携帯電話番号ポータビリティ(MNP)制度導入を約2週間後に控えた10月12日、NTTドコモは今秋から来年に掛けて市場に投入するFOMA 903iシリーズを中心とした14機種を発表した。各シーズンへ向けた製品発表では先陣を切ることが多いドコモだが、今回は最後発の発表となり、機種数についても最多ということになった。詳細については、発表会のレポートを参照していただきたいが、ここでは発表会で試用した各端末の印象などをレポートしよう。
■ MNPへ向けて「攻めるドコモ」
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発表会では夏野氏が薄さ12mm以下という703iシリーズの1つを紹介
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いよいよ10月24日にスタートするMNP制度。今年はこのMNPをターゲットに各社が端末ラインアップやサービスを拡充してきたが、ドコモはMNP商戦の第1ラウンドとなる2006年秋冬商戦向けに、主力となるFOMA 903iシリーズと新サービスを当ててきた。発表された新端末は、主力モデルとなる903iシリーズが6機種、ワンセグ対応の903iTVシリーズが3機種、HSDPA対応の903iXシリーズ2機種、SIMPUREシリーズが2機種、法人向け無線LAN対応端末が1機種という構成で、合計14機種となる。機種数が多ければ良いというものでもないが、8月末に発表したauの12機種、9月28日に発表した旧ボーダフォン(現ソフトバンク)の13機種を超えるモデル数を揃えたことになる。
ただ、今回発表された端末の内、903iシリーズとSIMPUREシリーズ、法人向け無線LAN対応端末は10月下旬から年末に発売される予定だが、ワンセグ対応モデルとHSDPA対応モデルは年明け発売の予定となっている。そういう意味では、「2006年秋冬商戦向け」というより、「2006年秋冬及び2007年春商戦向けの一部」を発表したというニュアンスに近い。
プレゼンテーションの最後では、年明けに発表が予定されている703iシリーズの2機種も先行公開という形で明らかにされた。9月28日の旧ボーダフォンの発表で薄型ケータイが数多く発表されたことを意識してか、2機種とも約12mmの薄型モデルであることが強調された。機種名は明らかにされていないが、関係者からのコメントを聞く限り、パナソニック製(P703i?)とNEC製(N703i?)であると推測される。
また、今回の903iシリーズに対し、ドコモの夏野氏は「903iシリーズのカギは、『攻めるドコモ』です」と述べている。元々、MNPは最大シェアを持つドコモにとって厳しいため、auやソフトバンクが積極的に攻め、ドコモは守りの姿勢であるという分析が多い。これに対し、「今回の903iシリーズのスペックやサービスを見てもらえれば、ドコモが攻めの姿勢であることが理解してもらえるはず」と真っ向から否定し、ドコモがMNPに積極的に取り組んでいることをアピールしている。
■ 全方位で機能やサービスを強化
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ナップスターの「Napster to Go」に対応したモデルが5機種投入される
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では、具体的にどのような点を強化したのかというと、発表会のレポートを見てもわかるとおり、エンターテインメント、生活ツール、コミュニケーションを軸に、全般的な強化を図っている。
エンターテインメントは、10月3日からサービスが開始され、各方面で話題となっているナップスターの「Napster to Go」への対応した(5機種のみ)、iアプリの容量を1MB(プログラム領域)まで拡大し、3D描画性能なども向上させた「メガゲーム」、3機種のワンセグ対応端末、HSDPAを活かした大容量iモーション及びWindows Media Video対応などが挙げられる。いずれも基本的には既存のサービスを拡張したものだが、WMA対応のナップスターについては筆者の周囲でも「音楽の楽しみ方を根底から変えてしまうかもしれない」という評価もあり、今後の展開次第では大きく化ける可能性もありそうだ。
