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「F503i」はどこまで「iアプリ」を楽しめるか?
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


いよいよ登場した503iシリーズ

 昨年来、話題となっていたNTTドコモの503iシリーズがいよいよ発売された。Javaを搭載することにより、「iアプリ」という新しいケータイの使い方を提案した製品となっている。1月26日には富士通製「F503i」と松下通信工業製「P503i」の両製品が発売され、筆者も早速、機種変更で端末を入手することができた。今回はF503iのレビューをお送りしよう。


やってくれるぜ、富士通さん

 NTTドコモ『デジタル・ムーバF503i HYPER』。サイズ:46(W)×135(H)×15(D)mm、77g。バイオレットシルバー(写真)、シャイングレー、フェアリーホワイトをラインアップ。
 NTTドコモが販売するiモード端末は、松下通信工業、NEC、三菱電機、富士通という主要4メーカーに加え、ソニーやノキアといったメーカーも参入するようになり、かなり製品のバリエーションが増えてきている。しかし、NTTドコモの端末を古くから供給し続けてきた主要4メーカーは、それぞれに個性があり、ある程度の「○○らしさ」というものを持っている。

 今回紹介する「F503i」を製造する富士通は、iモード端末第1弾「F501i」、カラーiモード第1弾「F502i」と、iモード端末では常に先陣を切ってきた。今回も同着ではあるが、iアプリ対応端末第1弾とという栄誉(?)を勝ち取っている。富士通製端末については他の3メーカーに比べると、やや個性が弱いという印象もあるが、実は筆者をはじめ、編集部では「エンターテインメント性と遊び心のF」という印象を持っている。「F502i」のカラー液晶ディスプレイや、おなじみの隠しコマンドなどもその一端だが、昨年発売の「F209i」に搭載された「きゃらいふ」という機能も見事だった。

 「F503i」ではどんなところに「Fらしさ」を発揮してくれるのかが楽しみだったが、発表のニュースリリースを見て驚かされたのは、その「iアプリ」に対する積極的な姿勢だ。端末に保存できるiアプリが最大50本(または200KB)、自社で提供する公式サイト「@Fケータイ応援団」で提供するiアプリが100本。503iシリーズのセールスポイントがiアプリであることを考えれば、このスペックはかなり魅力的と言えるだろう。

 しかし、こうしたiアプリ関連のスペックだけでは端末の魅力は、推し量れないのも事実だ。端末としての完成度や使い勝手、デザインなどを加味した総合力が端末の魅力と言えるはずだ。そんなことを頭に置きながら、503iシリーズ第1弾「F503i」をじっくり見てみることにしよう。


iアプリを意識した4分割マルチカーソルキー

 背面に備えられた「myアプリキー」は伝言メモの再生、登録したiアプリの起動に利用可能。着信時などには青白く光る。
 いつものように、基本スペックなどについては、すでに掲載されている「ケータイ新製品SHOW CASE」、NTTドコモ及び富士通の製品情報のページなどを参照していただくとして、ここでは筆者が実機を試用した印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディデザインについてだが、F502iとF209iでは比較的近いテイストのデザインを採用していたが、今回のF503iにもそのテイストが受け継がれている。全体的に平べったい印象の薄型ボディを採用し、中央に4分割の分離型マルチカーソルキー、その内側にiモードキーを配している。

 背面はフラットでスッキリとまとめられているが、上部に「myアプリキー」という独自のキーとスピーカーが備えられている。myアプリキーは伝言メモの再生に割り当てられているが、長押しすることでユーザーが設定したiアプリをワンタッチで起動することもできる。お気に入りのiアプリを登録しておくと便利だ。また、myアプリキーは光る構造になっており、着信時やメール受信時、未読メールがあるとき(毎時00分に30秒間)などにフラッシュする。ちなみに、F503iはスピーカーホンの機能も搭載されている。


 斜めから見ると、フロントライトの光が見える。液晶パネルとガラス部分の隙間はあまり大きくない。  液晶ディスプレイはフロントライト式反射型カラー液晶を採用。国内で販売されている携帯電話としては、N502itと並ぶ最大級。

 中央に分離型マルチカーソルキー、その中央にiモードボタンをレイアウト。分離型マルチカーソルキーはゲームに向いているかも!?
 液晶ディスプレイはF502iやF209iでバックライト式のSTNカラー液晶を採用していたのに対し、F503iではフロントライト式の反射型カラー液晶を採用している。フロントライト式はDDIポケットの三洋電機製端末「RZ-J90」などでも採用されているが、RZ-J90のように奥まったところに液晶パネルが備えられているという印象はない。サイズは約2インチとなっているが、表示可能エリアの実測値は32×40mm。これはカラー対応iモード端末としては画面サイズが最大サイズと言われる「N502it」の31×41mmとほぼ同等ということになる。ストレート型ボディで最大サイズを達成したのは見事だ。

 ボタンデザインは前述のように、中央に4分割のマルチカーソルキーを配し、その左右上部には画面によって機能が変わる「Menu/ソフトキー」がレイアウトされている。4分割の分離型マルチカーソルキーはデザイン的に好き嫌いがあるかもしれないが、これはiアプリのゲームなどの操作性を考慮したためだ。ちなみに、マルチカーソルキーの上方向でメールメニューが呼び出せ、上方向の長押しでメールの新規作成画面が表示される。このあたりの使い勝手は従来モデルをさらに一歩進めた感がある。


