■ ソニーが考えるケータイの新しいカタチ
auから@mail対応端末がC40xシリーズが発売されたが、そのラインナップの中でもひときわ目立つのがソニー製端末「C404S DiVA」だ。MGメモリースティックスロットを搭載し、MSウォークマンとケータイを合体させた新しいスタイルの携帯電話だ。筆者も機種変更で入手することができたので、レビューをお送りしよう。
■ 持ち歩くものがひとつ減る?
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au『C404S』。サイズ:50(W)×102(H)×27(D)mm、120g。シルバー(写真)をラインナップ。
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読者のみなさんは普段、どんなものを持ち歩いているだろうか? ケータイやPHSはもちろんとして、モバイル機器、システム手帳、仕事の道具……。女性なら、コスメグッズもたくさん持っているだろう。そして、忘れてはならないのがオーディオプレーヤー。ポータブルのMD/CDプレーヤーを欠かさないという人もいれば、今流行りのMP3対応シリコンオーディオプレーヤーを愛用している人もいるだろう。
今回発売された「C404S DiVA」は、@mail対応のcdmaOne端末にシリコンオーディオプレーヤーの機能を取り込んだもので、本体にはMGメモリースティックのスロットを備える。C404S DiVAの開発元であるソニーは「メモリースティックウォークマン」などのシリコンオーディオプレーヤーを販売しているが、C404S DiVAはこれをcdmaOne端末に合体させたものと考えればわかりやすい。今までカバンの中にあったオーディオプレーヤーが減り、C404S DiVAひとつにまとめられることになる。
ところで、ソニーと言えば、古くはウォークマンに始まり、近年ではPlayStationやVAIOなど、常にエポックメイクな製品を発売してきた。携帯電話の市場ではジョグダイヤルというトレンドを生み出したが、最近の製品では今ひとつその本領を発揮できていないという印象が強い。しかし、今回のC404S DiVAはシリコンオーディオプレーヤーを一体化するというソニーらしいユニークさが光っており、ソニーファンならずとも満足のできそうな製品と言えるだろう。筆者がはじめてモックアップを見たとき、「あぁ、これは広野氏やスタパ齋藤氏が買うに違いない」と直感したくらいだ。と書いてる筆者自身も買ったわけだが……(笑)。
また、@mail対応端末のC40xシリーズは、すでに4機種が発表されているが、このラインナップの中でもC404S DiVAのデザインはまったく引けを取っておらず、オーディオ機能を重視しないユーザーにも受け入れられるだけの魅力を持ち合わせている。
■ 大きさを感じさせない折りたたみボディ
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ボディは折りたたみ式を採用。蝶つがいの部分は1本足。
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基本的なスペックについては、すでに掲載されている「ケータイ新製品SHOW CASE」やau及びソニーの製品情報ページを参照していただきたい。また、オーディオ機能については、広野氏が詳しくレポートしているので、そちらをご覧いただきたい。ここでは筆者が実機を試用した印象を中心に紹介しよう。
まず、ボディだが、先週紹介したC401SA同様、折りたたみ式ボディを採用している。しかし、折りたたみ機構の蝶つがいの部分を見ると、C401SAが2本の足で液晶側と本体側を固定しているのに対し、C404S DiVAは1本のみの足で固定している。今のところ、壊れたり、緩んだりということはないが、強度的に大丈夫なのだろうかという不安は残る。
本体の背面側にはMGメモリースティックのスロットを備えており、プラスチック製の固定式フタが付いている。ほぼ同等の機能を持つNTTドコモの「SO502iWM」はゴム製キャップが採用されているが、どちらかと言えば、ゴム製の方が密閉度が高そうだ。MGメモリースティックスロットが搭載されたことにより、本体側の厚みが増したと考えるかもしれないが、実は同じ折りたたみ式のC401SAに比べ、開いた状態の本体側も閉じた状態でもわずか3mmしか厚くない。ただ、高さが5mmほど違うため、女性が手に持つと少し大きく感じられるかもしれない。
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背面にMGメモリースティックスロットを装備。標準セットには64MBのMGメモリースティックが添付される。
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充電台には予備のバッテリーを充電するための機能も備える。