生活ツールはおなじみのおサイフケータイ、セキュリティ強化、GPS対応が挙げられる。おサイフケータイはFeliCaチップが大容量化した最新版に変更され、トルカの機能強化やiC通信など、決済以外の使い方が拡がりやすくなった印象だ。GPSは903iシリーズの6機種のみの対応に限られるが、主力モデルの標準機能になったことで、FOMAでもナビゲーションや位置情報サービスが充実してくることが期待される。ただ、auのEZナビウォークやEZ助手席ナビのように、キャリアが統一したサービスを提供するのではなく、各コンテンツプロバイダがGPS機能を利用したアプリやコンテンツを提供するという形を取っているため、機種によって、プリインストールされるナビゲーションアプリなどに違いがあり、それぞれに使い勝手も異なる。ドコモらしい手法だが、当初はユーザーもかなり戸惑いそうだ。
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デコメ絵文字
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コミュニケーションについては、デコメールの強化、大容量添付ファイルメール(メガメール)などが注目される。デコメールについては、auやソフトバンクも互換性のあるHTML形式のメールを送受信できるサービスを開始しており、今後、ケータイメールでの利用が増えることになりそうだ(とはいえ、主に使われるのはグリーティングメールなどの「ココ一番メール」向けだろうが……)。メガメールはカメラで撮影した画像やムービーのやり取りがしやすくなるが、実はメールにはオフィス文書やPDFファイルなども添付できるため、外出先でビジネス文書を受信するといった使い方をするビジネスユーザーにも喜ばれそうな機能だ。ちなみに、今回発表された903i/iTV/iXシリーズ11機種中、パナソニック製とソニー・エリクソン製を除く7機種がドキュメントビューアに対応している(PDF対応ビューアは全機種対応)。
このほかにも細かい機能やサービスがいろいろと拡充されているが、それらについては発表会のレポートを参照いただきたい。夏野氏は質疑応答の最後に「買って損をしないケータイはドコモ」と答えていたが、全体的にソツなく、スキのないようにまとめあげたという印象だ。
■ 903i/iTV/iXシリーズ全11機種が続々登場
端末についてだが、今回発表された全14機種の内、いわゆる903i世代のものは903i/iTV/iXの11機種となる。
まず、903iシリーズ全体(903i/iTV/iX)の共通仕様について見てみよう。ハードウェア的には大容量化したFeliCaチップ搭載、FOMAプラスエリア対応などが挙げられるが、その他にハードウェア的な共通仕様は事実上ない。GPS機能や1.7GHz帯対応も903iの6機種のみとなっている。逆に、902iSシリーズで共通仕様だったバイオ認証は、SO903iとSH903iTVが非対応のため、共通仕様ではなくなっている。
前述の部分と重複するが、サービスとしては「着うたフル」「メガアプリ」「iCお引っこしサービス」「iC通信」「電話帳お預かりサービス」「おまかせロック」「大容量添付ファイルメール(メガメール)」「デコメ絵文字」「着もじ」などが共通仕様となっている。
端末に搭載される機能としては、「ミュージックプレーヤー」が共通仕様ということになるが、フォーマットは端末ごとにバラバラなので、すでに音楽再生環境を持っていたり、ナップスターのように使いたいフォーマットが決まっているユーザーは、各端末の対応フォーマットをよく確認したうえで選ぶ必要がある。フルブラウザとドキュメントビューアもほとんどの機種に搭載されているが、ドキュメントビューアは前述の通り、11機種中7機種、フルブラウザも11機種中8機種という対応状況になっている。主力シリーズの903iシリーズでありながら、こうした比較的、重要度が高いと予想される機能の対応にバラツキがあるのは少し気になる点だ。ユーザーも端末を選ぶうえで注意が必要だろう。
さて、個々の端末についてだが、いつも通り、筆者が試用した印象をしよう。ただし、今回発表された端末の内、903iX/iTVシリーズの計5機種はモックアップのみの展示のため、実動端末の試用ではないことをお断りしておく。また、その他の機種についても開発中のものであることをご承知おきいただきたい。
●D903i
従来のD902iSなどと同じくスライド式ボディを採用したが、18.2mmという薄さにまとめている。FMトランスミッターを搭載しており、ミュージックプレーヤーとアプリのサウンドを出力できるため、ナップスターで取り込んだ音楽をカーオーディオや家庭用オーディオ機器で楽しんだり、ナビゲーションアプリの音声ガイドをクルマの中で聞くといった使い方もできる。使い勝手の面では端末を閉じた状態で呼び出せるスピードメニューが追加され、音声での機能呼び出しもできるが、カスタマイズができないのが残念な点だ。
