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個性派ケータイを軸にラインナップ~au 2006年夏モデル
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


 auは5月22日、2006年夏商戦向けモデルとして、CDMA 1X WIN対応が6機種、CDMA 1X対応が1機種の計7機種を発表した。今年1月の発表会では総合音楽サービス「au LISTEN MOBILE SERVICE」が発表され、対応機種が一気に登場したが、今回は新サービスの発表もなく、基本的にはラインナップの拡充という発表だった。詳細については、発表会のレポートを参照していただきたいが、ここでは発表会で試用した各端末の印象などをレポートしよう。


au夏モデル

注目はウォークマン&G'zOne

 今年に入り、LISMOで音楽ケータイ路線を強く打ち出してきたau。今年1月から順次、販売が開始されたモデルでは、普及モデルのW41CA、ワンセグ対応のW41Hなどが好調な売れ行きを記録しているという。今回発表された2006年夏商戦向けモデルは、新サービスの発表がなかったものの、7機種中5機種がLISMOに対応しており、さらにラインナップが拡充されたという印象だ。

 そんな中でも注目を集めていたのが「ウォークマン」と「G'zOne」という2つのブランドだ。今回の記者発表ではこの2つのブランドに限り、ソニー・エリクソンモバイルコミュニケーションズとカシオ計算機の担当者がプレゼンテーションを行ない、個別の展示コーナーを設けるなど、別枠の扱いを受けており、プレス関係者の注目も非常に高かった。

 その他の機種についても方向性やラインアップ内での役割がある程度、推測できる構成になっており、派手さこそないもの、着実にユーザーの支持を受けられそうな端末がラインアップされている。各機種の試用時間は短かったが、発表会で試用した印象を紹介しよう。


W42S

●ウォークマンケータイ「W42S」

 今回発表されたラインアップの中で、もっとも注目度の高かったのがウォークマンケータイ「W42S」だ。ウォークマンと言えば、もはや説明するまでもない世界的なポータブル音楽プレーヤーのブランド。その名前を冠したモデルが国内でも販売されることになった。敢えて「国内でも……」と書いたのは、本誌の海外レポートなどでも触れられているように、実は海外ではウォークマンブランドのケータイが好調な売れ行きを示しており、ソニー・エリクソン全体の業績にも大きく貢献している。余談だが、現在、公開中の映画「ダ・ヴィンチ・コード」にも一瞬、ウォークマンロゴのケータイが映るシーンがある。

 W42Sは昨年登場したW31Sに続き、スライド式ボディを採用しているが、ボディ下部に「ミュージックシャトル」という専用コントローラーが装備されており、今までにない存在感のあるボディデザインとなっている。スライド式ボディになったことで、操作感が気になるが、液晶ディスプレイ部は薄くなり、方向キー周辺もうまく角度が付けられているため、テンキー部分との段差はそれほど気にならない。ただ、方向キーの下に[クリア]キーが備えられているため、方向キーの下方向を操作するときなどは誤操作に気をつける必要がある。

 ウォークマンのブランドが与えられたW42Sだが、音楽再生の機能については、LISMOとしての機能に加え、「M.S.Music」と呼ばれるデジタル音楽プレーヤーのウォークマンで利用されてきた音楽再生機能も搭載されている。アプリケーションは「Sonic Stage CP」が付属しており、ATRAC3plus、ATRAC3、WAV、MP3、WMA、AAC形式の音楽データを保存して、再生することができる。LISMOとM.S.Musicの楽曲が混在するプレイリストは作成できないが、メモリースティック内の楽曲と内蔵メモリ内の楽曲をシームレスに再生できる。LISMOについては、手持ちのMP3やAAC形式の音楽データが活用できないことに不満の声が多かったが、W42Sの環境であれば、こうしたニーズにも対応できるわけだ。


