■ @mailからカラオケまで、幅広く遊べるケータイ
今年9月に開催された「CEATEC JAPAN 2000」で公開されて以来、発売が待たれていたauのC40xシリーズ。EZwebの弱点と言われたメールを大幅に強化し、コンテンツなども今回の発売に合わせ、内容を充実させてきた。発売直後にEZwebにトラブルが起きたため、レビューの掲載が遅れてしまったが、筆者が機種変更で入手した端末もようやく利用できる環境になったので、早速レビューをお送りしよう。
■期待されたサービスの思わぬ「つまづき」
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au『C401SA』。サイズ:49(W)×94(H)×24(D)mm、100g。シルバー(写真)、ピンクをラインアップ。 |
今年10月の合併と同時にインパクトのある広告などで話題のKDDI。11月に地域会社が合併した携帯電話サービスのau。昨年末のDDIを軸にした合併報道以来、いろいろと動きの激しかった同陣営だが、ようやくここに来て、トップを快走するNTTドコモを追撃する態勢が整ってきた。
新体制となったauが始める攻勢で、まず注目されるのがEZwebの改良だ。EZwebは世界標準規格であるWAP(Wireless Application Protocol)をベースにしたコンテンツとメールサービスを提供している。コンテンツについては旧DDI-セルラーが運営していた「EZweb」と旧IDOが運営していた「EZaccess」が統合され、コンテンツプロバイダも増えてきたため、内容も少しずつ充実してきている。しかし、メールについてはiモードやJ-スカイのように、直接、端末に届くスタイルではなく、着信が通知された後でサーバに参照するという利用スタイルだった。また、メール内に記述されたURLなどから他のコンテンツにジャンプできないなどの制約もあった。そこで、IMAP4と呼ばれる方式を採用した新しいメールサービス「@mail」を開始している。
今回紹介する三洋電機製端末「C401SA」は、その@mail対応第1弾の端末であり、端末の発売と同時にサービスも開始されている。また、EZwebではカラー液晶モデルへの切り替えもやや遅れた感があり、C30x世代まででは日立製「C309H」など、数台が発売されるに留まっていたが、現在発表されているC40xシリーズ端末はすべてカラー液晶を搭載しており、本格的にカラー液晶モデルのラインアップを充実させる構えだ。ちなみに、C401SAの他に、ソニー製端末「C404S」も発売されたが、これについては後日、改めてレビューする予定だ。
EZwebの弱点と言われたメール機能が改善され、カラー液晶も搭載されているため、対応端末第1弾のC401SAに対するユーザーの注目度は非常に高く、auショップなどでも多くの予約が入っていたそうだ。そして、11月24日から販売が開始されたが、27日早朝から@mailサービスの初期設定ができないというトラブルが発生し、ほぼ丸2日間もトラブルが継続してしまった。27日に機種変更を行なった筆者は、この影響をモロに受けてしまい、本来なら28日にお送りするはずだったレビューがこのような時期になってしまったわけだ。
評価を始める前に、余談をひとつ紹介しておこう。C40xシリーズは24日から店頭での販売が開始されたが、C309Hのときと同じように、26日までは新規契約のみを受け付け、機種変更のユーザーは27日からという販売体制が取られた。すべてのショップではないが、大半のショップがこれに近い対応を取っている。C309Hのときにも触れたことだが、auとその代理店はこうした姑息な販売方法をそろそろ改めるべきだ。新規契約は大事かもしれないが、機種変更を後回しにすることは既存のユーザー離れを招くだけでなく、auが望まない販売状況を生み出すことになり兼ねない。今回のEZwebのトラブルは言ってみれば、その天罰なのかもしれない(笑)。
■折りたたみ式ボディに大画面液晶を搭載
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折りたたみ式で最も人気の高いN502itと並べてみたが、C401SAの方がスリムな印象を受ける。 |
さて、前置きが長くなってしまったが、話をC401SA本体に移そう。いつものように、基本的なスペックについては、後日掲載予定の「ケータイ新製品SHOW CASE」やau及び三洋電機の製品情報のページを参照していただきたい。ここでは実機を試用した印象を中心に紹介しよう。
まず、ボディだが、auのEZweb対応のcdmaOne端末としては初めての折りたたみ式ボディを採用している。折りたたみ式ボディは各社から発売されているが、C401SAはNEC製N502itよりも少し丸みを帯びたスマートなデザインとなっている。アンテナ取り付け位置が蝶つがいの位置にあり、閉じた状態で待受状態や着信相手、メールの有無などが確認できる「お知らせディスプレイ」も備える。同様の小型ディスプレイは松下通信工業製のP209iSなどでも採用されているが、C401SAの表示は1行のみとなっている。バックライトは本体側面にあるボタンを操作することで点灯する。
