■ 二代目モデルが早くも登場
5月12日に発表され、23日から東京ビッグサイトで開催されていたビジネスシヨウでも展示されたJ-フォンの『J-SH03』が発売された。シャープ製のカラー液晶搭載J-フォン端末としては、昨年12月に発売された『J-SH02』に続く二代目モデル登場ということになる。筆者もJ-SH02から機種変更で購入することができたので、早速レポートをお送りしよう。なお。スペック面については、5月29日掲載の『ケータイ新製品SHOW CASE』をご覧いただきたい。
■ 超ベストセラーの後継モデル

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J-SH03
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J-SH03はJ-フォン東京のエリアで、5月26日に新規契約の販売が開始され、5月29日からは機種変更の販売も開始されている。昨年末に発売されたJ-SH02ほどではないものの、やはり、ショップには予約が数多く入ったようだ。特に、機種変更分については入荷数が少なかったため、予約分がさばききれなかったところもある。筆者は普段から利用しているJ-フォンショップに発表直後に予約を入れ、月曜日に無事に機種変更することができたが、これから予約をする場合は、ここ数週間、待たされる可能性もありそうだ。ちなみに、同時発売の『J-SA02』についても入荷状況は同レベルだという。
さて、J-SH03の話をする前に、昨年末に発売されたJ-SH02の話を少し紹介しよう。J-SH02はJ-フォンが昨年末からサービスを開始したJ-スカイサービスの対応第1号機だ。J-スカイサービスは昨年12月からJ-フォン東京/東海/関西のエリアで順次開始され、その他のエリアでは4月1日からサービスが開始されている。ところが、J-フォン東京/東海/関西以外のエリアでもJ-SH02にはサービス開始前に販売されており、当初は品切れを起こしてしまうほどの大ヒットを記録したそうだ。「サービスも開始していないのに、なんで?」と考えるかもしれないが、それだけカラー液晶の威力は強かったというわけだ。J-スカイサービス開始を見越した先行投資があるとしても、カラー液晶の魅力はかなり大きいということを表わしている。
また、先日、J-フォングループ9社は、5月10日にサービス開始からわずか5カ月でJ-スカイサービスの加入が100万台突破したことを発表している。この5カ月の間に販売されていたJ-スカイ対応端末はJ-SH02の他に、4月11日掲載のコラムで紹介したデンソー製『J-DN02』のみだ。しかも、J-DN02は発売して、実質的に1~2カ月程度と短い。仮に、100万台の半分しかJ-SH02でなかったとしても50万台。販売期間を考慮すれば、80万台前後はJ-SH02が販売された計算になる。J-フォン、シャープの両社にとって、これだけの売れ行きを単一機種で記録する例はおそらくはじめてのケースであり、J-SH02はJ-スカイサービス躍進の原動力になった超ベストセラーモデルということになる。
【各地の「J-SH03」発売スケジュール】(「ケータイ Watch」編集部調べ)
地域 |
発売日 |
セット価格 |
ボディカラー |
北海道 |
6月3日 |
オープン |
オリオンシルバー、シリウスホワイト、アースブルー |
東北 |
6月上旬 |
3万5700円 |
オリオンシルバー、シリウスホワイト |
東京 |
発売中 |
4万2000円 |
オリオンシルバー、シリウスホワイト、アースブルー(*1) |
北陸 |
6月上旬 |
3万9000円 |
オリオンシルバー、シリウスホワイト、アースブルー |
東海 |
5月31日 |
4万円 |
シリウスホワイト、アースブルー(*2) |
関西 |
6月上旬 |
4万3000円 |
オリオンシルバー、アースブルー |
中国 |
6月上旬 |
4万6000円 |
オリオンシルバー、シリウスホワイト、アースブルー |
四国 |
6月上旬 |
4万1400円 |
オリオンシルバー、シリウスホワイト、アースブルー |
九州 |
6月上旬 |
3万3000円 |
オリオンシルバー、アースブルー |
*1:アースブルーの発売は6月以降。
*2:アースブルーの発売は6月6日。
■ カラー液晶を大型化するなどの改良
では、今回発売されたJ-SH03は、J-SH02に比べ、どのような点が改良されているのだろうか。
まず、外見だが、液晶ディスプレイが大型化されている。最大256色表示が可能である点は同じだが、文字数は最大全角8文字×7行表示が全角8文字×9行表示を可能にしている。メール作成画面の本文入力エリアで比較すると、J-SH02が全角8文字×3行だったのに対し、J-SH03は全角8文字×5行まで表示が可能だ。
カラー液晶の明るさについては、J-SH02よりも一段明るくなっており、バックライトが点灯していないときの視認性も改良されている。J-SH02のカラー液晶ディスプレイは以前のレビューでも紹介したように、若干、黄みがかった印象があったが、J-SH02は白くなっており、NTTドコモのF502iやD502iなどと同程度以上の視認性を確保している。ちなみに、未確認情報だが、ELバックライトがJ-SH02が2つだったのに対し、J-SH03では3つになっているそうだ。
ボタン類は基本的に従来とほぼ同じデザインだが、中央のマルチガイドキーのくぼみが浅くなり、[F]キーも押しやすくなっている。J-スカイウェブボタンとJ-スカイウォーカーボタンも液晶ディスプレイの大型化に伴い、若干、小型化されている。しかし、ボタンの周囲にくぼみがついたため、触ったときの感覚はJ-SH02よりもはっきりしている。
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左がJ-SH02、右がJ-SH03。液晶ディスプレイが大型化され、明るくなっており、バックライトが点灯していないときの視認性も改良されている。
