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格安SIMのシェアで4強に変化、新勢力も台頭~MM総研調査

外国人や法人向けでさらなる拡大を予想

 MM総研は、国内のMVNO市場に関して、2015年3月末時点での市場規模を調査し、結果を明らかにした。MVNO全体の推移のほか、「格安SIM」などとして展開されている独自サービス型SIMの市場についても調査されている。

 2015年3月末時点でのMVNOの回線数は、前年比105.7%増の3045万回線で、ほぼ倍増した。

 最新のソフトバンクモバイルのiPhoneやauのAndroidスマートフォンは、一部の周波数帯に対応するために、MNO自らがWCPやUQコミュニケーションズの回線の卸提供を受けるMVNOとなることで、ユーザーと端末にサービスを提供している。このため、MVNO市場全体の規模は、これらのスマートフォンの販売台数も含むものとなる。

「格安SIM」4強のメンツは同じも、日本通信は純減で4位に

 MVNO市場のうち、「格安SIM」などとして注目が集まる独自サービス型SIMは、2015年3月末時点で、前年の173万回線から88.4%増の326万回線になった。日本の携帯電話市場は全体で1億7670万件に上っており、市場の構成比では1.8%にとどまるが、前年比で0.7ポイント増加した。MM総研では、普及阻害要因は改善されつつあり、急速な普及が期待されるとしている。また、訪日外国人の増加でプリペイドSIMの販売も増加し、2020年のオリンピックに向けてさらに拡大が期待されている。

 「格安SIM」を提供する事業者のシェアは、4事業者が過半数のシェアを占める状況に変わりはないものの、3位と4位が入れ替わる変化が起こった。

 1位はNTTコミュニケーションズで、前年比32.8万回線増の73.8万回線、シェアは22.6%になった。2位はインターネットイニシアティブ(IIJ)で、前年比25万回線増の53.6万回線、シェアは16.4%。3位は順位を1つ上げたビッグローブで、前年比14.3万回線増の23.3万回線、シェアは7.1%になった。4位は、3位から順位を落とした日本通信で、前年比0.8万回線減の17.2万回線、シェアは5.3%だった。

 日本通信は前年比でシェアが5.1ポイント低下、回線数も前年の18万回線から0.8万回線の純減で17.2万回線になり、一人負けの状況。

 これら上位の“4強”で格安SIM市場の過半数のシェアを占めるが、2014年は6月にケイ・オプティコム(mineo)、10月にフュージョン・コミュニケーションズ(楽天モバイル)、11月にニフティ(NifMo)、12月にはKDDIバリューイネイブラー(UQ Mobile)がそれぞれサービスを開始、順調に契約数を伸ばしており、事業者間の競争が激化している。

2017年の格安SIM市場を予測、法人需要も拡大

 調査では2017年3月末時点までの今後2年間の動向について予測も行われている。独立系MVNO市場では、引き続き「格安SIM」などの独自サービス型SIMが市場を牽引するとしている。

 MM総研の推計では、2015年3月末時点で、格安SIMをスマートフォン・タブレットに装着して利用するユーザーは260万人規模。SIMロックフリーをはじめとした端末ラインナップの拡充や、音声通話対応のサービスが拡充されたことなどから、2台目の端末向けだった需要が、メイン回線向けの、「MNOユーザーのリプレース(置き換え)をメインとする市場に変化しつつある」と指摘している。

 さらに今後、法人向けにも契約数を大きく伸ばすと予測し、特にM2MやIoT領域のソリューションや、企業のバックアップ用途として拡大が見込まれるとしている。

 こうしたことから、調査では、独自サービス型SIMの回線数は2016年3月末時点で540万回線、2017年3月末時点では790万回線にまで拡大すると予測している。

太田 亮三