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ソニーCLIEに見る「PDA」の難しさ
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。(impress TV)も配信中。


相次いだPDAの新製品だが……

 今年はカラー液晶搭載の携帯電話が数多く発売され、人気を集めているが、その一方でPDAにも注目が集まっている。なかでも9月9日に発売されたソニーのCLIEは、非常に期待度の高かった製品だ。すでに、広野氏が連載でレビューを掲載しているが、CLIEを見ながらPDAについて考えてみよう。


PDAは何をするためのもの?

 今さら説明するまでもないが、PDAは「Personal Digital Assistants」の略。少し柔らかく表現すれば、システム手帳の電子版といったところだろうか。PDAにはアドレス帳やスケジュール、メモなどを記録しておき、外出時に携帯して、いつでも好きなときに情報を取り出せることをメリットとしている。もちろん、電子化されたデータは検索性などにも優れているため、ミーティングの予定や連絡先などを瞬時に呼び出すことができる。こうしたPDAとしての基本的な機能に加え、最近では携帯電話やPHSを利用した通信機能、デジタルカメラやレコーダーなどの機能も加わり、将来的には携帯電話との融合する可能性も出てきている。

 国内でのPDAと言えば、古くはシャープの電子手帳などが一時代を築いたが、現在はこの流れを受け継ぐシャープのザウルスシリーズ、CLIEにも採用されたPalm OSを搭載した各社の製品(以下、Palm OS系PDA)、先週紹介したハンドヘルドPCにも採用されているWindows CE搭載製品などがしのぎを削っている。また、その一方で、携帯電話も高機能化が進んでおり、簡単なスケジュールくらいなら管理できるものも増えており、携帯電話やPHSと組み合わせるメール端末にも高機能な製品が登場してきている。

 こうしたPDAの市場において、ここ数年の流れを見てみると、2つのトレンドがあることに気づく。ひとつはPC本体との連携、もうひとつは携帯電話やPHSなどを利用した通信機能だ。

 まず、PCとの連携についてだが、Palm OS系PDAの元祖でもあるPilot 1000/5000シリーズから実現していた機能だ。ボタンひとつでPC上で入力したデータとシンクロができるのは非常に使いやすく、世界中でPalm OS系PDAが支持された要因のひとつであると言われている。同様の機能はWindows CEを搭載したハンドヘルドPC、Palm-size PC、ポケットPCなどでも実現されており、国産のザウルスシリーズもPCとの連携機能を重視し始めている。

 一方、通信機能についてはどうだろうか。現在のPDAにとって、通信は欠かせない機能のひとつであり、携帯電話をはじめとする屋外での通信環境が整ったところではぜひとも押さえておきたい機能だ。PDAの通信機能にいち早く取り組み、環境を整えてきたのは、やはりザウルスシリーズだろう。パソコン通信が流行り始めた頃にモデムを内蔵し、現在ではケーブル1本で各社の携帯電話やPHSと接続することができる環境と整えている。インターネット接続についても必要最小限の情報を入力するだけで設定できるインターネット接続アシスタントを標準で搭載しており、初心者でも簡単にセットアップできるようにしている。Windows CEを搭載したマシンも拡張スロットにPCMCIA Type IIやCFカードスロットを装備することにより、市販のデータ通信カードやデータ通信カード一体型PHSなどを接続できるようにしている。先週紹介したシグマリオンのように、ケーブルで携帯電話やPHSと接続できる製品も多い。


 これらに対し、通信機能が常に貧弱だったのがPalm OS系PDAだ。PDA本体に装着できるモデムや携帯電話/PHSアダプタなどがサードパーティから販売されていたが、ブラウザやメーラーなどはすべてPCからインストールしなければならず、初心者にはかなり敷居の高い環境となっていた。赤外線通信ポートによる通信環境も利用できたが、携帯電話の選択肢がほとんどなく、一般にはほとんど受け入れられていなかった。しかし、今回発売されたCLIEは、標準で携帯電話/PHSアダプタを添付し、インターネット接続関連のアプリケーションソフトも標準で提供するなど、初心者でも使いやすい環境を作り出そうとしていた。筆者自身も「これなら、誰にでも勧められそうだ」と考えていた……。


CLIEには裏切られた

ソニー CLIE。予約が殺到したように、魅力的な製品であることは確か。だが、視認性が悪いのはユーザーの多くが指摘するところだ
 ところが、こうしたCLIEに対する期待は、見事に裏切られることになってしまった。ちなみに、筆者は広野氏同様、Sony Styleで先行予約をして、念のため、家電量販店でも予約をしていた。この2つの予約にはそれぞれの理由があるので、後述しよう。

 まず、CLIE本体についてだが、これはもう各所で語られているように、とにかく液晶ディスプレイの視認性の悪さに尽きる。筆者は手元に届いたCLIEの電源を入れたとき、「あれ? なんか妙に暗いなぁ」と思い、電源ボタンを長押しして、バックライトを点灯させてみた。しかし、明るさ(いや、これは暗さだな)はほとんど変わらない。バックライトがついているかどうかを判別できない程度の明るさでしかないのだ。仲間内に聞いてみたところ、やはり同じような暗さであることがわかり、とりあえず初期不良でないことは理解できた。蛍光灯の下での視認性が悪いのかと考えたが、他の場所でもやはり視認性は悪く、コントラストも変更したが、相変わらず見にくい。ただですら大きくない画面で、これ以上使い続けると、本当に目が悪くなってしまうので、使い続けることを諦めてしまった。