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メール作成画面の本文入力エリアで比較すると、J-SH02が全角8文字×3行だったのに対し、J-SH03は全角8文字×5行まで表示が可能だ。
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ボタン類は基本的に従来とほぼ同じデザイン。中央のマルチガイドキーのくぼみが浅くなり、[F]キーも押しやすくなっている。
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■ 機能面も完成度を向上

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着信メロディは、ひとつの旋律ごとに128種類の音色や強弱を設定できる。ダウンロードした曲に対しても設定できるため、他人と同じ曲であってもオリジナリティのある着信メロディを設定することができる。
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次に、機能面について見てみよう。まず、着信メロディは4和音となり、標準で20曲の着信メロディが登録されている。J-SH02では対応していなかったJ-フォンのスカイメロディ・スーパーハーモニーにも対応し、ダウンロードしたメロディを登録することも可能だ。ただし、空白のエリアがないため、標準搭載の着信メロディに上書きしなければならない。
着信メロディで特徴的なのは、ひとつの旋律ごとに128種類の音色や強弱を設定できるという点だ。たとえば、1つの曲があったとき、ひとつはピアノ、もうひとつはベース、もうひとつはシンセサイザーといった具合に、音色を組み合わせて再生することができる。音色の設定はスカイメロディでダウンロードした曲に対しても設定できるため、他人と同じ曲であってもオリジナリティのある着信メロディを設定することができる。
着信音の音質はJ-SH02もなかなか良好だったが、J-SH03は背面のスピーカーも変わったためか、かなり聞いたときの印象が違う。音質そのものは良くなっているのだろうが、全体的に重く太い印象が強く、J-SH02とまったく同じ着信メロディを設定しても同じようには聞こえないようだ。このあたりは個人によって、感覚が異なるので、あくまでも参考としていただきたい。J-フォンショップの店頭などで、実際にJ-SH03の着信メロディを試聴できるとベターだろう。
着信メロディとともに、完全に定着した感のある待受画面だが、J-SH03でも3種類の内蔵イラスト、5種類までのオリジナルイラスト(画像)を登録でき、それらを待受画面に設定することができる。アニメーション機能も搭載しており、あらかじめ設定されたイベントの日にはいつもと異なるアニメーションが表示される。ちなみに、従来モデルでは、せっかく待受画面にオリジナル画像を設定しても、[F]キーによる誤動作防止ロックをしてしまうと、時計と誤動作防止ロックのメッセージしか表示されなくなってしまうのだが、J-SH03では画像も同時に表示されるように改良されている。筆者としてはJ-SH02で最も不満を感じていた部分が改良され、ようやく待受画面で遊ぶことができそうだ。
文字入力については、基本的にJ-SH02同様だが、ユーザー辞書が設定できるようになった点はうれしい。ただ、J-SH03のユーザー辞書は見出し語1文字を入力して登録するタイプのもので、パソコンなどのユーザー辞書とは若干、趣が異なる。ちなみに、ユーザー辞書には最大100語まで登録でき、同じ見出し語には50語まで登録できる。登録後の編集や消去なども可能だ。ただ、かな漢字変換はシャープ独自のクセがあり、必ずしも予想通りの変換ができないケースがある。たとえば、筆者の名前の「林」は「りん」ではなく、「はやし」と入力しなければ変換できない。また、URLなどの入力に頻繁に利用する「.ne.jp」「.or.jp」「http://」「www」などの文字列は、テンキーの[*](アスタリスク)ボタンで呼び出せるメニューに登録されており、記号も[#]ボタンで呼び出すメニューから入力することが可能だ。ダイヤルボタンを繰り返し押して入力する方式もいいが、記号などの場合はこうしたメニューから入力する方が間違えにくいというメリットもある。
メールの保存件数は従来モデルが受信が最大1000件、送信が最大80件だったのに対し、J-SH03では受信が最大1500件、送信が最大240件と大幅に増えている。ちなみに、J-SH02の初期モデルでは未対応だったメール端末「Sky e pad」には標準で対応しているので、メールの保存件数が増えてきたら、そちらにバックアップするという使い方もできる。今回は試すことができなかったが、オプションの「モバイルプリンター」を利用して、印刷するのも手だ。
■二代目の完成度の高さを取るか
購入してから間もないため、まだ十分な試用はできていないが、全体的に見て、J-SH03の完成度は高い。J-SH02から基本コンセプトを受け継ぎながら、J-SH02で指摘されていた不満点を解消し、完成度を高めた点は評価できる。J-SH02ユーザーなら、ほとんど違和感なく、移行できるはずだ。もちろん、はじめて購入するカラー液晶端末としてもおすすめできる製品だ。
ただ、J-フォンではJ-SH03の他に、三洋電機製のJ-SA02、東芝製のJ-T04というカラー液晶端末を順次、発売する予定だ。J-SH03がJ-SH02と代わり映えがしないという印象を持ち、カラー液晶であることを重視するのなら、これらの端末をチェックしてから購入するという手も考えられそうだ。
また、これはほとんどのJ-フォン端末に言えることなのだが、以前から指摘しているように、メールアドレスを含めたメモリダイヤルのデータをPCやメール端末と転送するためのツールを提供して欲しい。いくらメモリダイヤルへの文字入力がしやすくなったとは言え、100件以上のメモリダイヤルのメールアドレスを再入力するのは手間が掛かり過ぎるからだ。
(法林岳之)
2000/05/30 00:00
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