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海外ブランド初のiモード端末「NM502i」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。

■5つめのiモード端末

NM502i
NM502i

 NTTドコモのiモード端末に新しい仲間「NOKIA NM502i」が加わった。iモード端末はサービス開始以来、松下通信工業、三菱電機、NEC、富士通の4社のみが発売し、現在に至っている。松下通信工業、三菱電機、NEC、富士通の4社はNTTドコモのムーバシリーズをいち早く手掛けるなど、NTTドコモの端末では常に中心的な役割を担ってきている。

 今回発売されたNM502iは、中心メーカー4社以外では初めてであるだけでなく、海外メーカーとしても初のiモード端末という非常に意義深い製品だ。すでに、一部の地域では4月から販売が開始されていたものの、関東・甲信越地区では発売が長らく延期されていた。先月のiモード受付自粛騒ぎの影響などもあり、発売がいつになるのかが懸念されていたが、ようやく5月15日に発売が解禁され、筆者も機種変更で製品を入手できた。まだ数時間しか触ることができていないが、早速、レポートをお送りしよう。



■ヨーロッパの香り漂うデザイン

開いたところ
開いたところ
背面
背面

 ノキアと聞いて、何を連想するだろうか。映画の「マトリックス」? 赤外線通信ポート? それとも、スポーツイベントのスポンサー? 最近でこそ、日本でもブランドとして認知されるようになってきたが、ノキアは世界を代表する携帯電話のメーカーだ。どれくらい世界を代表しているかというと、1999年に全世界で販売された携帯電話の内、27%ものシェアを獲得している。ちょっと乱暴な言い方をすれば、世界の携帯電話の3台に1台はノキア製端末ということになる(実際は、累積台数があるから、差はあるけどね)。

 ノキアは今まで日本国内市場向けに、NTTドコモ向けやIDO向け、J-フォン向けなどに端末を販売してきた実績がある。実は、筆者も一時期、J-フォンの「DP-154EX」(腰に下げるベルト付きのケータイ)を愛用していたのだが、そのデザインと存在感は他のケータイを圧倒するものがあった(何度、街で指を指されたことか(笑))。もちろん、そんな派手なケータイだけでなく、質実剛健なデザインの製品も販売しており、一部に熱心なファンがいることでも知られている。

 今回、発売されたNM502iは、昨年発売されて人気を集めたNM207のデザインを踏襲しながら、さらにスリムでシャープなデザインにまとめられている。国産のケータイにはちょっと独特の雰囲気を持っている。ちなみに、NM502iはヨーロッパのGSMエリアで販売されている「NOKIA 8890」に近いデザインと言えそうだ。

側面
側面
端子部
端子部

 本体前面にはアクティブスライドと呼ばれるカバーが付いており、これをスライドさせて開けると通話ができ、反対方向にスライドさせて閉じると通話を終了することができる。テンキーはアクティブスライド内部に格納されている。ちなみに、スライドを閉じた状態でボタン類をロックすることも可能だ。

 テンキー以外のボタン類は、液晶ディスプレイ下の部分にまとめられているが、iモードボタンについては本体左側面に装備されている。液晶右上にあるボタンは電源スイッチで、背面にはノキアのケータイではおなじみの「YO・BE・BAボタン」が装備されている。YO・BE・BAボタンは音声認識により、ユーザーの声で電話を掛けられる機能を使うためのものだ。最近では国産の携帯電話にも標準的に装備されるようになってきたが、日本で一番最初にこの機能を搭載したのはノキアだ。


 液晶ディスプレイは最大全角8文字×8行の表示が可能だが、ステータス表示などに使われる行もあるため、実質的には全角8文字×6行の表示となる。階調表示は501i世代と同じモノクロ2階調までとなっている。F502iやD502iなどのカラー液晶ケータイが登場し、モノクロ液晶を採用したN502iやP502iが大画面化した現状を考えると、スペック的にはやや見劣りがする感は否めない。


独特のメニュー構造に戸惑う

画面
 スタイリッシュなボディのNM502iだが、中身はどうだろうか。まず、着信メロディは残念ながら単音となっている。標準で4つの着信音、12種類の着信メロディが登録されており、ダウンロードしたメロディや自作メロディを登録するエリアは5つ用意されている。