●F903i
今回発表されたFOMA 903iシリーズの中で、従来モデルと比べ、もっとも形が大きく変化したモデルだ。液晶ディスプレイ部分が左右に90度、回転(スイング)する機構を採用している。スイング時に割り当てる機能については、待受時が15パターン、メール作成時は7パターンから選べるようにするなど、カスタマイズ性もよく考えられている。また、端末を閉じた状態で少しだけ液晶ディスプレイ部をスイングさせ、はみ出した部分で時刻や不在着信などを確認できる機能も搭載されている(説明員は「チョイ見せ」と呼んでいた)。本体にサブディスプレイがないための機能だが、面白い工夫と言えそうだ。
●N903i
FOMA初のVGA液晶を搭載したモデルだ。正確には480×690ドット表示が可能なため、「VGA+」と表現している。VGA+液晶はフルブラウザやナビゲーション、ドキュメントビューアなどでは効果を発揮するが、すべての表示がVGA+の解像度になるわけではなく、メール画面などはQVGA相当に間引いて表示している。これはVGA+で表示すると、操作レスポンスが低下することを考慮しての判断のようだ。また、意外に面白いのがICカード認証だ。これは新しいFeliCaチップのリーダーライター機能を利用したもので、N903iのICカードロックの解除を他のFeliCaカードで解除するというものだ。たとえば、胸や首から提げている社員証のFeliCaを利用するわけだ。使えるユーザーは限定されそうだが、なかなか賢い活用例と言えるだろう。
●P903i
Pシリーズではおなじみのワンプッシュオープン&カスタムジャケットを継承しながら、あんしんキーという新しい取り組みをした端末だ。あんしんキーはP903iのロック状態をコントロールするためのキーで、SPCと呼ばれる技術を利用した特定小電力無線通信によって、あんしんキーが端末から離れると自動的にロックすることができる。盗難や置き忘れをしたときでもICカード機能を使われたり、勝手に発信される心配がないというものだ。BluetoothはP902iSと同様で、従来の機器も利用することができる。音楽再生については最長70時間という長時間再生に対応する。カスタムジャケットはまた新しい形状となり、光による演出も増えているが、デザイン的なイメージはP901iSに近い。
●SH903i
2.8インチのワイドQVGA液晶を搭載した端末だが、デザイン的にはSH902iに近く、ボディも二軸回転式を採用している。特徴的なのは最大QVGAのH264/AVC形式に対応した動画環境で、再生と録画に対応している。このH.264/AVC形式対応も関係しているのだろうが、背景にビデオ画像(動画)を表示するメニュー画面を設定できるようにしている。出荷時には4パターンが用意されているが、その内のひとつは夜景の空撮のようなビデオが使われている。ビデオ画像対応のメニュー画面はメーカーサイトだけでなく、コンテンツプロバイダからも提供される見込みだ。また、今回発表された端末の中で、唯一、ナップスターが利用できるWMAとSD-Audioの両方の音楽再生環境に対応している。
●SO903i
SO902i及びSO902iWP+ではストレートデザインを採用していたSOシリーズだが、今回のSO903iでは折りたたみデザインを採用している。特徴的なのは折りたたんだ状態でもミュージックプレーヤーを操作できるようにしている点で、トップパネル側に1.5インチのサブディスプレイとイルミネーションミュージックキーを備える。液晶ディスプレイも通常デザインの端末としては最大の3インチワイドQVGA液晶を搭載する。また、国内のソニー・エリクソン製端末としては初めてメモリーカードスロットがメモリースティックPRO DuoとminiSDの両対応となっている。スロットそのものは1つだが、パソコン用カードリーダーの両対応スロットのように、どちらのカードも挿せるようにしている。メモリカードは最大4GBのメモリースティックPRO Duo、最大2GBのminiSDカードに対応しているが、本体の内蔵メモリも1GBとかなり大きい。特にネーミングを与えられたわけではないが、敢えてFOMA版「ウォークマンケータイ」と呼びたくなるほど、音楽関連機能が充実したモデルだ。
●F903iX HIGH-SPEED