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液晶ディスプレイは、フロントライト式のカラー液晶を採用している。解像度は120×160ドット、最大256色表示が可能で、表示部分の実測値は31×38mmとなっている。スペック的にはC401SAとほぼ同等だが、フロントライトの光り方や液晶ディスプレイ回りの処理が異なり、液晶ディスプレイそのものも少し青みがかったような印象を受ける。
ボタンデザインは中央にソニー独自のセンタージョグを備え、その回りにEZボタンやメールボタンなどが並ぶ。番号キーは丸が少し欠けたようなデザインだが、サイズは比較的大きく、操作しやすい。写真ではわかりにくいかもしれないが、これらのボタン類は青く光るようになっており、暗いところではなかなかカッコいい。ただ、光が強すぎて、ボタンのトップに印刷されている文字などが判別しにくい感もある。
センタージョグによる操作感は軽快で、EZwebもサクサク使える印象だ。ただ、決定などの操作をするとき、センタージョグを奥方向へ押すが、これがやや軽く、異なるメニューを押してしまうことがあるのは気になる。
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液晶ディスプレイは120×160ドット/256色表示が可能。フロントライト式を採用。
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ボタンは丸が少し欠けたような形状。ボタンを押すと、青く光る。
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C404S DiVAにはオーディオ機能を操作するために、リモコンが添付されている。このリモコンのトップ部分には通話用マイクが内蔵されており、TELボタンで着信に応答したり、発信に利用することもできる(発信はNo.499に登録された番号に対して)。リモコンの液晶ディスプレイにはMD/CDプレーヤーなどと同じように、オーディオ再生時の曲番号などが表示できるが、DISPL(ディスプレイ)ボタンを操作することで電波の受信レベルを表示したり、メールの有無や着信時の相手の電話番号なども表示することもできる。単なるオーディオ用リモコンに終わらせていないあたりは、さすがソニーといったところだろうか。
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通話用マイクを内蔵したリモコンを装備。液晶ディスプレイもあり、電波状態やメールの有無なども確認できる。専用リモコン端子を本体上部に備えており、ゴム製のキャップが付けられている。 |
■ EZweb@mailの思わぬ弱点
機能面について見てみよう。メール機能については、EZwebの新しいメールサービス@mail対応となっている。メールの作成画面は、本文だけで最大全角10文字×5行の表示が可能で、本文エリアの下にはバイト数が表示される。メール作成ではテンプレートも利用することができ、テンプレートには「To」「Cc」「Bcc」「件名」などをあらかじめ定義しておくことが可能だ。
また、メール固有の機能というわけではないが、C404S DiVAには通話とメールを連携させた「EVリンク」という機能が搭載されている。これは着信履歴に残った相手に対してメールができるというもので、不在時や電話に出られなかったときの返答に便利な機能だ。ただし、メールを送ることができるのは着信した相手がメモリダイヤルに登録され、メールアドレスも登録されている場合に限られる。
ただ、このEVリンクが使えるのであれば、着信メールの一覧に表示される名前もメモリダイヤルを参照できるようにして欲しいところだ。実は先週、C401SAのレビューを掲載したとき、ある読者の方から指摘されたのだが、@mailの着信メール一覧では発信者の欄にメールアドレスのみが表示される。通常、携帯電話やPHSのメールサービスでは、送られてきたメールのメールアドレスが端末のメモリダイヤルに登録されていると、その登録されているメモリダイヤルの名前の部分が表示される。たとえば、筆者が「△△△@impress.co.jp」というメールアドレスでメールを出したとき、相手の端末のメモリダイヤルに「△△△@impress.co.jp」が電話番号とともに登録されていれば、着信メール一覧には発信者名として「法林岳之 会社」といった形で表示されるはずだ。iモード、J-スカイ、H"LINKでは当たり前の機能だが、C404S DiVAやC401SAの@mailでは残念ながら実現されていない。「@mailはPCのメール環境に近いから……」という言い分もあるだろうが、使い勝手を考えれば、他のメールサービスのように、メモリダイヤルを参照するように改善されるべきだろう。