 待受画面は月単位で変わるものが用意されており、これ以外にユーザーがiモードサイトなどからダウンロードした画像を表示させることもできる。待受画面のほか、電源オン/オフ時のアニメーション、着信アニメーションなどもカスタマイズすることが可能だ。

 また、モバイルユーザーにとっては、やはり見逃せないのが赤外線通信機能(IrDA)だが、これについてはすでに4月11日と12日に、彩音五郎氏がレポートを掲載しているので、そちらを参照していただきたい。Bluetoothまでの過渡的な接続手段としては赤外線通信も有効だろうというのが筆者の感想だ。

 このほかにも、NM502iには3種類のゲーム、誕生日などが登録できるカレンダーノート、カスタマイズできるマナーモードなどの機能も搭載されている。派手さこそないものの、実用性のある機能を着実に押さえているといった印象だ。


ボタン
 これに対し、操作性の面では若干、不満が残った。最初に気になったのがメニュー回りの使い勝手だ。多くの携帯電話はファンクションキー([メニュー]キーや[F]キー)などを押して、機能番号を入力したり、上下キーで機能を選択する。NM502iも同様の構成になっているのだが、最初のグループの機能から次のグループの機能に移動するとき、階層を一度、戻らなければならないのだ。NM502iには「加入者サービス」「ショートメール」「伝言&音声」「発着信履歴」「カレンダー」「通話情報」「モード」「その他の設定」「ゲーム」がトップメニューに割り当てられているのだが、これらの中にある機能を最初から順に上下キーのみで見ていくことができないのだ。この使い方は現在のほとんどのケータイでできるのだが、NM502iでは階層構造を理解し、メニューを行き来しなければ機能を呼び出すことができない。ちなみに、DP-154EXでも同様のメニュー構造だったため、筆者はすぐに使い方を理解できたが、ノキア端末がはじめてのユーザーはかなり戸惑うだろう。

 同様に、NM502iのメニューは、ほとんどが一画面にひとつの機能が表示されているため、一覧性が良くない。本来、機能設定は購入時程度にしか使わないので、あまりに気にする必要はないのかもしれないが、国産端末と張り合うのであれば、もう少し改良して欲しかった。

 メールやiモードコンテンツの操作性もまだまだ検討の余地が残る。たとえば、iモードメールを利用するとき、メールアドレスを電話帳メモリから参照することはできるのだが、新規に入力する場合、「.ne.jp」「.co.jp」などの文字列は1文字ずつ入力しなければならない。同様に、オフィシャルページ以外のiモード対応ページを閲覧するために、URLを入力するときも、「www」「.html」などの文字列を1文字ずつ入力しなければならない。他のiモード端末をはじめ、インターネット対応のメールやコンテンツを閲覧できる携帯電話では、今やこの機能は標準的となりつつある。ぜひとも次期モデルでは改善をしてもらいたい点だ。


発売された意義は大きいが……

 発表直後の回収騒ぎやiモードの受付自粛など、さまざまなマイナス要因が重なってしまったNM502iだが、やはり世界最大のメーカーであるノキアが日本のローカルな規格であるiモードに対応した端末を投入してきたという意義は大きい。それだけ、世界的に見ても、iモードがビジネスモデルとして成功していることの証だろう。

 ただ、端末そのものの評価については、操作性の面を中心にまだまだ不満が残されている。国産端末しか触ったことのないユーザーは、最初の段階でかなり戸惑いを覚えるはずだ。つまり、ハードウェア的な仕様こそ、日本向けにカスタマイズされているが、操作体系などの部分については海外製品のままという捉え方もできる。この部分をどう評価するかが選択のポイントになりそうだ。

 また、今回は詳しく評価をしてないが、やはり赤外線通信の魅力は大きい。近距離無線通信のBluetoothが今秋から来春に掛けて普及してくることを考えると、やや短期間の利用になるかもしれないが、線をつながないことのメリットは十分に享受できるはずだ。できることなら、ノキアや関係メーカーには赤外線通信ポートが活用できる製品の情報をさらに充実させてもらいたい。


■URL
・「NM502i」のニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/00/whatnew0406a.html
・「NM502i」製品情報(ノキア)
http://www.nokia.co.jp/products/nm502i/



(法林岳之)
2000/05/16 00:00

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