やっぱりうれしい大容量メモリ

 iアプリ起動時にはJavaのロゴがアニメーションで表示される。iアプリがJavaをベースにしていることの証。
 機能面については、やはりiアプリ対応が503iシリーズ最大のトピックだ。iアプリは携帯電話にJavaを実装することにより、サーバー上からJavaプログラムをダウンロードして利用できるようにしたものだ。パソコンでオンラインソフトなどをダウンロードして利用できる感覚に近い。Javaについては今さら説明するまでもないが、米サン・マイクロシステムズが開発したプログラミング言語で、Java VMが実装されたいろいろなプラットホーム上で同一のバイナリー(プログラム)が動作することを特長としており、開発者側から見れば、基本的には「一度、プログラミングすれば、どこでも同じものが動作する」というメリットも持ち合わせている。しかし、携帯電話の場合、画面サイズやキー配列、搭載メモリなど、端末ごとに環境が異なるため、必ずしも同じプログラムがどこで同じようにも動作するわけではない。特に、503iシリーズに搭載されたJavaはサン・マイクロシステムズが開発したものと若干、仕様が異なっている。

 難しい話はさておき、iアプリでは具体的にどんなことができるのかというと、ゲームや電卓のような簡単なアプリケーションが端末上で使えたり、端末を操作しなくても天気予報やニュースなどが自動的に更新されるといった機能が実現できる。503iシリーズに実装されているJavaをフルに活用したiアプリは、これから登場を期待するしかないが、今後、iアプリ次第で、さらにiモードの使い勝手は大きく変わるかもしれない。

 F503iはこうしたiアプリによるiモード環境の変化を見据え、冒頭でも触れたように、iアプリを最大50本(200KB)までダウンロードできるようにしている。標準でも4本のゲームと2本のユーティリティを提供しており、@Fケータイ応援団のサイトでは3月までに100本のiアプリを無料でダウンロードできるようにする計画だ。ちなみに、503iシリーズではiアプリを最大10本まで利用できるようにすることが条件となっている。筆者もiアプリを@Fケータイ応援団からダウンロードし、実際に遊んでみたが、手軽に遊べるゲームが充実しており、iアプリで何ができるのかを知るにはちょうどいい環境となった。

 ただ、携帯電話で遊ぶゲームは、視覚的にゲームボーイよりも厳しい環境であり、あまり長時間プレイするのには適していない。そういう意味ではF503i向けに提供されているゲームがお手軽なものであることも納得できる。

 着信メロディは16和音対応になり、3和音や4和音とは違った楽しさが得られるようになったが、16和音着信メロディはすでにau端末などでも実現されており、それほど新鮮味はなかった。標準で用意されている曲目の中では「Gメン’75」がなかなかいい味を出している(笑)。着信時に特定の画像を表示する「写真deコール」も30件まで登録でき、iメロディが30件、画面メモが100件まで保存可能だ。iアプリにしてもそうだが、F503iは大容量メモリを搭載していることが最大のメリットと言えるだろう。


 通常のメール作成画面で[宛先を増やす]を選ぶと、最大5人まで宛先を増やすことができる。
 iモードメールについては、503iシリーズを機に拡張されるのではないかという憶測もあったが、実際には従来通りの仕様となっている。ただ、N502itやD502iなどに搭載されている最大5人までの宛先に同時にメールが送れるという機能は、F503iでもサポートされている。また、iモードメールは他事業者のメールサービスと比較して、画像ファイルなどが添付ができないことが弱点とされているが、503iシリーズでは画像が保存されたURLをメールに記載することにより、画像添付メールとほぼ同様の環境を作り出している。ただ、実際に画像を添付できるわけではないので、これは今後、NTTドコモの仕様の見直しに期待したい。

 また、細かいところでは、待受画面から左右キーを押すことで表示されるメニューがくるくると回るようにアニメーションする「ラウンドメニュー」が搭載されている。しかも各メニューはジャンルごとに区分けされている。実際に使ってみるとなかなか軽快で楽しいのだが、Menuキーを押したときに表示されるメニューなどは回転しないため、若干操作に戸惑うこともある。この他にも[0]~[9]までのボタンとiモードボタンを連続して押すことでiモードサイトを瞬時に呼び出せるようにしたり、短縮ダイヤルに登録したメールアドレスにもツータッチでメールを出せるようにするなど、細かいところの使い勝手もよく考えられている。


iアプリを楽しみたいなら「買い」

 さて、最後に「買い」の診断をしてみよう。F501i以来、iモード端末の先陣を切ってきた富士通製端末だが、今回もiアプリ対応端末として一番乗りを果たしている。しかし、F503iはただ単に一番乗りを果たしているだけでなく、iアプリというiモード端末の新しい楽しみを十分に楽しめる仕掛けを用意しているところは評価に値する。なかでも最大50本までiアプリを保存でき、@Fケータイ応援団で100本ものiアプリを無料で配布しているのは、非常におトクな印象が強い。503iシリーズでどれを買おうか悩んでいて、「気になるのはiアプリ」というユーザーなら、F503iを買ってもまず損はしないだろう。

 ただ、F503iのデザインは多少クセがあり、好き嫌いが出ることも予想される。特に女性ユーザーからは「あたしは折りたたみじゃなきゃイヤよ」という声も聞こえてきそうだ。こうしたユーザーは、今後発売されるであろう503iシリーズを見極めてからも遅くはない。しかし、「折りたたみだから、必ず人気が出る」という時期は、そろそろ過ぎているのかなという印象がないわけではない。ボディデザインで選ぶか、スペックや楽しさで選ぶか。503iシリーズはその分岐点になるシリーズになるのかもしれない。


■URL
・F503iニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/01/whatnew0118a.html
・F503iニュースリリース(富士通)
http://www.fujitsu.co.jp/jp/news/2001/01/18-3.html
・F503i商品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/i/lineup/f503i/f503i.html
・F503i商品情報(富士通)
http://www.fmworld.net/mobileworld/phon/f503i.html



(法林岳之)
2001/01/30 00:00

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