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使いやすさとコストパフォーマンスで勝負する「エクシーレII」
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■ 回線一体型メール端末第2弾
一昨年、回線一体型メール端末として発売されたNTTドコモの「エクシーレ」は、DoPaシングルモードに対応し、本体のみでメールの送受信やホームページの閲覧ができる端末として注目を集めた。その後継モデルとなるのが今回発売された「エクシーレII」だ。発売を前に、製品を入手することができたので、レポートをお送りしよう。
■ 回線一体型というスタイル
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NTTドコモ『エクシーレII』。サイズ:136(W)×24(H)×92(D)mm(閉じたとき)、220g。アメジストブラックとクリスタルホワイトの2色が用意されている。
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現在、多くのユーザーがPCやPDAなどに携帯電話やPHSを組み合わせ、モバイルで利用している。外出先でメールを読んだり、ホームページを閲覧するといった使い方だ。しかし、こうした活用をするには、PCやPDA以外にデータ通信カードやケーブルが必要になる。そこで、携帯電話やPHSの機能をPCやPDAに内蔵した機器が生まれてくる。以前、このコラムで紹介したDDIポケットのH" INもこうした回線一体型を実現するためのものだ。回線一体型の製品は、データ通信カードやケーブルが不要である上、PDAのように電源を入れて、すぐに使える機器であれば、メールチェックなどもすぐに確認できるというメリットがある。
今回紹介する「エクシーレII」は、一昨年にNTTドコモが発売した「エクシーレ」の後継モデルだ。エクシーレは回線一体型メール端末の先駆け的な存在であり、爆発的なヒットこそしなかったものの、着実にユーザー層を広げ、支持を集めている。メールやWWWブラウザという基本機能を充実させながら、DoPaシングルモードという固定費の安さが人気の秘密となっているようだ。このコラムでも発売当時にレビューを紹介したが、回線一体型のメリットが認められる半面、実際には使いにくい面も多く、まだまだ発展途上中という判断を下した。今回のエクシーレIIではこうした不満点がどのように改善されているのかが非常に気になるところだ。
■ 液晶ディスプレイにバックライトを装備
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キー配列など、基本的な部分に変更はない。
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基本スペックなどについては、NTTドコモの製品情報のページなどを参照していただきたい。ここでは筆者が実機を試用した印象を中心に紹介しよう。
まず、外見は基本的に従来モデルと同じデザインを踏襲している。違いは本体上面右にあるLEDくらいだが、ボディカラーはクリスタルホワイトとアメジストブラックの2種類になり、かなり印象が変わっている。特に、男性ユーザーが持つことを考慮すれば、ブラックの採用は重要なポイントだろう。
次に、本体を開いたときのデザインだが、キー配列なども含め、基本的な部分に変更はない。ただ、液晶ディスプレイがバックライトを装備し、暗いところでの視認性を高めている。バックライトはメニュー内の設定によってON/OFFができる。ちなみに、バックライトに装備に伴い、本体の厚さは2mmほど増えたが、本体重量は約220gと軽さを保っている。液晶ディスプレイのサイズは変わらないが、表示文字数は12ドットフォント(従来は16ドットフォント)の採用により、最大全角26文字×13行まで表示が可能になっている。
本体右側面には電源スイッチ、[チェック/マナー]ボタンを備え、左側面にはACアダプタなどと接続するコネクタを装備する。[チェック/マナー]ボタンを長押しすることで、本体を閉じた状態でもメールをチェックして受信することが可能だ。ちなみに、ACアダプタの端子はNTTドコモのNシリーズと共通となっている。
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本体右側面の[チェック/マナー]ボタンを長押しすることで、本体を閉じた状態でもメールをチェックして受信することが可能。ACアダプタの端子はNTTドコモのNシリーズと共通。 |
■ メールの自動受信に対応
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メール表示画面。表示文字数は12ドットフォント(従来は16ドットフォント)の採用により、最大全角26文字×13行まで表示が可能になっている。
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外見上はあまり変わった印象がないエクシーレIIだが、搭載されているソフトウェアはかなり改良されている。
まず、メールは標準的なPOP/SMTP方式によるインターネットメールに対応し、moperaPOPメール以外に2カ所のプロバイダのメールを登録できるようにしている。従来モデルが発表された当時、mopera POPメールを利用した場合でもメールの着信通知機能が利用できず、せっかくの回線一体型のメリットを活かすことができなかったが、昨年11月にmoperaメールサービスが改良され、機能追加されている。エクシーレIIではこれをさらに一歩進め、mopera POPメールに届いたメールを自動的に受信する機能を搭載している。この機能の搭載により、エクシーレIIは回線一体型のメリットを十分に活かすことができるわけだ。
従来モデルではメールの送受信時に、予想以上にデータのやり取りが増える現象が見られていたが、エクシーレIIではPOPコマンドの最適化により、メール受信1件につき、約1KBの通信量を削減している。mopera POPメールを利用しているときは、メールをサーバに残さない設定にした点も通信量を最小限に抑えるためだ。