着信メロディはC401SA同様、16和音対応で、ダウンロードしたメロディとオリジナル着信音を合わせて最大10曲まで登録することができる。標準搭載の着信メロディとしては、「サンダーバード」あたりが目新しいところだろうか。また、EZwebでダウンロードしたデータを一時的に保存しておくデータフォルダのサイズは、200KBとなっており、最大99件までのデータを保存することが可能だ。先週のC401SAよりもサイズが大きいわけだが、オーディオ機能のためとは言え、せっかくMGメモリースティックを装備しているのだから、そちらに転送できるような機能を搭載しても良かったのではないだろうか。この点は今後、各社から登場すると言われているメモリーカードスロット搭載ケータイのチェックポイントと言えそうだ。
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光デジタル/アナログ端子を装備。ポータブルCDプレーヤーなどの光端子と接続して録音が可能。
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C404S DiVAの最大のセールスポイントであるオーディオ機能だが、これは広野氏のレビューにもあるように、なかなか便利だ。携帯電話機能をOFFにしても使える「パーソナルモード」、オーディオ機能でバッテリーを使いきっても携帯電話の待受ができる設計など、携帯電話とシリコンオーディオ機能を上手にまとめている。特に、光デジタル/アナログ端子を端末に装備し、CDプレーヤーなどから直接、録音できるようにしているのは高く評価できる。シリコンオーディオは数多くの製品が登場しているが、PCをまったく介在させない設計になっているものは少ない。PCがなくてもシリコンオーディオを楽しめるようにしたのは、さすがソニーと言えるだろう。
一方、PCを介在させる場合は、MGメモリースティックスロットを装備したPCを利用するか、別売の「MGメモリースティックリーダー/ライター」をPCのUSBポートに接続する必要がある。MGメモリースティックスロットを装備したPCとしては、以下の機種がある。
このラインナップを見てもわかるように、MGメモリースティックスロットが標準で搭載されているのはノートPC、しかもサブ/ミニノートPCクラスに限られている。コスト的な問題はあるかもしれないが、MGメモリースティックによるシリコンオーディオを本格的に普及させたいのであれば、もう少し幅広いラインナップにMGメモリースティックスロットを装備してもらいたい。
■ なかなかの秀作だが、価格がネック
MGメモリースティックスロットをはじめて装備したケータイとして登場したC404S DiVA。auのEZweb@mail対応端末としても先週紹介したC401SAと並ぶ、事実上の第1弾モデルということになる。最後に「買い」の診断をしてみよう。
まず、オーディオ機能を含めた総合的なスペックを見ると、C404S DiVAはかなり魅力的な商品だ。特に、「シリコンオーディオプレーヤーが欲しい」と考えているユーザーにはおすすめだ。チェックイン/チェックアウトの手間はあるが、オリジナルCDを自分で持っているのであれば、くり返し録音すればいいわけだし、あまり気にすることもない。EZweb端末としての使い勝手も良く、データフォルダの容量がC401SAよりも大きいのはヘビーユーザーにもうれしい点だ。
しかし、最後にネックになるのは価格だ。先週の価格調査を見てもわかるように、C404S DiVAの実売価格は新規契約で4万円台半ば。短期間の機種変更であれば、6万円弱まで価格は上昇してしまう。最近の携帯電話としてはかなり高額であり、なかなか手を出しにくい感もある。ただ、パッケージに付属している64MBのMGメモリースティックが実売価格で1万9000円前後であることを考慮すると、実質的な価格は2万円ほど安いという計算も成り立つ。このあたりを損と見るか、得と見るかによって、最終的な判断をすべきだ。
とにかく端末としての存在感、イバリ度(笑)は、他のC40xシリーズを上回るものがあり、満足度もそれなりに高い。話題性を重視する人、MGメモリースティックスロットを備えたVAIOユーザー、シリコンオーディオに興味のある人で、ボーナスに余裕がある人なら、ぜひとも検討したい端末と言えるだろう。
■URL
・C404S DiVAニュースリリース(au)
http://www.kddi.com/release/ido/news/20000925_2.html
・C404S DiVA商品情報(au)
http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/c404/c404.html
・C404S DiVA商品情報(ソニー)
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/KEITAI/c404s/
(法林岳之)
2000/12/13 00:00
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