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PacketOneでメール&Webが楽しめる「ウェブパレット」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


PacketOne対応の本格派メール端末

 IDO「ウェブパレット」。オープン価格。サイズ:149(W)×95(D)×25(H)mm、270g(単3乾電池2本含む)。
 DDI-セルラー/IDOが提供するcdmaOneのパケット通信サービス「PacketOne」に対応したメール端末「ウェブパレット」が発売された。以前、このコラムで紹介した「フォトパレット」に続く、PacketOne対応メール端末だ。16階調液晶ディスプレイを搭載し、パソコンに近い配列の標準的なキーボードを採用するなど、本格派のメール端末として期待できる製品だ。IDOが販売する製品を購入したので、早速、レポートをお送りしよう。


cdmaOneユーザー待望のメール端末

 携帯電話との接続ケーブルは底面に格納されている。奥にあるのは乾電池ボックスとロックスイッチ。乾電池ボックス横の傷はわずか1週間でついた。塗装の仕上げは今ひとつ!?
 今やひとつの製品ジャンルとして完全に定着した感のあるメール端末だが、cdmaOneのユーザーにとっては選択肢が少ない。たとえば、市販のメール端末では、シャープのコミュニケーションパルにcdmaOne対応モデル「MT-300C」がラインアップされているが、今年1月からサービスが開始されたPacketOne対応モデルはまだ投入されていない。Windows CEマシンでは、携帯電話/PHSインターフェイスを標準装備するモデルが販売されているが、サポートされているのはPDC方式が中心で、cdmaOneをサポートする機種は非常に少ない。PacketOneで利用するには、あの異常に高価な純正PacketOneカード(最近は1万円前後で販売するところもあるようだが)を購入するしかないという惨状だ。せっかく標準で14.4kbps、追加契約をすれば、下り方向で最大64kbpsという高速通信が可能になるのに、これではPacketOneの魅力も半減してしまう


 液晶ディスプレイは16階調表示が可能。起動時のメニュー画面も他のメール端末よりグラフィカルな印象だ。
 今回発売された「ウェブパレット」は、4月18日のコラムで紹介した「フォトパレット」とともに発売された初のPacketOne対応メール端末で、DDI-セルラー/IDOの各社がそれぞれのサービス地域で販売している。価格はオープン価格となっているが、筆者は4月下旬に東京・新宿の量販店で9800円で購入した。インターネット上のオンラインショップなどでもほぼ同等の価格で販売されているようだ。ちなみに、ウェブパレットの開発は東芝が担当している。

 まず、外見から見てみよう。ボディは、メール端末としてはやや大きめの部類に入り、サイズ的にはNTTドコモのポケットモペラに近い。重量は約270gと中量級だが、携帯性はそれほど悪くない。携帯電話との接続ケーブルは底面に格納されている。


 キーボードは標準的なQWERTY配列を採用。数字や記号キーもほぼ所定の位置に配されている。キートップはゴム製だが、比較的タイピングはしやすい。
 液晶ディスプレイは320×240ドット表示が可能な3.8インチの大画面のものを採用しており、表示もモノクロながら16階調をサポートする。メール作成画面などもグラフィカルなユーザーインターフェイスを採用し、全角25文字×17行の表示が可能だ。バックライトは装備していないが、ディスプレイ部分の反射はそれほど強くないため、視認性は良好だ。

 キーボードは標準的なQWERTY配列を採用し、記号キーや数字キーなどもほぼ所定の位置に配されている。多くのメール端末では本体を小型化するため、アルファベット以外のキーを省略するケースが多いが、ウェブパレットのキーボードはキーの数も配列も十分満足できるレベルに達している。キーはゴム製のものを採用しており、キータッチはNTTドコモの初代「ポケットボード」やJ-フォンの「Sky e pad」に近い。


