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J-スカイボタンで操作性を追求した「J-PE03」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


ステーション対応端末第3弾

 10月1日からエリア情報サービス「ステーション」を開始したJ-フォン。その対応端末として、すでに「J-K03」などが販売されているが、パイオニア製「J-PE03」の販売も開始された。パイオニア製携帯電話と言えば、全面液晶ディスプレイを採用した「液晶ケータイ」でおなじみだが、今回は標準的なストレートタイプを採用している。実機をテストすることができたので、試用レポートをお送りしよう。


液晶ケータイから大幅なモデルチェンジ

 J-フォン『J-PE03』。サイズ:45(W)×130(H)×19(D)mm、82g。ソリッドシルバー(写真)のみ。
 パイオニアと言えば、高品質なAV機器、カーナビゲーションシステム、DVD-ROMドライブをはじめとする光ディスク装置などでおなじみのメーカーだ。このコラムでも以前、同社のカーナビ「カロッツェリア」を紹介したことがある。しかし、携帯電話の市場においてもなかなかエポックメイクな製品を投入してきたことで知られる。

 その代表格と言えるのが全面液晶ディスプレイを採用した「液晶ケータイ」だ。液晶ケータイは当時のデジタルホン及びデジタルツーカーグループ(現在のJ-フォン)、IDO(現在のau)などに端末を供給され、J-フォン向けに提供されていたモデルはメールサービスのスカイウォーカーを有効に活用できる端末として注目を集めた。つい最近まで販売されていた「J-PE02」ではパソコンとのリンクソフトを提供することにより、液晶に表示される画面をカスタマイズするなどの個性も発揮していた。全面液晶による視認性の良さや、ペンを利用したPDA的な使い勝手は好評だったが、ボディ形状がやや大きくなることと、液晶ディスプレイのタッチボタンで操作するため、素早い操作がしにくいという印象もあった。

 今回発売された「J-PE03」は、全面液晶ディスプレイをやめ、標準的なカラー液晶ディスプレイを採用している。パイオニア製端末の個性が失われてしまったのは残念だが、現在の携帯電話のトレンドを考えれば、今回の選択は賢明なのかもしれない。


J-スカイボタンで簡単操作

 ボタン類はシンプルで押しやすい構造。中央にある青いボタンが「J-スカイボタン」。
 J-PE03の基本的なスペックについては、すでに掲載されている「ケータイ新製品SHOW CASE」やJ-フォンとパイオニアの製品情報のページを参照していただくとして、ここでは実機を試用した印象を中心に紹介しよう。

 まず、液晶ディスプレイだが、140×120ドット/256色表示が可能なカラー液晶ディスプレイを採用している。表示エリアは実測値で35×29mmとなっており、国内で販売されている携帯電話としては、「J-K03」やauの「C309H」などと同クラスの大画面となっている。色味としてはやや薄めの印象が残るものの、概ね良好な視認性を確保している。ちなみに、テキストの文字については、最大で全角100文字の表示が可能だが、メール作成画面などではステータス領域などがあるため、実際には全角7×5行の表示となる。


 J-スカイボタンを押すと表示されるJ-スカイサービスへのメニュー。
 ボディは液晶ディスプレイが標準的なものになったため、薄くコンパクトなものになっている。ただ、液晶ディスプレイが大画面であることもあり、全体的に平べったい印象だ。ボディカラーもシルバーを基調としたもので、非常に無難なイメージだ。

 ボタン類は本体中央にJ-PE03のセールスポイントのひとつである「J-スカイボタン」が装備されている。J-スカイボタンはJ-フォンが提供している「メール」「ウェブ」「スカイメロディ」「ステーション」などにアクセスしやすくしたもので、垂直方向に押すと、それぞれのメニューが瞬時に呼び出せるようになっている。垂直に押さない状態からでは、上下の操作でクイックダイヤルやリダイヤルなどを呼び出すことが可能だ。こうした方向キーは、各社が最も工夫を凝らしている機構のひとつだが、J-PE03はNTTドコモのP502iをはじめとするPanasonic製端末のスティックタイプの操作性に近い。垂直方向が正しく押せないことがあるのは各社ともあまり変わりないのだが、J-PE03は操作感が軽快であることも影響しているように感じられる。


