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都市規模のエリアをカバーする広域無線通信規格であるWiMAXは、固定網のように利用する規格は既に標準化を終えている。一方、移動時でも利用可能なバージョンは「10月にも標準化される」（小松氏）予定だ。移動版WiMAXである「IEEE 802.16e」について小松氏は、「従来の無線通信では、ビルの陰は電波が遮られていたが、WiMAXはきちんと電波が届く。MIMOやアダプティブアンテナなどの技術を用いてQoSをサポートし、20MHz幅で64QAMならば最高で約75Mbpsという通信が可能だ」と述べ、技術的な優位性を強調した。
同社のフィールドテストでは、基地局となる「Base Station」と、屋外の電柱などに設置される中継局「ProST」、屋内の窓際などに設置する「EasyST」で構成される。中継局であるProSTまでWiMAXで通信し、ProSTからユーザーのクライアント端末までは無線LANで通信することになる。設置箇所については、同社のPHSサービスで利用されていた基地局のうち一部で、機器の入れ換えが行なわれる予定とのことで、小松氏は「首都圏には、ビル局5,000局、電柱局65,000局の計70,000局を保有している。12月スタートとスピーディに動けるのはPHS基地局があったから。バックボーンはPHSで利用していたISDN網から光ケーブルに切り替える」と説明した。 EasySTについて小松氏は「小型だが、消費電力が6Wと大きいため移動しながらの利用は無理がある。ただし、将来的には低消費電力化された端末が登場するだろう」と述べ、当初は固定網のような利用スタイルとなるものの、将来的には移動体通信としてWiMAXを活用していく方針をあらためて示した。
小松氏は、あわせてWiMAXサービスのスケジュールも公開した。それによれば、9月にサービスの申込受付が開始され、12月に正式サービスが開始される。無線LANカードは無償配布され、加入後の一定期間は無料で利用できるようにするという。気になる料金体系だが、音声通話・データ通信・メール全て使い放題で3,000円になるという。エンドユーザーが利用する端末だが、屋内で利用するEasySTに加えて、無線LANカードが用意される。さらに来年夏にはWiMAX対応のPCカード端末を供給したい考えだ。 また、他地域については、名古屋・大阪の2エリアでは同社が直接インフラを整え、できるだけ早期にサービスを提供したいという。その他の地域は、各地の事業者に対しては、Base StationとProSTを供給することで全国的にWiMAXのサービスエリアを拡充していく方針という。 同氏は、「ユビキタスなブロードバンドサービスを実現する」と述べ、講演を終了した。
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