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シャープがモバイル型ロボット電話「RoBoHoN」開発
(2015/10/6 12:24)
シャープは、小型で持ち運べるモバイル型ロボット電話「RoBoHoN」(ロボホン)を開発し、2016年前半に発売すると発表した。
「RoBoHoN」は次世代の携帯情報通信端末と位置づけられており、全高が20cmを切る小型で二足歩行が可能なヒューマノイドロボットでありながら、3G・LTEのモバイル通信に対応。背中側にタッチパネル液晶を搭載するほか、音声通話、メールやカメラ、タッチ操作など、携帯電話の基本機能も搭載する。写真の撮影や、額の部分に搭載された小型プロジェクターで写真や地図などを投影することもできる。各機能は、「エモパー」のような音声対話機能で操作できる。
「RoBoHoN」はロボットクリエイターの高橋智隆氏と共同で開発されている。主な機能は、通話、メール、アプリ、検索、カメラ、プロジェクター、音声認識、顔認識、歩行、起き上がり。
カメラは800万画素で、プロジェクターの解像度は1280×720ドット。背面のディスプレイは2インチのQVGA。チップセットはMSM8926で、1.2GHz駆動のクアッドコア。通信方式は3G、LTEとWi-Fi(IEEE802.11b/g/n)に対応。ソフトウェアプラットフォームは独自のものを搭載する。
全高は約19.5cm、重さは約390g。仕様などの詳細は今後発表される。
「買って終わりではなく、どんどん進化していく」
6日には、千葉県の幕張メッセにて、7日から開催の「CEATEC JAPAN 2015」への出展概要を解説するシャープの説明会が開催され、この説明会の第二部で新機軸の取り組みとして「RoBoHoN」が発表された。
登壇したシャープ 代表取締役兼専務執行役員 コンシューマーエレクトロニクスカンパニー社長の長谷川祥典氏は、シャープが新たに掲げる「人に一番近いシャープ」という方向性を掲げた上で、家電が、人工知能とクラウドサービスにより、ユーザーに最適化し、機能やサービスが進化し即座に利用できるようになるというビジョンを紹介。それらを実現するための具体的な技術として、音声対話、センシング・人工知能、嗜好理解の3つを挙げ、家電はその最前線のタッチポイントであるとして、未知のビジネス領域に踏み込むと意気込んだ。
「RoBoHoN」はこうした取り組みを象徴する、さまざまな技術や要素が結集した製品とする。さらに「技術の誇示ではなく、実際に届けたい」と、発売を前提に開発されていることを強調。さまざまなパートナー企業が開発に参加しており、サービスを含めた連携でも広がりをみせていく様子を示した。
「大切なのは、買って終わりではなく、どんどん進化していくこと。さまざまなパートナーが参加しており、使い方もどんどん広がっていく。長く寄り添う存在になれば」(長谷川氏)と、シャープのコンシューマビジネスの新たな象徴として位置づけた。
RoBoHoNはパーソナル端末
共同開発を行っているのは、東京大学 先端科学技術研究センター 特任准教授でロボットクリエイターの高橋智隆氏。高橋氏は、人型を選んだ理由について、「どんなに機能が優れていても、四角い箱に話しかけることは心理的に難しい。人型であることで、自然に話しかけることを期待している。趣味嗜好を集めて、ユーザー毎に最適化できる」とした。「多くのロボットは大型の家庭用で、これは(みんなで使う)昔の固定電話やパソコンに近い。RoBoHoNはパーソナル端末として生まれた。ロボットを一人一台、ポケットに入れて暮らす、そんな日が近づいたのではないか」と語り、人工知能に通信機能も搭載した小型の「RoBoHoN」による、小型ヒューマノイドロボットの新たな展開に期待を寄せた。
機能やデモの様子
「RoBoHoN」は、その話し声から「エモパー」をロボットにして、独り立ちさせたような印象を受けるが、「RoBoHoN」がカメラで記念撮影をしたり、撮影後にプロジェクターで投影したり、ダウンロードしたデータで音楽に合わせたダンスの披露、買い物の予定をメモ代わりに覚えるなど、音声対話を軸に、内蔵の機能やネットワークを駆使してさまざまな行動ができるようになっている。
披露されたデモ映像では、ポケットに入れたり首からぶら下げたりして持ち運ぶ様子や、本体の頭をユーザーの耳に、足のあたりを口にあてて通話する様子も紹介されていた。
なお、「CEATEC JAPAN 2015」のシャープのブースでは、最新の製品の展示に加えて、「RoBoHoN」も紹介される。