液晶ディスプレイはフロントライトを採用した2インチのカラー液晶ディスプレイを採用する。液晶ディスプレイのサイズは実測値で30×40mmとなっており、au端末としては最大、国内で販売される全事業者の携帯電話の中でもN502it(31×41mm)に次いで2番目に大画面となっている。フロントライト式はバックライト式に比べ、ガラス面とディスプレイ面の間にライトを設置するための間隔が空くため、画面がやや奥にある印象だ。発色はやや薄いが、太陽光の下などの明るい場所でも[*]キーでライトを消せば、反射で十分な視認性を確保できる。ちなみに、C401SAではバッテリーの消耗を防ぐため、標準設定で本体を開いて約10秒でフロントライトが消え、画面表示がパーシャルモード(電波状態と動作状態をアイコンのみで表示するモード)に移行するようになっている。
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液晶ディスプレイはフロントライト式を採用。サイズも2インチと最大級。やや色味が薄く、暗めの印象だが、フロントライトをOFFにすれば、太陽光の下でもよく見える。
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フロントライト式はガラス面と液晶の間から照らす仕組み。少し横から見ると、フロントライトの存在がよくわかる。
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省電力のためのパーシャルモードではフロントライトが消え、画面表示もアイコンと文字のみになる。
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閉じた状態でも電波状態やメールの到着状況、着信の有無などが確認できる「おしらせディスプレイ」を装備。
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ボタン類は中央のカーソルキーを中心に、左右にEZweb関連キーを配置。カーソルキーの中央は[決定]などの操作に利用。カーソルキーとは別体式。
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ボタンデザインは中央にカーソルキー、液晶側に3つのフレキシブルキー、左にEZwebキー、右にメールキーをレイアウトしている。カーソルキーは4方向の操作と決定などの操作ができるが、ボタンそのものは別体式になっており、非常に操作がしやすい。NTTドコモのN209iとほぼ同じ構造、と言えばわかりやすいだろうか。本体左側面にはコンテンツ閲覧中などに、カーソルを上下動できるアップダウンキー、伝言メモ/録音/再生キー、イヤホンマイク端子を備えている。底面の外部接続端子は固定式のキャップが装着されている。
@mail対応端末第1弾となるC401SAだが、折りたたみ式としては後発であり、すでに発売されている他社製端末のいいところを上手に取り入れている。液晶ディスプレイの奥まった印象に戸惑う点を除けば、かなり完成度の高いデザインと言えるだろう。
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側面にアップダウンキー、伝言メモ/録音/再生キーを装備。
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■ キャラミーゴで遊ぼう
機能面はどうだろうか? 着信メロディは16和音に対応しており、EZget!でダウンロードしたメロディも最大20曲まで登録することができる。ただ、標準で搭載されているメロディはクラシックなどが中心で、やや目新しさに欠ける。
一方、画面回りではスクリーンセーバー、待受や発信時のアニメーションなどが用意されている。メールやコンテンツ閲覧画面などの表示は、全角で「6文字×8行」「7文字×8行」「10文字×10行」「12文字×12行」の4段階で切り替えることができ、画面の配色も「オーシャン」「ピーチ」「パステル」「パーペスト」の4種類から選ぶことができる。
エンターテインメント機能としては、従来の三洋電機製端末にも搭載されていた「カニカニキャッチ」「ダンシングボンバー」「占い(今日のお言葉)」などがあるが、最も面白いのは「キャラミーゴ」だろう。
キャラミーゴは端末内に用意されたキャラクターで遊ぶ機能で、発着信時や電源のON/OFF時などにキャラクターがいろいろと話しかけてくる。EZwebや電話を使う度に「ミーゴ」と呼ばれる通貨(ポイント)がたまり、その通貨に応じてキャラクターの生活用品を購入(ダウンロード)したり、壁紙などをダウンロードすることができる。
こうしたキャラクター機能としては、NTTドコモのF209iの「きゃらいふ」が記憶に新しいところだが、実は三洋電機は過去に旧セルラー向けデジタル携帯電話「D301SA」という機種で実現していたことがある。筆者はD301SAを試したことがあるが、さまざまなシーンで登場するキャラクター機能が妙に面白く、旧IDOエリアでも発売されないかと密かに期待していたほどだった。ただ、C401SAのキャラミーゴはD301SAのキャラクター機能に比べ、今ひとつ主張が少なく、遊ぶことができる内容もハッキリしない。今後はもう少し練ったキャラクター機能を期待したい。
■ EZweb@mailでメールは使いやすくなったか?