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搭載されているブラウザではiモードホームページの閲覧が可能。もちろん、iモードの絵文字やaccesskeyにも対応している。
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WWWブラウザについては、従来モデル同様、アクセスの「NetFront」をベースにしたものが採用されているが、エクシーレIIではiモードで採用されているコンパクトHTMLに対応し、iモードホームページの閲覧も可能にしている。もちろん、iモードの絵文字やaccesskeyにも対応している。ただし、NTTドコモのiモード公式サイトは閲覧できないため、どちらかと言えば、同社のパルディオ641SシリーズやアステルのAJ-51のように、いわゆる「勝手サイト」を見るためのものということになる。
グラフィックについては、従来モデルでGIF/JEPG形式をサポートしていたのに対し、エクシーレIIではGIF形式のみの対応となっている。これは巨大なファイルを読み込むことで、パケット通信量が増加することを防ぐためだ。SSL 2.0/3.0及びcookieにも対応したため、オンラインショッピングサイトなども利用しやすくなっている。さらに、ホームページ上に用意された「mailto:」のリンクにも対応しており、mopera経由で接続している場合は回線を接続したまま、mopera Webメーラーのページにジャンプし、メールを送信することが可能だ。
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法人利用にも適したカスタマイズ機能が搭載されており、起動メニューに表示されているアイコンなどをオリジナルのものに変更することも可能。写真は通常のメニュー画面。
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また、moperaで提供されている「Live!メール」「Live!トーク」については従来モデルでも予想以上に人気の高かったが、エクシーレIIでは機能強化が図られている。たとえば、従来モデルでのLive!トークは1対1のコミュニケーション(チャット)を目的としていたが、エクシーレIIでは複数ユーザーで同時にLive!トークを楽しむことができる。複数ユーザーによるLive!トークはエクシーレII、もしくは専用アプリケーションをインストールしたWindowsマシンが存在すれば、従来モデルも複数人によるLive!トークに加わることができる。DoPa対応のエクシーレIIなら、長時間接続してもデータ通信量に応じて課金されるため、こうしたチャットなどのコミュニケーションは適した使い方と言えそうだ。
さらに、エクシーレIIでは使いすぎを警告するため、一定以上、データを送受信したときや設定を変更したときなど、いろいろなシーンで警告画面が表示される。課金についても直前の通信の概算が起動メニュー画面の左下に表示されるなど、細かい点の工夫も怠りない。
この他には、法人利用にも適したカスタマイズ機能が搭載されている。エクシーレIIではオプションで販売されるデータリンクソフトを利用することにより、通信系アプリケーションの自動起動や起動制限、アクセス先の変更制限などが設定できる。グラフィックについてもカスタマイズが可能で、起動メニューに表示されているアイコンなどをオリジナルのものに変更することが可能だ。たとえば、自社サーバへのリモートアクセス専用端末としてカスタマイズしたり、顧客向けのカスタム端末などの活用例が考えられる。
■ シンプルに使いたいなら「買い」だが……
最後に、いつもの「買い」診断をしてみよう。回線一体型端末のエクシーレは、今後のモバイル端末を考える上でも非常に重要な存在だ。その後継モデルとなるエクシーレIIは主にソフトウェアをバージョンアップすることにより、従来モデルの不満点を解消し、使いやすい回線一体型端末に仕上げている。完成度は一段と高まったというのが素直な印象だ。特に、iモードの勝手サイトを見るための端末としては、最も固定費が安く、画面も大きい。これは大きな魅力と言えるだろう。この点を評価できるユーザーは、「買い」の方向で検討することをおすすめしたい。携帯電話はいらないが、シンプルにメールやホームページを見たいというユーザーも要チェックの存在だ。
ただ、初代モデルの発売から約1年が経過し、携帯電話やPHSはほぼ全機種にカラー液晶ディスプレイが搭載されている。勝手サイトなどでもカラー対応コンテンツが増えてきており、バックライトを装備したとは言え、モノクロ液晶ディスプレイは少々ツラい気もする。同様に、メール端末の隠れたライバルでもあるPDAがここのところ、急速に伸びてきており、価格的にも5万円前後でかなりのスペックのものが購入できるようになっている。こうした状況下において、エクシーレIIが魅力を維持するには、価格面でも相当頑張らないと厳しいだろう。特に、エクシーレIIにはカメラやゲームといった「遊び」の部分の仕掛けが少なく、実用性重視で作られているため、コンシューマに対するインパクトはあまり大きくない。その昔、パケット通信の特性を活かし、囲碁や将棋ができるオンラインゲームが存在したが、コミュニケーションだけに頼らない仕掛けも欲しいところだ。
正直なところを言ってしまえば、やや地味な印象は残るが、コミュニケーションの部分に関しては回線一体型端末のひとつの完成形に近くなっており、この点は「買い」と言えそうだ。エクシーレ、エクシーレIIのノウハウを活かし、さらにパワーアップしたモデルの登場も期待したい。
■URL
・エクシーレIIニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/01/whatnew0131.html
(法林岳之)
2001/02/13 00:00
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