F903iと同じく液晶ディスプレイのスイング機構を採用したHSDPA対応端末だ。HSDPA対応端末向け(要パケ・ホーダイ)に提供されているミュージックチャネルに加え、WMA対応ミュージックプレーヤーを搭載しているため、ナップスターでダウンロードしたデータも保存できる。FMトランスミッターも搭載されるため、両サービスでダウンロードした音楽データをカーオーディオや家庭用オーディオ機器で楽しむことが可能だ。スイング機構の呼び出し機能については、基本的にF903iに準拠する見込みだという。iモーションについては最大10MBまでの大容量に対応しており、コーデックもH.264に対応する。関係者からは「これだけの容量があれば、数十分のムービーが作れるので、ユーザー自身が制作したムービーが交換されるような動きが出てくると面白そうだ」というコメントも得られた。
●P903iX HIGH-SPEED
ワンプッシュオープン機構を採用したHSDPA対応端末だ。音楽再生については、ミュージックチャネルとSD-Audioに対応しているが、これに加え、Windows Media Video対応プレーヤーとフルブラウザを搭載しているのが特徴だ。WMV対応プレーヤーはインターネット上で配信されているWMV形式のコンテンツを再生できるため、たとえば、仕様的には筆者が出演しているimpressTVの番組なども再生できる可能性があるという。ただ、WMVプレーヤーはフルブラウザ経由での利用になるため、現在の料金体系ではパケ・ホーダイの対象にならない。そのため、本当に「ケータイならオレに聞け!」を見てしまうと、1番組あたり数十MBのデータを転送することになり、数万円のパケット通信料が請求されてしまう。説明員は明言を避けたが、おそらく発売される頃にはフルブラウザを利用した場合の新しい定額制料金プランなどが提供されるのではないかと推測される。デザイン的には大人しい端末だが、WMV対応プレーヤーの活用範囲次第ではかなり面白い展開が期待できそうだ。
●D903iTV
Dシリーズ初のワンセグ搭載端末。外見を見てもわかるとおり、D903iをベースにしているが、ワンセグを搭載しながら、わずか1.6mmしか厚くなっていない。ユニークなのはイヤホンマイクを利用した外部アンテナに加え、卓上ホルダに設置したときなどのために、固定式の外部アンテナをイヤホンマイク端子に接続できるようにしている。中央のスピードセレクターを回転させることで、チャンネルを選ぶ(回す)ことが可能。録画は本体メモリのみに可能だが、専用領域として512MBが割り当てられている。
●P903iTV
P901iTVに続く、Pシリーズのワンセグ対応端末第2弾。高画質なワンセグ再生のために、デジタルノイズリダクションや色補正などの機能を持つモバイルPEAKSプロセッサーを搭載する。特徴的なのは内蔵アンテナとホイップ式アンテナを利用した合成ダイバーシティを搭載している点だろう。自動車用などではポピュラーな手法だが、これをケータイのワンセグに応用することで、業界トップクラスの受信感度を実現しているという。液晶ディプレイも2.8インチのワイドQVGAと大きく、ワンセグを見ながら、メールを作成することも可能。microSDカードに録画することも可能で、パソコンへの取り込みや保存、再生が可能としていることから、先般、CEATEC JAPAN 2006で公開された「SD-MobileImpact(仮称)」がバンドルされるようだ。また、Bluetoothにも対応しているため、ワンセグの音声をワイヤレスで楽しむことも可能だ。2機種目のワンセグ端末ということもあり、機能的にはかなり充実したモデルと言えそうだ。
●SH903iTV
液晶ディスプレイが回転するサイクロイド機構を採用したAQUOSケータイだ。メカニズム的にはソフトバンク(旧ボーダフォン)の905SHと同じだが、液晶ディスプレイがワンセグ端末最大の3.0インチのワイドQVGAを採用し、AQUOSで培った高画質技術を活かしたSV(Super Vivid)エンジンを搭載するなど、ハードウェアや機能面は一段と進んでいるようだ。ワンセグ視聴中のメール返信や電話帳参照などの機能も搭載されている。FMトランスミッターも搭載されており、ワンセグの音声を他の機器で再生することも可能だ。方向キーがディスク状で、一見、回転しそうなイメージだが、あくまでもデザイン的なもので、通常の方向キーと同じ構造となっている。ワンセグの代名詞的な存在になった「AQUOSケータイ」がNTTドコモのプラットフォームでも楽しめるのは、ユーザーとしてもかなり楽しみと言えそうだ。