ミュージックシャトル

 ボディ下部に「ミュージックシャトル」という専用コントローラーを装備
 メモリについては内蔵で1GBの音楽専用メモリを搭載しており、このほかにメモリースティック Duoスロット(PRO Duo対応)を備えている。この1GBの内蔵メモリはメモリでありながら、端末から見たときの位置付けはW41TのHDDなどと同様になっており、着うたフルやau Music Portで生成した音楽データの保存に利用する。メモリースティックDuoは最大4GBまでのモジュールに対応しており、au Music Portで生成した音楽データ、前述のSonic Stage CPで生成した音楽データを保存することができる。実際には内蔵メモリでLISMO、メモリースティックDuoでSonicStage CPという使い分けになりそうだ。

 音楽の再生時間については、今回発表された他のWIN端末と同じように(一部を除く)、楽曲データのデコードを専用チップで処理することにより、約30時間の連続再生を可能にしている。ただし、連続30時間は内蔵メモリに保存された楽曲を再生した場合で、メモリースティックDuoに保存されたデータの場合は約10時間になる。それでもこれだけの長時間、連続で再生ができるのであれば、ケータイで音楽再生を始めることを検討するユーザーは増えそうだ。

 この他にもFMラジオやau ICカード搭載によるGLOBAL EXPERT対応、PCサイトビューアーなどの機能が搭載されており、音楽再生を前面に出しながらもひと通りの機能を取り揃えた端末と言えそうだ。ただ、残念ながら、FeliCaチップが搭載されておらず、おサイフケータイには対応していない。


W42CA

●G'zOne W42CA

 昨年、4年ぶりの復活を遂げ、話題を集めたタフネスケータイ「G'zOne」。その最新モデルとなるのが今回の「G'zOne W42CA」だ。昨年のG'zOne TYPE-Rはより幅広いユーザー層の利用を考慮し、CDMA 1X対応だったが、今回はCDMA 1X WIN対応となり、もっともユーザーから要望が多かった部分に応えた格好になっている。

 耐水・耐衝撃というタフネス性能については、従来同様の性能が確保されているが、今回のW42CAはau ICカード対応、メモリカード対応をしながら実現している点がG'zOne TYPE-Rと異なる。すでに、開発者インタビューでも明らかにされているが、W42CAでは電池パックそのものにパッキンを装着し、ロックは2個に増えている。ちなみに、メモリカードはmicroSDカードを採用しており、電池パック装着部の内側にau ICカードと対比するようにスロットが装備されている。

 機能面ではカメラがオートフォーカス対応207万画素になり、新たにビジネスショットにも対応する。W41CAなどから継承した機能としてはPCサイトビューアー、赤外線通信、au ICカードによるGLOBAL EXPERTなどが挙げられるが、PCドキュメントビューアーやおサイフケータイには対応していない。おサイフケータイについては耐衝撃性能を実現するボディの内側にFeliCa用アンテナをどう配置するかなどの課題もあり、今回は搭載が見送られたそうだ。新しい機能としては、英和・和英・国語辞典など、6種類が含まれる辞書機能「モバイル辞典」、最長3時間の録音が可能なICレコーダー機能、待受画面やアドレス帳表示などを一括して切り替えられるWシーン設定などが挙げられる。

 タフネス性能ばかりが強調されたW42CAだが、LISMOに加え、SD-Audioの音楽再生にも対応しており、au Music Portでは連続15時間の音楽再生も可能など、利用環境はかなり充実している。ボディそのものは従来モデル同様、少々ゴツい印象はあるが、タフネスという個性を考えれば、やはり、この存在感は魅力のひとつとも言える。


IPX7相当の防水性能 バッテリー部
IPX7相当の防水性能
 バッテリーを外すと、au ICカードとmicroSDスロットが現われる

W44T

●W44T

 HDD搭載のW41T以降、もっともハイペースで端末を供給する東芝製の新端末が「W44T」だ。2006年夏モデルよりも一足お先に登場した3Dナビ対応のW43Tは、昨年登場した薄型ケータイW31TやW32Tの進化バージョンという印象だったが、今回のW44Tはボディデザインが一新され、ソフトウェア的にも新しくなっているようで、今後の東芝製端末のベースになるモデルと言われている。