 「機能ヒストリー」には過去に利用した機能の履歴が見られ、くり返し利用できる。
 また、J-スカイボタンのスティックは、メニューや電話帳の一覧画面などの上下動操作にも利用するのが、これが非常に軽快だ。パイオニア製端末では従来のJ-PE02でも「ジェットスクロール」という機能を搭載していたが、今回のJ-PE03にも受け継がれている。特に、電話帳で発信先を検索するときなどには有効だろう。

 着信メロディは16和音対応で、自作メロディも最大5和音で作成できるのだが、意外に面白いのが着信音を5種類まで登録できる機能だ。登録した着信音が着信の度に切り替わるというもので、着信メロディをたくさん登録している人や「いつも同じ着信音じゃ楽しくない」という人にオススメだ。ちなみに、J-PE03は着信音や操作音のためのスピーカーを背面に備えているが、最近の他の端末に比べると、比較的音がいいという印象が得られた。オーディオ機器メーカーの面目躍如といったところだろうか。


 ステーションで配信される情報。有料コンテンツになると、もっと面白い情報が得られる?
 このほかにも数多くの機能が搭載されているが、個人的に便利だと感じたのが「機能ヒストリー」だ。これはJ-PE03で変更した機能設定の履歴を過去8件まで表示できる機能で、[F]キーを2回続けて押すことで表示できる。

 J-フォンが10月からサービスを開始したステーションについては、今回試用したJ-PE03で有料コンテンツが見られない契約だったため、詳しく試すことができなかったが、なかなか期待できそうな印象が得られた。ステーションはセル単位で情報を配信するサービスで、最も短い間隔では6時間単位で情報が更新される。たとえば、新宿や渋谷といった街単位での情報配信が受けられ、デパートのバーゲン情報やスーパーのお買得品、イベントの案内など、地域に密着したサービスに成長する可能性を秘めている。ステーションについては、いずれ有料コンテンツが見られる端末を入手したときに改めてレポートしたい。


超個性派からスタンダードモデルへ

 ステーションで得られる位置情報。位置情報の履歴も5カ所まで記録される。怪しい行動をする人は要注意!?
 さて、いつものように「買い」の診断をしてみよう。まず、これからJ-フォン端末を購入する上で、最も注目すべきはステーション対応端末であるかどうかという点だ。言うまでもなく、J-PE03はステーション対応であり、新着情報をスクリーンセーバーに表示させるなど、ステーションのサービスを活かすための機能も搭載されている。他のステーション対応J-フォン端末と比べてみてもスペック的に見劣りするところもなく、素直なユーザーインターフェイスも及第点レベルと言えるだろう。これらの点を考慮すれば、J-PE03がステーション対応端末として「買い」の候補のひとつに挙げられることは間違いない。

 ただ、液晶ケータイでおなじみだった過去のパイオニア端末に比べ、J-PE03には今ひとつインパクトがない。とっても個性的だった人がファッションや髪型をガラリと変えて、とっても普通の人になってしまったような印象だ。こうした「普通さ」をどう受け取るのかが最終的な「買い」の判断のポイントと言えそうだ。筆者としては、もっと他社の端末にはないパイオニアらしい個性を発揮して欲しかったのだが……。


■URL
・J-PE03ニュースリリース(J-フォン東日本)
http://www.j-phone-east.com/company/n/000823_b.htm
・J-PE03商品情報(J-フォン)
http://www.j-phone-east.com/p_and_s/products/be/htmllib/index.htm?d=Pioneer&f=J-PE03
・J-PE03商品情報(パイオニア)
http://www.pioneer.co.jp/comm/j-pe03/



(法林岳之)
2000/10/17 00:00

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