PacketOneと回線交換のどちらでも利用可能

 通信機能は、cdmaOneのパケット通信サービス「PacketOne」と従来の回線交換方式の両方に対応する。PacketOneについては、標準の14.4kbps接続とPacketOne64の64kbps接続の両方で利用可能だ。今さら説明するまでもないが、パケット通信は転送したデータ量に応じて課金され、回線交換は接続した時間に応じて課金される。PacketOneのデータ通信料は1パケット(128バイト)あたり0.1円となっている。NTTドコモのパケット通信サービス「DoPa」が1パケットあたり0.2~0.35円ということを考慮すれば、比較的、割安と言えるだろう。

 PacketOneでの接続については従来の回線交換方式と違い、PacketOne対応プロバイダに接続しなければならない。PacketOne対応プロバイダとしては「DION」や「@nifty」、「リムネット」などがあるが、全体的にはまだ少ない。そのため、ウェブパレット本体にはDIONへのオンラインサインアッププログラムも搭載されている。DIONでは完全従量制で、通信料と接続料を別々に支払う「DIONベツベツコース」が用意されているので、ウェブパレット購入を機に新規契約するというのもひとつの手だ。


 受信メールの画面は全角25文字×17行の表示が可能。やや詰まった印象もあるが、視認性は悪くない。
 メールは一般的なPOP/SMTPとIMAP4によるインターネットメール、cdmaOneで利用できるショートメッセージサービスのCメールに対応する。ウェブパレットで作成及び受信できるインターネットメールは1通あたり最大約20KBまでとなっている。本体には保存できる送受信メールはアドレス帳と同じユーザーメモリを利用しているため、一定ではないが、アドレス帳に500件の登録がある場合、1通あたり全角600文字のメールを約350通保存しておくことができる。

 メールは「TO」や「CC」をサポートし、添付ファイルの受信も可能だ。添付ファイルは約100KB以内のBMP/JPEG/GIF形式のものが表示できる。メール作成時にはアドレス帳に登録したメールアドレスを呼び出したり、メールの逐次送信や一括送受信もできる。ちなみに、「TO」「CC」に登録できるメールアドレスは長さにもよるが、メールアドレスが30文字のときは約68人分まで入力できる。また、署名と最大5つの定型文も登録でき、作成時に利用するものをその都度、選ぶことが可能だ。


 メール作成画面は全角25文字×11行の表示が可能。枠の切替は[機能]キーとカーソルキーを組み合わせる。
 メールの作成画面は、最大25文字×11行までの本文を表示でき、入力方式はローマ字かな変換に固定されている。書きかけのメールを下書きとして保存したり、画面上でのコピー/切り取り/貼り付けなどの編集機能も備える。受信画面は全体表示となり、全角25文字×17行の表示が可能だ。受信したメールへの返信、全員への返信、転送などの機能も備え、発信メールアドレスをアドレス帳に登録することも可能だ。メールの受信は基本的に一括受信をすることになるが、IMAP4対応サーバを利用するときは到着しているメールのリストを取得して、必要なものだけを選択して受信することもできる。


Webページも16階調表示なので見やすい

 Webブラウザで「ケータイ Watch」の画面を表示してみた。標準の拡大表示のままだと全体は見えにくいが、文字は判別しやすい。
 ウェブパレットは商品名からもわかるように、Webブラウザーも搭載している。HTML3.2に準拠し、SSL3.0に対応するなど、オンラインショッピングなどを含めた一般的な用途にも問題なく利用できるレベルだ。ブックマークや縮小表示、履歴表示、画像表示のON/OFFなどの機能も搭載している。パソコンに比べれば、解像度は高くないが、液晶ディスプレイが16階調表示に対応しているため、画像を含んだページでも十分判別できるレベルで楽しむことができる。


 縮小画面の表示は全体の印象をつかみやすいが、文字の判読はやや難がある。目的に応じて使い分けるといいだろう。
 今回は14.4kbps接続と64kbps接続の両方の環境で試してみたが、当然のことながら、画像の多いページを見るときは64kbps接続の方が快適だ。ただ、全体的に見て、パフォーマンスは十分なレベルに達しており、テキスト中心のページなら、14.4kbps接続でもかなり快適に使うことができる。