 W44Tの注目ポイントは、W41Tに引き続き、Bluetoothによるワイヤレスでの音楽再生に対応している点だ。W41Tは独自拡張したプロファイルを採用していたが、今回はA2DPに対応しており、BluetoothヘッドセットなどでLISMOの音楽を楽しむことができる。パッケージには首から下げられるBluetoothレシーバーも同梱されているが、ヘッドホン機能以外はリモコン機能しかサポートされておらず、マイク機能が搭載されていない。コスト面などの制約もあるのだろうが、できれば、トータルなワイヤレス環境を実現して欲しかったところだ。ちなみに、音楽の連続再生は有線のステレオイヤホンマイクで約19時間、Bluetoothレシーバー経由で約14時間となっている。

 ボディは二軸回転式を採用しながらもスリムにまとめられ、ボタン部もキートップを大きくすることで、操作性を良くしている。液晶ディスプレイが2.6インチと大型化しているが、W41CAやW41Hのようなワイド表示ではなく、一般的なQVGA表示となっている。

 細かいところではアドレス帳が1,000件まで登録できるようになり、電話番号とメールアドレスを各5件ずつ登録できるようにしている。新たに赤外線通信にも対応したが、このあたりは今秋のMNPを意識した仕様なのかもしれない。


W42H

●W42H

 春モデルではワンセグケータイで注目を集めた日立製端末だが、今回のW42Hはデザイン的にもスッキリとまとめられたモデルとなっている。特徴的なのは、トップパネル側に装備された「カスタムバングル」(腕輪)と呼ばれるアイテムだ。パッケージには各ボディカラーに合わせたバングルが3つずつ付属しており、好みや利用シーンに応じて、切り替えられるようにしている。着脱も非常に簡単だが、取り外したバングルをどうするのかがちょっと悩みどころ。カスタムジャケットなどの着せ替えパネルのように、全体のイメージが変わるわけではないが、他人との違いを主張する意味でも気分を切り替える意味でも楽しい装備のひとつと言えそうだ。

 Wシーン機能についてはW42CAと同じもので、[*]キーの長押しで、待受画面やアドレス帳、スケジュールなどをビジネス向けとプライベート向けに切り替えられるというものだ。実際に生活シーンで使ってみないと、どれだけの有効性があるのかはわからないが、ユーザーが上手に活用できれば、便利な機能と言えるかもしれない。

 音楽関係ではLISMOに加え、SD-Audioにも対応。au Music Playerの連続再生時間は約16時間となっている。細かい部分では、平型コネクタのイヤホンマイク端子がW41Sなどと同じように、スライド式カバーになっており、スマートに使うことができる。

 この他には6種類の辞典を収録したモバイル辞典、ICレコーダーなどが新しい機能として、搭載されている。また、今回発表されたラインアップの中では、唯一のFeliCa搭載端末となっている。全体的に見て、W42SやW42CAほどの強い個性があるわけではないが、手堅くまとめ、より幅広いユーザー層に受け入れられることを狙った端末と言えそうだ。


W42K

●W42K

 今年4月から正式サービスが開始されたワンセグだが、まだ全国で利用できるわけではなく、ワンセグそのものが放送されていない地域もあれば、特定の放送局しか放送していない地域もある。こうした状況を踏まえ、アナログテレビチューナーを搭載したのがW42Kだ。テレビ視聴に関するアプリケーションは従来のEZテレビを継承したものだが、W42Kは端末内部にテレビ受信用アンテナが内蔵されていないため、テレビ受信についてはマイク付きリモコンの利用が必須となる。

 マイク付きリモコンはテレビ視聴とLISMOでの利用を重視したもので、パッケージにはボディと同色のものが同梱される。マイクも付いているので、着信時にはマイク付きリモコンのみで応答することが可能だ。ただ、今回発表されたLISMO対応端末の内、W42Kのみが専用チップによる音楽データのデコードに対応していないようだ。

 ボディは昨年はじめに発売され、好評を得たW31Kの流れを継承しており、W31Kよりもスクエアにまとめながら、若干、スリム化したという印象だ。ボディ周りで特徴的なのは中央部分が少し盛り上がるようなキーを並べたフレームレスキーで、メール作成時などのキータッチも非常に良い。


