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しゃべって遊べるメール端末「CHASPY」
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■ 音声読み上げ機能搭載メール端末
次々とメール端末のラインアップを充実させるNTTドコモから音声読み上げ機能を搭載したメール端末「CHASPY(キャスピー)」が発売された。従来のメール端末は主にメールをはじめとするインターネット回りの機能を強化してきたが、今回の製品はそれらの製品と違った切り口を持つものだ。早速、製品を入手することができたので、試用レポートをお送りしよう。
■ カメラの次は音声?
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NTTドコモ『キャスピー』。サイズ:156(W)×78(D)×18(H)mm、約186g。オープン価格。
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「メール端末」というと、携帯電話などに接続してメールができるだけの簡単な端末と考えられがちだが、10円メールによるインターネットメールとの相互接続に始まり、各プロバイダのインターネットメールへの対応、パケット通信のサポート、Webブラウザの搭載、カメラを利用した画像メールなど、次々と新しい機能が搭載され、ラインアップも着実に充実してきている。
今回発表された「キャスピー」は、これまた今までのメール端末と違い、メールを音声で読み上げるという新しい切り口で企画されている。通常、モバイル環境で利用するメールは、受信したメールを画面で読まなければならないが、必ずしも受信したメールをすべて読むわけではなく、実はオフィスや自宅に戻って、改めて読み直すというケースも多いはずだ。
しかし、キャスピーでメールを受信しておけば、音声読み上げ機能によってメールを声で聞くことができるため、通勤や通学などの移動中などの短い時間でもイヤホン端子を通じて、メールの内容を音声で確認することが可能だ。ホームページの内容を事前に取り込んでおき、その内容をメールと同じように、音声で読み上げたり、スケジュール内容も同様に読み上げたり、アラームで知らせるといった機能もサポートされている。つまり、音声読み上げ機能を使うことにより、携帯電話が使えない(使いにくい)シーンでも活用できるようにしたわけだ。
NTTドコモの「キャメッセプチ」や「キャメッセボード」、auの「フォトパレット」、DDIポケット向けの「POCKET・E」など、昨年来、メール端末にはカメラ付きのものが増えてきたが、キャスピーで実現された「音声」という切り口は新しいトレンドを生み出すことができるだろうか。
■ ビジネスマンにも持ちやすいデザイン
まず、ボディデザインなどから見てみよう。キャスピーは既存のメール端末同様、コンパクトで持ち運びやすいボディを採用しており、ボディカラーはシルバーとブルーを組み合わせたものを採用している。おそらくビジネスマンがスーツの内ポケットなどに入れておいても違和感のないデザインだ。携帯電話との接続ケーブルは底面に内蔵されているが、従来製品よりも上手に取り回されているため、接続ケーブルの格納スペースがボディサイズに与える影響は少ない。
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ボディカラーはシルバーとブルーを組み合わせたデザイン。シンプルながらも良質な印象のデザイン。
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底面には携帯電話との接続ケーブルが格納される。グルッと回るように取り回されている。
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キーボードは標準的なQWERTY配列を採用し、キートップは楕円形のゴム製のものを採用している。形状としては、「ポケットボードプラス」やJ-フォンのメール端末「Sky e pad」などに似ている。キーボード左側には音声読み上げ機能を操作するためのボタンとスピーカーを備えており、本体を閉じた状態でも早送りや巻き戻しといった操作が可能だ。スーツの内ポケットなどに入れたときの誤動作を防ぐためのロックボタンも備える。ちなみに、イヤホンマイクの端子は背面側にある。
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キーボードは標準的なQWERTY配列を採用。キートップはゴム製。省略されたキーは少なく、[後退]キーなどもパソコンに近い配列だ。
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側面にロックスイッチを装備。イヤホン端子は背面側に備える。
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受信メールの画面。この状態でキーボード左の[再生・停止]ボタンを押すと、読み上げを開始する。
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液晶ディスプレイは320×120ドット表示が可能なモノクロ液晶を採用しており、画面には全角26文字×8行(12ドット文字表示時)の文字が表示可能だ。フォントは製造元であるシャープのLCフォントを採用している。バックライトはないが、音声読み上げという機能を考えれば、さほど重要ではない。データ通信機能は、PDCデジタル携帯電話の回線交換9.6kbps、208/209iシリーズ及び30xシリーズで採用されているDoPaを利用した9.6/28.8kbpsパケット通信に対応する。
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メインのメニュー画面にはキャラクターが表示される。OFFに設定することも可能。
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メールについては、NTTドコモが運営する「mopera POPメール」、ドリームネットのパケット通信向けプラン「DreaMail-ぱけっと(通称:どりぱ)」、そして一般のインターネットメールにも対応する。これらのうち、mopera POPメールの設定をするためにクイックスタートメニュー、どりぱへのオンラインサインアップは、本体にメニューが用意されている。
その他の機能としては、テキストWebブラウザ、アラームに対応したスケジュール、メールに添付できる音楽データの編集機能、パケット通信の概算料金が確認できる積算データ機能などを備えている。
■ 声のメールは面白いかも!?