 液晶ディスプレイの暗さについては、先週の広野氏のコラムでも厳しく書いていたが、筆者の回りやインターネット上の掲示板では「ゲームボーイカラーやザウルスのMI-C1の方が見やすい」(両製品とも反射型カラー液晶を採用)、「暗すぎて、色がわからない」、「はめ込み合成でもあのカタログの写真はちょっと……」など、かなり手厳しい意見が多い。ちなみに、筆者の知人で、あまりの暗さに使い続けるのを諦め、先行予約分で届いてから数日で売却してしまった人もいる。

 また、これも広野氏が指摘していたことだが、今回の先行予約の手際の悪さには、閉口してしまった。まず、先行予約が開始された当日、アクセスが集中したためか、サーバの処理が重く、まったく画面が進まない状況になってしまった。しかたなく、何度かリロードをくり返しながら、ようやく最後の画面までたどり着いたのだが、数時間後、筆者には受付番号の異なる注文確認メールがなぜか2通も届いてしまった。つまり、リロードしたおかげで、2回も注文したことになったわけだ。しかも複数注文したことをキャンセルするためのメニューもなければ、問い合わせのメールアドレスも記載されていないという始末。結局、SonyStyleに直接、電話をしなければならなかったが、これでは何のためのオンライン先行予約なのか……。


 確かに、オンラインショッピングなどで、送信ボタンを複数回押してしまい、複数の注文がされてしまうというケースは耳にするが、ソニーともあろう大会社の直販サイトがやるようなことだろうか。これはソニーに限った話ではないが、どうもPCメーカーの直販サイトはかなり出来が悪い。ハッキリ言って、家電量販店やパソコンショップのオンラインショッピングサイトの方が数倍まともだろう。

 ところで、インターネットで先行予約をしながら、筆者はなぜ家電量販店でも予約をしたのかについて説明しておこう。これもSonyStyleのサイトのシステムに問題があるのだが、発売日当日に配送できるか否かをチェックするメニューが用意されていなかったからだ。筆者は携帯電話やPHSなどと同じように、発売日に確実に入手して、できるだけ早くレポートを掲載したいと考えていた。しかし、SonyStyleからは発売日の数日前まで、配送日に関する連絡がなく、念のため、家電量販店での予約をしたというわけだ。

 話がかなり横道に逸れてしまったが、PDAや携帯電話の液晶ディスプレイはバッテリー駆動時間との兼ね合いもあり、各社ともかなり工夫を凝らしてきている。たとえば、ザウルスの反射型カラー液晶などもそのひとつだが、CLIEは半透過型カラー液晶で新機軸を打ち出そうとした。しかし、PDAは室内から屋外まで、さまざまなシーンで利用することになる。PDAとしての正しい方向を考えれば、どんなシーンでもある程度、バランス良く、見やすい画面を作り出すことが大切だ。しかし、CLIEはそれができていない。ディスプレイは人間とデジタル機器が直接関わるインターフェイスであり、本来なら、もっと気を配るべきだったのではないだろうか。


決定打となるPDAを求めて

DDIポケットの『H" LINK』を搭載したFMV-BIBLO LOOX S。『H" LINK』搭載PDAの登場を期待したい
 さて、CLIEに対する不満はこれくらいにして(笑)、最後にこれからのPDAについて、少し触れておこう。

 まず、これからのPDAにおいて、ひとつハッキリした方向性が見えているのがコンテンツビジネスだ。すでにシャープがザウルスシリーズ向けにSharp Space Townを展開し、熱心に取り組んでいるが、それぞれのPDAに最適化したコンテンツを用意し、そこでビジネスを展開しようというわけだ。ソニーもCLIEで同様のことを展開しようとしている。まだまだ発展途上の感は強いが、これからのPDAには欠かせない機能のひとつとなるだろう。

 また、筆者が非常に注目しているのが富士通から発表された「FMV-BIBLO LOOXシリーズ」に搭載されている「H" IN」というモジュールだ。H" INモジュールはDDIポケットのH"とほぼ同じ機能を持つPHSモジュールで、専用ソフトウェアを起動することにより、オンラインサインアップでH"が開通できるという仕組みだ。新規契約でも他のH"端末からの機種変更でも問題なく利用でき、機種変更については販売店で行なわれている利用期間による制限も受けない。PHSモジュールの消費電力など、解決しなければならない問題はあるが、これがPDA上で実現できれば、PDAでの通信もかなり手軽なものになるはずだ。

 PDAと一口に言っても、利用スタイルは人によって大きく異なる。PDAという単語をモバイルコンピューティングに置き換えても同じことが言えるだろう。なかなか決定打となるPDAは見つからないが、今年はPDAもいろいろと面白い製品が登場している。携帯電話やPHSも大事だが、それをさらに活かすことができるPDAもぜひチェックしておこう。もちろん、「液晶ディスプレイの視認性のチェックは忘れずに」ね(笑)。


■URL
・SonyStyleホームページ
http://www.jp.sonystyle.com/home.html
・CLIE Plaza!
http://www.peo.ne.jp/plaza/pc/index.html
・CLIEのニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200007/00-0713/
・シャープ スペースタウンfor ZAURUS
http://www.zaurusworld.ne.jp/



(法林岳之)
2000/09/27 00:00

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