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カメラで撮影したデータは端末に搭載して見ることができる。PNG形式で保存されているため、PCではInternet Explorerなどで閲覧が可能。→サンプル(PNG形式)
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C401SAにはまだまだチェックしなければならない機能が多い。対応第1弾となった「@mail」もそのひとつだ。冒頭でも触れたように、@mailはiモードやJ-スカイなどと同じように、端末に直接メールが届くシステムとなっており、届いたメールの本文からインターネット上のページにジャンプできる「URL to」、電話が掛けられる「Phone to」、メールが出せる「Mail to」などをサポートし、画像やメロディの添付メールにも対応する。
従来のEZwebから新しいEZweb@mailに移行したことにより、端末を機種変更したユーザーは、メールアドレスも取得し直すことになる。ドメイン名も「△△△@ez△.ido.ne.jp」「△△△@△△.ezweb.ne.jp」となっていたものが「△△△@ezweb.ne.jp」に変更になる。@mail対応端末を購入したユーザーがEZwebにアクセスしようとすると、まずメールアドレスの登録から始めなければならない。登録したメールアドレスは変更できないので、慎重に選んだ方がいいだろう。メールアドレスの登録が済んでしまえば、あとは従来のEZwebと同じ感覚で使うことができる。
メールの使い勝手もよく、「URL to」や「Mail to」なども問題なく利用できた。ただ、メールボタンを押したときのメニューが文字だけというシンプルなもので、今ひとつさみしいと感じたのは筆者だけではないだろう。あまり派手にする必要はないが、頻繁に利用するメールメニューだからこそ、もう少し見栄えのするものにして欲しかった気がする。
[EZweb]キーを押したときに表示されるメニューには、「データフォルダ」という項目があり、EZwebからダウンロードしたデータ、Pashapaなどの外付けカメラで撮影した画像データ、メールに添付されてきたデータなどを蓄えておくことができる。C401SAのカタログによれば、データフォルダの容量が128KBとなっているのだが、どうもこれが少ないように感じられるのだ。たとえば、現在、筆者のC401SAには、広野氏がテストで送信してきた画像データ、EZget!でダウンロードした音声データ、Pashapaで撮影した画像データがそれぞれ1つずつあり、その他にEZget!からダウンロードした着信メロディが4曲登録されている。この状態で、データフォルダの残り容量は約半分の65KBとなっており、1曲あたり約50KBを消費するカラオケデータなどをダウンロードすると、もう残りはほとんどなくなってしまう。着信メロディはメロディデータとして登録してしまえば、消すことができるが、データフォルダの容量に若干、不安は残る。他の@mail対応端末のデータフォルダの容量は明らかにされていないが、データフォルダの容量は今後、EZweb対応端末を選ぶ上で重要なポイントと言えるかもしれない。ぜひ、auのカタログにはデータフォルダの容量を記載してもらいたい。
また、C401SAを利用している上で気になったのがメモリダイヤル回りの動作だ。メモリダイヤルで「電話帳検索」を選ぶと、登録されたメモリダイヤルがア行の先頭から表示され、最上段には「ア」「カ」「サ」「タ」「ナ」と各行を表す欄が表示される。この状態で、カーソルキーの右方向を押すと、ア行からカ行、サ行へとカーソルが移動し、それぞれの行に登録されたメモリダイヤルが先頭から表示される。ところが、この操作をするときの反応が非常に鈍く、連続して右方向を押すと、途中で引っかかるように動きながらカーソルが移動してしまう。「0」~「9」「#」の長押しでも各行を検索できるが、50音順で検索するユーザーにはかなりストレスのたまる動きで、ぜひとも早急な改善を望みたい。
■ @mailは便利だが、細かい点に不満が残る
@mail対応端末第1弾として登場したC401SA。一部では品薄が続いており、すぐに買えないショップも多いようだ。今回はいろいろとトラブルが起きた上、@mailや外付けカメラなどの新機能も搭載されたため、必ずしも十分な試用ができていないが、最後に「買い」の診断をしてみよう。
まず、@mail対応第1弾と考えれば、早い者勝ちとなる新しいメールアドレスを確保するためにも「買い」と言えるだろう。やや暗く薄い印象は残るが、大画面のカラー液晶ディスプレイも魅力的であり、ボディデザインもN502itなどよりスマートだ。スタイリッシュなケータイが欲しいユーザーにはおすすめできる。@mailの使い勝手もなかなか良好で、間もなくスタートする「au.NET」と組み合わせれば、本格的なモバイル環境も実現することができる。
ただ、端末そのものの機能を評価してみると、前述のメモリダイヤルの動作はどう考えても納得ができないものがある。自ら発信することが多いユーザーは、間違いなくストレスを感じるはずで、この点を重視するユーザーは正直に言って「待ち」としたい。すでに発表されている残り3台のC40xシリーズを見てからでも遅くはないはずだ。
また、カメラについてはあまり説明ができなかったが、C40xシリーズなどには小型カメラのPashapaが装着できる。撮影した画像は端末に一度、転送し、データフォルダに保存した上で活用することになる。ただ、転送に少し時間が掛かる上、カメラ機能の呼び出しにメニュー操作の手間が掛かるため、今ひとつ使いにくい感もあった。Pashapaは単独でも撮影ができるが、できることなら、端末に接続した状態ではワンタッチでカメラ機能が呼び出せ、直接データフォルダに保存できるような仕組みも用意して欲しかった。
C401SAは期待が大きかっただけに、やや辛口に評価してしまったが、端末としての素性は良い。細かい不満点を改良すれば、もっと評価できる端末に仕上がったのかもしれない。
■URL
・C401SAニュースリリース(au)
http://www.kddi.com/release/ido/news/20000925_2.html
・C401SA商品情報(au)
http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/c401/c401.html
(法林岳之)
2000/12/05 00:00
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