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2016年、通信各社は何を仕掛ける? 年頭所感で見る事業戦略

 年初になると、毎年、企業が社内向けに行う年頭所感や挨拶は、前年に残した業績や特徴的な出来事を振り返るとともに、新年に取り組む重要な課題が示される。モバイル分野に関わる企業からも、さっそく2016年初頭における所感や文書が発表されている。

ドコモ、料金見直しなどに取り組む

 2015年3月から「ドコモ光」を開始してモバイルだけではなく固定通信サービスも提供し始め、春からは「+d」としてローソンなど、他社とのパートナーシップを積極的に展開してきたNTTドコモ。2016年は「昨年に引き続き、競争ステージを変えるため、さまざまな取り組みを行う」と宣言する。

 たとえば年末にかけて、総務省で進められた料金関連のタスクフォースを受けて、「これまでも是正に取り組んできたが、これからも行き過ぎた販売方法について段階的に見直しを図る」としたほか、ユーザーの多様なニーズにあわせて料金を見直す、としている。通信サービスでは2016年10月から下り最大370Mbpsのサービスを開始する予定。他社とのパートナーシップでもIoT、社会的な課題の解決、地方創生に繋がる取り組みを行うという。

KDDI、2016年度に新たな中期計画

 KDDIでは、「2015年は通信をとりまくビジネス環境の大きな変化がはっきり見えた」として、各社の違いが見出しにくい同質化、あるいはMVNOの拡大が続く一方で、携帯大手が通信以外の分野での動きを活発にさせていると指摘。そうした動向は今後も加速するとして、2016年4月からの3年間は、新しい中期戦略を進めていく。

 またKDDIグループであるUQコミュニケーションズは昨秋10月、KDDIバリューイネイブラーと合併したことで、UQ mobileブランドでのサービスを新たに獲得。WiMAXとともに、「既存の携帯キャリアとも一般のMVNOとも違う “新たな第3極”を目指す」として、今後も新たなサービス、パートナーとの連携に挑戦するとしている。

ソフトバンク、春から電力サービスへ

 昨夏7月に商号を変更し、孫正義氏の後継者としてニケシュ・アローラ氏が擁立されたたソフトバンクグループは、通信分野のグループ4社が1つにまとまり、宮内謙氏が率いる体制となった。2016年4月からは既に一般家庭向け電力小売り事業へ参入する方針も示しており、「通信と電力の融合で生まれる新サービスに期待ください」とアピール。

 米国の子会社であるスプリントも再建に向けて経営数値が改善の兆しを見せている、としており、グループとしてインド、東南アジアで投資した企業も今後成長させていく、と海外事業にも引き続き意欲を見せる。

100万回規模になったIIJ

 「格安スマホ」といったワードで徐々に浸透しつつMVNO。その分野で市場シェアの上位に立つIIJの年頭所感では、2016年、クラウド、MVNO、国際事業を中心に展開するとされている。

 特にMVNO事業は、総回線数が100万回線規模に達しており、2016年は特に法人向けにおいて、IoT/M2M分野を牽引役として、マルチキャリアのMVNOサービスでシェア拡大を図る。個人向けサービスは「海外に比べるとまだ格安SIMユーザーの割合は小さく、市場拡大が見込まれる」として、他社との競争環境でさらに市場が拡がることに期待して、高品質な信頼されるサービスを進めるとしている。

日本マイクロソフト、クラウドに注力

 Windows 10をリリースし、新たなマイルストーンを迎えた日本マイクロソフトでは、20106年、「クラウドビジネスの加速」に最も注力してく、とする。ソリューションはもちろんのこと、タッチポイントとなるデバイスビジネスにも注力する方針で、「Surface Book」の早期提供開始を予定していると説明する。またWindows 10 Mobile搭載のスマートフォンが今後、続々と登場するとして、スマートフォン分野でもWindows 10の活用が進む見込みとしている。

関口 聖