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技術力なくして認められることはない――ファーウェイが語る日本市場

 2015年2月、ファーウェイ・ジャパンの代表取締役社長に就任したのが、王剣峰氏。2006年から欧州でファーウェイの事業拡大を担ってきた同氏は、「MVNOはポテンシャルが高い市場」「日本では品質や技術力がなければ、どんなに安くても認められることはない」と日本市場について語る。

ファーウェイ・ジャパン代表取締役社長の王剣峰氏

 中国ファーウェイの日本法人として、2005年に設立されたファーウェイ・ジャパンは、2011年、中国企業として初めて経団連に加入し、日本国内でも社会貢献活動を実施するなど、ファーウェイの日本への関わりを深めてきている。基地局事業やスマートフォン事業を展開する同社にとって、日本はどういった市場なのだろうか。

スマホ出荷は7500万台

 グローバルで見ると、ファーウェイはスマートフォンの出荷台数が7500万台、シェアは3位。収益面では最も大きなウェイトを占めているのは、基地局などを展開する通信事業者(オペレーター)向けの事業で、IP無線サービスネットワーク、モバイル向け、固定向けと3つのジャンル全てで上位3位に食い込んだ、唯一の企業だ。

 「通信事業者向け事業」「コンシューマー向け端末事業」に加えて「法人向けソリューション事業」、あわせて3つの事業がファーウェイの柱。「共存共栄」を掲げて、さまざまな企業・団体とのパートナーシップを重視する、という姿勢をアピールする。また研究開発にも投資を惜しまず、毎年、売上高の10%以上を研究開発に費やす。2014年度は約7858億円の投資を行ったとのことで、これはファーウェイの売上高の14%に相当する。

日本で求めるものとは

 地域別に見ると、中国での売上高は全体の38%、アジア太平洋は15%、南北アメリカが11%、そうして欧州・中東・アフリカが35%となる。日本での売上は大きくないが、たとえばコンシューマー事業では、既にSIMロックフリーのスマートフォンやタブレットを7機種投入し、大手キャリア向けにも日本オリジナル端末を開発、供給している。基地局事業では、イー・モバイル(現ソフトバンクモバイル)のネットワーク構築を手がけ、最近ではドコモと5G(第5世代のモバイル通信技術)の実験を行うことで合意している。

 腕時計型の「ドコッチ」(NTTドコモ)など、独特の端末を供給し、いち早くモバイルWi-Fiルーター、デジタルフォトフレームを手がけてきた同社が今、次々とSIMロックフリー端末を日本市場で投入している。今回の会見の前日には、新機種の「honor」シリーズの国内での展開を発表、楽天と協力していく形にも注目が集まった。

 こうした取り組みについて、王氏は、「総務省がSIMロックフリー市場を非常に積極的に推し進めているところに着目した。3年間で市場規模を2倍にする、と総務省が呼び掛けている。このような取り組みでモバイル市場の競争を促進したいのだと理解している。SIMロックフリー市場はポテンシャルの高い市場だと見ている。その呼び掛けに応えて、注力するようにしている」と説明した。

 また日本市場については、売上を得るだけではなく、部品の調達先としても大きく活用している。ファーウェイが2014年度に日本で調達した部品の金額は約2088億円。ディスプレイやカメラを調達しているとのことで、ファーウェイのハイエンドスマートフォンの6割に日本の部品が用いられているのだという。

 また法人向けソリューションの展開に関して、ファーウェイのどのような点が評価されたと考えるのか、という問いに王氏は「日本は品質を重視している。もし品質や技術力がなければ、どんなに安くても認められることはない」とコメント。日本市場の特性にあわせつつ、そうしたニーズに対応できていることをアピールした。

関口 聖