W33SA II

●W33SA II

 昨年末、国内初のワンセグ対応端末として発売されたW33SAのリニューアルモデルがW33SA IIだ。基本的にはボディカラーの変更、PCサイトビューアーの搭載、メール周りの新機能追加(パシャ文字など)がメインだが、ワンセグ周りも細かい部分でいくつか修正が加えられているようだ。ボディは共通のもので、ソフトウェアの基本的な使い勝手も変わっていない。LISMOに対応していないが、SD-Audioに対応しており、音楽再生機能を楽しむことはできる。ワンセグを楽しみたいユーザーの内、アナログテレビとワンセグの両方のチューナーを搭載した端末が欲しいユーザー向けの端末ということになりそうだ。


A5521K

●A5521K

 今回発表されたラインナップの中で、唯一のCDMA 1X対応端末がA5521Kだ。スリムさを追求し、最薄部で18mmにまとめている。auのラインナップの中では、W43Tの22mmよりも薄く、もっともスリムな端末となっている。

 端末の方向性としては、スタンダードな路線を狙っているようで、使いかたナビや機能ガイドなどによるガイド表示を充実させるほか、最大44ドットの文字表示、でか着・でか受話音・でかバイブを設定できるなど、シニア層のユーザーや騒がしい場所での利用するユーザーも視野に入れているようだ。機能的にはFMラジオが楽しめるEZ・FM、microSDカード対応、赤外線通信対応などが注目される。


MNPを見据えた準備が見え隠れする2006年夏モデル

 駆け足でauの2006年夏モデルの紹介をしてきたが、ウォークマンケータイ W42SとG'zOne W42CAの2機種を夏モデルの核に位置付け、スタンダードなWIN端末3機種、CDMA 1X端末1機種が固めるといった印象のラインアップだ。話題性や個性から見れば、W42SとW42CAが一歩リードしている感があるが、W44Tのワイヤレスミュージック環境、W42Hのカスタムバングルによる個性、W42KのアナログTVチューナーは、それぞれに求めるユーザー層が存在することが推察できる。全体的に見てみると、派手さこそないものの、ポイントをしっかりと押さえた手堅いラインアップというわけだ。

 ただ、いくつか気になる点もある。たとえば、昨年秋にサービスを開始したおサイフケータイのEZ FeliCaへの対応だ。今のところ、W32H、W32S、W41S、W41CA、W41Hの5機種が市場に投入されたが、auのラインアップは数カ月で完全に入れ替わってしまうため、初期の2機種はほぼ店頭で手に入らなくなりつつある。つまり、現時点で店頭に存在するのは、2006年春モデルの3機種だが、今回はW42Hが追加されるのみ。春商戦のモデルがどれだけ継続販売されるのかはわからないが、おサイフケータイのバリエーションが増えないというのは気になる点だ。

 今回のラインナップをじっくり見て、もうひとつ気づかされるのが今秋、実施が予定されているMNPを見据えた端末の機能面での準備だ。実は、auの端末はNTTドコモやボーダフォンの端末に比べ、赤外線通信への対応が遅れていたが、今回は全7機種が赤外線通信に対応している。赤外線通信は端末間のデータ転送に適した機能であり、MNPでキャリアを移行したときのデータ転送にも使える(実際には店頭で対応するだろうが)。また、W44Tのアドレス帳は5番号、5アドレスが1,000件まで登録できるが、NTTドコモのFOMA 90Xiシリーズには一般的な3番号、3アドレスよりも多く登録できる機種がいくつかあり、MNP実施時にこれらの端末からの移行も受け入れやすくすることを考えたのかもしれない。

 この他にもいくつか推測される要素はあるのだが、ラインアップの充実ぶりも含め、auはMNPへ向けた準備が着実に進行しているという印象だ。いずれの機種も6月から順次、販売が開始される予定だが、本誌の新製品SHOW CASEやレビューなども参照して、自分にフィットする端末をじっくりと選んで欲しい。



URL
  ニュースリリース(KDDI)
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0522/


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(法林岳之)
2006/05/31 11:48

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