンタッチダイヤル、ディスプレイを反転してのワンセグ一発起動などの仕様も受け継がれている。光沢のあるトップパネルはかえって指紋などがつきやすいところが気になるが、W53Kにはなかった華やかさは他の端末にはないテイストと言えそうだ。


W62K(京セラ)

 CDMA 1X WIN端末でありながら、EZニュースフラッシュやEZナビウォークなど、基本機能に絞り込んだエントリー向けのベーシック端末だ。単純に機能を外すだけでなく、サイドキーをなくして、操作ミスを減らしたり、[開始]キーで文字サイズを5段階に切り替えられるなど、使いやすさに注力されている。緩やかなカーブを持つキーはサイズも大きく、キー照光も明るく見やすい印象だ。もちろん、でか文字やでか受話音などの機能もサポートされている。中高年層を中心にしたシニアユーザーを選ぶとき、これまではCDMA 1X対応端末が中心だったため、パケット通信料の定額制が契約できなかったが、この端末やW63Kであれば、シニアユーザーにも使いやすい環境を継承しながら、ダブル定額/ダブル定額ライトを契約できるため、安心して勧めることができる。


W63K(京セラ)

 W62Kとほぼ同じ仕様を持ちながら、ストレートボディを採用した端末。今回発表されたSportioを除けば、auのラインアップでは久しぶりのストレートボディの端末ということになる。フレームレスながら、段差と角度を付けたボタンは押しやすく、ディスプレイもストレートながら2.7インチと大きく、視認性も良好だ。機能が絞り込まれ、シニアユーザーにも持ちやすいというアドバンテージはW62Kと同様だ。


簡単ケータイ W62PT(パンテック&キュリテル)

 A1406PTで簡単ケータイをリードしてきたパンテック&キュリテルのWIN対応簡単ケータイだ。今回はモックアップのみの展示だったため、実際の使用感はわからないが、個人的にちょっと興味深かったのが「8つのでか機能」だ。でか文字やでか受話音、でか時計などは他機種でもよく採用されているが、W62PTには「でかストラップホール」が採用されている。説明するまでもないが、要するにストラップを通すための穴が大きいため、シニアユーザーでも簡単に通すことができるわけだ。もちろん、いくつものストラップを付けるという使い道もあるだろう。「そんなところを大きくしなくても……」と考えるかもしれないが、これは意外に気づかないポイントだったかもしれない。


“ライフスタイル”ケータイへの道を着実に進むau

auも割賦販売を開始
 KDDIは今回、2008年夏モデルの発表に合わせ、新料金サービスと割賦販売についても発表した。内容については、本誌の発表会レポート記事を参照していただきたいが、ユーザーとしては、今後、どちらが主流になるのか、自分としてはどちらを購入すればいいのかが非常に気になるところだろう。

 割賦販売については、ソフトバンクが約2年前から開始し、NTTドコモが新販売方式の導入に伴い、昨年秋からスタートさせている。これに対し、auは敢えて従来通りの販売方式を継承した「フルサポートコース」を主流に据え、販売奨励金を抑え、端末価格が高く、月々の基本使用料を安く設定した「シンプルコース」を展開してきた。当初はフルサポートコースに対する不満や戸惑いが聞かれたものの、春モデルで端末ラインアップが揃ってからは販売も好調に推移し、フルサポートコースの良さが認知されてきた印象だった。特に、端末の販売に関しては、元々、出荷量をきちんとコントロールしていたこともあり、割賦販売にはあまり積極的ではなかった。

 一方のNTTドコモは販売奨励金を抑え、基本使用料を安くした「バリューコース」が圧倒的に人気を集め、割賦販売の効果もあり、905iシリーズが好調な売れ行きを記録した。その陰では705iシリーズの不振という副産物も生み出している。こうした動きがあるにもかかわらず、敢えて、auが割賦販売にも踏み切ったのは少し意外だ。

 ただ、今後、端末の高機能化が進んでいく中で、ハイエンド端末が増えてきたときも割賦販売と新シンプルプランであれば、ユーザーも購入しやすくなるだろうし、逆に、エントリーモデルを購入するようなユーザーが極力、月々の使用料を抑えるために、新シンプルプランを選択するという方法も考えられる。

 つまり、auが従来から展開してきたフルサポートコースやNTTドコモのバリューコースのように、どちらかのコースを主流に据えた展開ではなく、本当の意味でユーザーの考え方や方向性に合わせて、どちらの支払い方法でも選べる環境を整えたというのが本当のところだろう。我々ユーザーとしては、端末購入時の自分のお財布の状態、月々の負担額などを考え合わせた上で、自分の支払いやすい方法を選べばいいわけだ。支払いのコースが自由に選べるのは、ユーザーとしても歓迎すべきことなのだが、いざ「どちらかをお選びください」と目の前に出されると、ちょっと戸惑ってしまいそうだ。


新シンプルプランの概要 シンプル980

 今回、KDDIではこの他にも新サービスとして、海外で利用できる「EZガイドマップ」、ケータイでパソコンのメールが送受信できる「ケータイdePCメール」、ファッションやヘアメイクを試すことができる「EZ MYスタイリング」などを発表している。いつものことではあるが、全体的に見て、昨年来、同社が掲げている“ライフスタイル”ケータイの方向性を着実に進めているように見受けられた。

 特に、端末については、従来モデルからわずかにバージョンアップするといったアプローチではなく、Sportioのように、今までのラインアップになかったモノにチャレンジしてみたり、W62Hのように、トレンドとなりつつある縦横の二方向に開く2Wayオープンに取り組んでみたり、W62K/W63Kのようにベーシック端末という新しいジャンルを模索するなど、それぞれに個性を打ち出しながら、ユーザーの存在を意識したラインアップを展開してきたという印象だ。個人的には、VGAクラスの液晶ディスプレイを搭載したW62SHやW64SA、パーツの展開が楽しみなフルチェンケータイ re、おなじみの最強防水ケータイのG'zOne W62CAなどが気になる存在だ。

 しかし、その一方で新しいトレンドとなっているタッチ操作の端末がないこと、端末のボディデザインにスライド式がないこと(W61Sはしばらく継続販売される)、待望論が高まっているスマートフォンがないことなど、不満点もまだまだ残されている。これらの点については、今後のauの展開に期待したい。

 今回発表されたモデルは、早ければ、今月半ばにも販売が開始される見込みだ。今回は新シンプルプランと割賦販売も開始されるため、当初は少し混乱が予想されるが、本誌の発表会レポート記事や今後、掲載される予定のインタビュー記事などを参照し、本当に意味で自分の“ライフスタイル”に合った端末を選んで欲しい。



URL
  au
  http://www.au.kddi.com/
  ニュースリリース(KDDI)
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2008/0603/

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(法林岳之)
2008/06/04 19:39

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