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「宇宙人」の声の要素の構成。これらを変更することにより、オリジナルの声を作り出すことができる。
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さて、キャスピーのセールスポイントである音声関係の機能はどうだろうか。まず、キャスピーでは受信したメールの内容を読み上げることができるのだが、読み上げる声のキャラクターデータとして「女の人の声」「すもうとりの声」「男の人の声」「宇宙人」「ロボットの声」「男の子の声」「おばあさんの声」の7種類を標準で用意している。これらのキャラクターデータは、性別、声の大きさ、話す速度、声の高さ、抑揚、声の太さ、声の素などから構成されており、これらを何段階かで変化させることによって、さまざまなキャラクターの声を作り出している。もちろん、これらを組み合わせ、オリジナルの声のキャラクターを作り出すことも可能だ。
また、こうした声のデータは、メールそのものに設定内容を付加することが可能だ。たとえば、女のコが友だちにメールをするとき、彼氏のしゃべった言葉の部分だけを男性の声に変更するといった使い方もできる。途中で効果音や音楽なども鳴らすことができるため、かなりにぎやかなメールのやり取りも可能だ。
ちなみに、声のキャラクターの設定については、HTMLなどにもよく似たタグ形式になっているため、仕様がわかっていれば、パソコン側から声のメールを送ることもできる。また、NTTドコモではPC上で動作する専用メールソフトの配布も検討しているそうだ。
キャスピーで実際に受信したメールをイヤホンで聞いた印象だが、メールの読み上げに関しては、最初の段階で妙な気恥ずかしさが感じられるものの、慣れてしまえば、気にならない。もっともイヤホンで聞いている限り、自分しか聞こえないわけだから、別に気恥ずかしく思うことはないのだが……。慣れないうちはキャラクターの声の調子などに思わずニヤっとしてしまうこともあり、満員電車の中で使うときはちょっと気を引き締めて聞く必要があるかも……。
また、単語のイントネーションについても単語登録で修正することができるため、使い込めば使い込むほど、聞きやすくなってきそうだ。ただ、それはそれで手間の掛かる作業なので、根気よく使える人のための機能という見方もできる。
■ 声のメールを活かした仕掛けが欲しい
音声という新しい切り口を搭載したキャスピー。今回は紹介しきれないが、なかなか細かいところまで作り込まれたメール端末であり、今後のメール端末の新しいトレンドを生み出す可能性も十分に感じられた。NTTドコモが謳っているわけではないが、目の不自由な方々の利用を考慮した製品への発展も考えられそうだ。
ただ、キャスピーで採用された音声読み上げという機能を活かすためには、もうひとつ考えて欲しいことがある。それは「声のメールを活かす仕掛け」だ。たとえば、声のメールを利用したメールマガジン、ニュース配信サービスなどはどうだろうか。毎朝、一定の時間に携帯電話から発信して、メールをダウンロードしておき、通勤時間中に最新のニュースを聞くといった使い方もできそうだ。常に、同じ声では飽きてしまうので、ラジオなどと同じように、ニュースごとに読み上げるキャラクターを変えるなども工夫も考えられる。もしかすると、工夫次第では新しいメディアに発展する可能性もありそうだ。声のキャラクターのカスタマイズについては、あまり積極的にチャレンジしなかったが、メール内でのキャラクターの切替を組み合わせれば、ちょっとした「メールドラマ」なども制作できるかもしれない。
「メールを音声で読み上げる」??。一見、単純そうに見える機能だが、実はいろいろなアレンジが考えられ、将来的な発展性も高そうというのがキャスピーを触った素直な感想だ。「既存のメール端末は普通すぎて……」と敬遠していたユーザーもちょっと試しに遊んでみる価値はあるだろう。
(法林岳之)
2000/10/11 00:00
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