●SIMPURE L1
SIMPUREシリーズで日本市場にデビューしたLG電子製端末の第2弾モデルだ。従来のL600iとは大きくデザインが変わり、かなり洗練されたイメージに仕上がっている。ボディもスリムで、ボタン類も押しやすい。L600iは国際ローミング端末の普及機としても人気を集めたが、今回のSIMPURE L1も3G/GSM方式による国際ローミングに対応する。国際ダイヤル時の国番号付加など、国際ローミング時の使い勝手も改善されている。液晶ディスプレイがQVGAではないのが残念だが、国際ローミングも含め、シンプルに使いたいユーザー向けの端末と言えそうだ。
●SIMPURE N1
88gというFOMA最軽量を実現したNEC製端末だ。従来のSIMPURE N(N600i)は国際ローミング対応だったが、今回のSIMPURE N1は方針を変更し、国際ローミングに対応していない。その代わりというわけでもないが、ムーバからの乗り換えも意識し、基本機能に絞ったシンプルメニューを用意するなど、シンプルで使いやすさを重視した構成となっている。ただ、メール周りの機能はN902iSなどにも搭載されたMogic Engineやおまかせデコメールを搭載するなど、かなり充実している。コミュニケーション重視のエントリー層向け端末に仕上げたという印象だ。
●N902iL
法人向けに提供される無線LAN対応端末で、N900iLの後継モデルに位置付けられる。無線LAN部分は802.11b/gに対応し、セキュリティはWEP/WPA2に対応する。N902iSのおまかせロックや顔認証などの機能も取り込まれており、電話帳お預かりサービスにも対応する。ハーフミラーのトップパネルにサブディスプレイが浮き上がるように表示される部分は、N903iとほぼ同じイメージだ。FeliCaを搭載し、おサイフケータイにも対応しているが、電子マネーなどの決済などの利用よりも社員証などへの応用を意識しての搭載のようだ。ブラウザについてもコンパクトHTMLブラウザとフルブラウザを切り替えて利用できるようにするなど、強化されている。最近はNTT東日本・NTT西日本のひかり電話などで、無線LAN対応子機が登場しており、N902iLなども利用できると面白そうなのだが、ドコモでは法人向けにソリューションで販売するため、当面は個人向けに販売する予定はないそうだ。
■ 「攻めるドコモ」の姿勢をユーザーに伝えられるか?
冒頭でも触れたとおり、ドコモの夏野氏は今回の903iシリーズを「攻めるドコモ」を表わすものと位置付けている。ここまで解説してきた内容を見てもわかるように、端末もサービスもかなり充実しており、「攻めるドコモ」がうかがえる内容だったというのが正直な感想だ。特に、端末については来年発売のモデルをモックアップのみで展示するという荒業をくり出したものの、それらの端末もきちんとコンセプトや仕様が固まっており、登場を期待させるレベルに仕上げられていた。MNPを控え、各社の競争が少しずつ激しくなりつつあるが、今回の発表は最大シェアを持つドコモらしく、きっちりと材料を揃えてきたという印象だ。
ただ、本文中でも触れたように、今回は(今回も)機種によって、少しずつサポートする機能やサービスが異なる部分がある。夏野氏は「買って損のないドコモ」と評していたが、ユーザーが機種ごとの細かい違いをきちんと把握せずに買ってしまい、「損をした」と感じてしまう可能性もある。そういう意味では販売の現場で、こうした機種ごとの違いをきちんと伝えることも重要なポイントになってくるのではないだろうか。
また、我々ユーザーも目先のデザインやボディカラーばかりに目を奪われることなく、自分が欲しい機能と各製品の内容をきちんと把握し、しっかりとした目で選ぶことが重要だ。もちろん、実機が発売されれば、本誌の新製品SHOW CASEやレビューなどでも順次、取り上げられる予定なので、ぜひ、それらもじっくりと参照して、自分に合ったケータイを選んでいただきたい。
■ URL
ニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/20061012.html
■ 関連記事
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(法林岳之)
2006/10/13 20:16
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