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mineoは「楽しさ」を競争軸にしたユーザーと創るMVNOへ

「ファンから広げる」新戦略を説明

 ケイ・オプティコムは25日、都内で記者向けの開催した勉強会の中で、MVNOサービス「mineo」の今後の戦略を説明した。その中で、mineoを「ユーザーとともに創るサービス」と位置づけ、「Fun with Fans!」という新しいブランドステートメント(ブランド理念)を発表した。

ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 津田和佳氏

 ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループのグループマネージャー 津田和佳氏は、これまでのMVNOは競争軸を「料金の安さ」と「サポートの充実度」の2点に置き、競争をしてきたと解説。競争が激化する中で、mineoでは第三の競争軸として「楽しさ」を訴求していく方針を示した。今までの広告戦略に加えて、今後、コミュニティサイト「マイネ王」を中心としたユーザーとの交流を活発化させ、多くの人へクチコミで広めていくコアなファンユーザーの獲得を目指す。

独自サービスに強みを持つmineo

 2014年6月、「必要なものを、必要なだけ」というコンセプトでサービスを開始して以来1年半となるmineo。サービス当初からのauプランに加え、9月のドコモプラン開始によってユーザー数が急増し、現在では19万契約を突破している。

 津田氏は、大手キャリアより安い料金やセットで購入できるスマートフォンなどのサービスの提供はもちろん、mineoは独自のサービスで強みを持つと紹介。一例としてau網とNTTドコモ網でパケットシェアをシェアできるマルチキャリア化、Webサイトから10分程度でMNPの切り替えができる「MNP回線ネット切替」などを挙げた。

 品質面での取り組みでは、ピーク時にユーザー1人に一定量の帯域幅を割り当てるポリシーのもと、回線増強を繰り返しており、1人あたりの割当帯域は当初の1.5倍まで増強したという。

 サービス面の今後の展開として、量販店でのmineoのSIMの取り扱いを今春から夏にかけて順次展開していく予定や、セット販売の端末ラインナップに海外製のSIMフリー端末やタブレットを加えること、持ち込み端末に関する補償サービスの提供を検討していることなどが紹介された。

鍵は認知度の向上

 津田氏は続けて、mineoの現状やMVNO市場の今後について、同社の見立てを示した。現在のMVNO市場については、未だにITリテラシーの高い層が中心ユーザーだとしながらも、今後は市場全体が拡大すると見ている。12月に実施された総務省のタスクフォースの結果についても、大手キャリア(MNO)が踏み込んだ値下げをしない中、端末購入補助金の抑制や、MVNOの活性化などの決定などがMVNO市場にとって追い風になるだろうという見解を示した。

 市場拡大の流れの中で、ITリテラシーが高くない「マジョリティ層」にもアプローチしていく必要があると指摘。mineoではマジョリティ層に対して、独自の調査を実施。「マジョリティ層」は、「流行ってきているから流行に乗る」ユーザーで、今まで縁がなかったブランドは、サービス内容に関わらず不安に思う傾向があるという分析を示した。

 津田氏は、そうしたユーザーにアプローチするために、mineoブランドの認知度向上が鍵となると説明した。そのための戦略の一つとして、mineoユーザーのファンコミュニティ「マイネ王」を中心に据え、ファンを増やしていく方向性を提示した。

新しい通信サービスだからこそできる「ユーザーと創る」という形

 「マイネ王」では、mineoスタッフが情報発信してユーザーがコメントする「王国通信」、ユーザー同士で教え合うQ&Aコーナー「王国教室」、mineoやスマートフォンなどの話題を語る掲示板「王国広場」の3種類のコミュニティと、ユーザー全体でパケットをシェアできる「フリータンク」が提供されている。

 マイネ王は現在、mineoの公式サイトを超える規模に成長しており、mineoユーザーのうち10%ほどがマイネ王に登録しているという。その中で、ユーザー同士での交流で疑問点を教えあったり、スタッフとの交流からサポートの強化や新サービスの提供につながったりといった成果が出ているとした。

 2015年12月に提供を開始したフリータンクは、ユーザー同士の連帯感を生み出す取り組みで、ユーザー全体がひとつの貯蔵庫にパケットを預け、必要なユーザーが引き出すというユニークなサービスとなっている。津田氏は「サービス開始前は、引き出す人が多く、運営側でパケットを追加する必要があるのではないかと思っていたが、蓋を開けてみれば預ける量が引き出す量より多くなった」とし、「有料の追加チャージに対して影響が出るのではないかという懸念もあったが、利用率は低下しなかった」と明かした。

 そういった、mineoがユーザーの意見をスタッフが直接聞きながらサービスを開発する取り組みを、「既存のキャリアではできなかった試み」として強化していくという方向性を、津田氏は「Fun with Fans!」というブランドステートメントとして掲げた。

 一方で、mineoブランドを広めていくコアとなるファンユーザーの拡大によって、認知度向上を目指す方法は時間がかかるものとして、従来の「品質」や「サービス」の充実やテレビCMなどのプロモーションを積極的に活用することで、1~2年以内にシェア上位を目指すという目標を示した。

石井 徹