 ウェブパレットにはアドレス帳機能が用意されており、名前やメールアドレス、携帯電話番号などを登録することができる。これらの内、携帯電話番号はCメールの送信時などにも利用できる。携帯電話の電話帳メモリを編集する機能も備えているが、編集できる項目は名前、ふりがな、グループ、携帯電話番号に限られており、メールアドレスは編集できない。誤って携帯電話の電話帳メモリに上書きしてしまうと、携帯電話側で登録したメールアドレスが丸ごと消えてしまうので注意が必要だ。

 最近のメール端末では携帯電話の電話帳メモリの編集機能を搭載するものが増えている。以前にも同様の話を書いたことがあるが、今や携帯電話にとってメールアドレスは電話番号と同じくらい重要な項目であり、メールアドレスが転送できないというのは機能的に不十分と言わざるを得ない。特に、cdmaOneはPacketOneのサービス開始により、現行モデルのほぼ全機種でメールが送受信できるようになったのだから、対応端末のウェブパレットでもメールアドレスをやり取りできるようにするべきだ。もし、転送できないのであれば、無用なトラブルを避けるためにも最初から機能を搭載しない方がマシと言っても過言ではないくらいだ。携帯電話側の電話帳メモリの仕様が各開発メーカーごとに異なるため、メール端末の対応だけでは解決できないという事情は理解できるが、そういう状況なら、サービスを提供しているDDI-セルラー/IDO側が早急に仕様を取りまとめ、メールアドレスを含めた電話帳メモリの転送機能をサポートすべきだ。DDI-セルラー/IDOに限った話ではないが、各携帯電話・PHS事業者には早急に対応の改善を望みたい。


手堅くまとめられたお手本的メール&Web端末

 ウェブパレットとC301Tクリアカラーコレクション。こういう携帯電話でも組み合わせられるバリエーションも欲しい。
 DDI-セルラー/IDOの「フォトパレット」やNTTドコモの「ポケットポストペット」など、今やメール端末も高機能・高付加価値がトレンドになりつつある。そんな中に登場したウェブパレットは機能に派手さこそないものの、非常に手堅くまとめられており、メール端末の基本機能をしっかり充実させたお手本的な製品だ。高機能・高付加価値メール端末の対極に位置する商品とも言えるだろう。現時点で本当に必要とされる機能を絞り込み、その機能を最大限に活かせる仕様を搭載したという点は評価に値する。価格的にもそれほど高くないので、メール端末の購入やモバイルを始めたいと考えているcdmaOneのユーザーなら、買って損のない商品と言えるだろう。

 ただ、不満がないわけではない。たとえば、PacketOneを利用するには対応プロバイダに接続する必要があるが、まだPacketOne対応プロバイダは今日現在、7つしかない。しかも、対応プロバイダであってもPacketOneでの接続はオプションサービスとなっており、1000円以上の追加料金を請求されるところが多い。できることなら、NTTドコモのmoperaネットサーフィンのように、申し込みなどが不要のPacketOne対応インターネット接続サービスをDDI-セルラー/IDOで提供して欲しいところだ。DIONでも「DIONパケットパック」のような手軽なサービスを提供し始めているが、さらに手軽でリーズナブルな接続手段の提供を期待したい。

 また、デザインについても非常に手堅いのだが、できれば、もう少し遊びの要素を含んだモデルの追加発売も期待したい。たとえば、開発元の東芝はC301Tクリアカラーコレクションが好評を得ているが、これと組み合わせるクリアカラーのウェブパレットというのも面白いのではないだろうか。「キワモノは3日で飽きる」という説もあるが(笑)、少しぐらいの遊び心も欲しいところだ。


■URL
・「ウェブパレット」ニュースリリース(IDO)
http://www.ido.co.jp/release/news/20000315.html
・「ウェブパレット」製品情報(IDO)
http://www1.ido.co.jp/digital/mobile/palette/index.html#2
・「ウェブパレット」ニュースリリース(DDI-セルラー)
http://www.ddi.co.jp/release/000315a/
・DIONパケットパック
http://www.dion.ne.jp/dialup/service/packet_pac/



(法林岳之)
2000/05/09 00:00

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